── 4月21日デビューおめでとうございます。
ありがとうございます。
── CDが2枚同時リリースですが、1枚はクラシックジャンルの中でも民族音楽的な舞曲を中心に集めたもの、もう1枚はさだまさしさんの名曲をクラシックアレンジしたものという事で、何故今回その組み合わせにしようと思ったのですか?
まず「主人公〜さだまさしクラシックス」はレコード会社の方から提案していただいて、「光の風〜ヴァイオリン・クラシックス」の方は、小さい頃からクラシッ クの勉強をしてきたので、やはりクラシックアルバムもリリースしようという話になって、この2枚が同時発売になりました。
── 民族音楽的舞曲(光の風〜ヴァイオリン・クラシックス)は、花井さんの選曲ですか。
はい。クラシックで好きな曲をあげてみて。って言われた時に、よく聴いていた曲や弾きたかった曲をセレクトしたら、たまたまだったんですけど民族的な作品が多くなって、自分はそういうのが好きなんだって改めて気がついたんですよ。
それでそういうものを中心に曲目を考えていきました。
── デビューCDの仕上がりはいかがですか?
ふふふふふ。そーですねぇ、仕上がりは…さださんの方も編曲もすばらしいし、どちらのアルバムも気持ちを込めて弾いたので是非聴いていただけたらいいな。と思います。
── クラシックとフォークソングは、テクニックや表現方法がかなり違うと思うんですが、どういう点に気を遣いながら弾きましたか。
そうですね。クラシックの方はやはり楽譜に忠実にという感じで弾きましたし、沢山の音源も出ていますので、そういうのを参考にもして、今迄自分が勉強してき た作り方で作っていったんですけど、さださんの方は(クラシックという形では)前例がない曲だし、この為に編曲をしていただいたので参考にするというの は、やっぱりさださんご本人が歌ってらっしゃる曲や歌詞を研究する作り方でした。
さださんのコンサートに行ったときに、歌い方がまるでヴァイオリンを弾いているのと同じような声の出し方だったんですよ。 それに、さださんもヴァイオリンを弾かれていたんですよね。 そんな共通点を感じたりして。
それにそのコンサートがとても素晴らしくて感動したので、その時受けた感動や、さださんの声の出し方を頭の中に入れておきながら作っていきました。
── さださんとはお会いになりましたか?
はい。コンサートの時にご挨拶に伺わせていただいたんですが、すごくフレンドリーな感じで「頑張ってね。」って言っていただき応援してくれました。とてもあたたかい感じの方でした。
── 花井さんの公式サイトにも、さださんからコメントをいただいていますね。
はい!すごく素敵なコメントをいただいて、とてもありがたいです。
── 編曲をされた渡辺俊幸氏にはどういうアドバイスをいただきましたか?
音楽って、弾いている人が感情移入して弾けていないといけないじゃないですか。
だから感情の入れ方だったり、作り方っていうのは自由にやらせていただきました。勿論ポイント的アドバイスはいただいたんですが、どちらかというと温かく見守ってくださった感じです。
── レコーディングはどうでしたか。
レコーディングはですねぇ、思ってたより煮詰まったりはしなかったです。
やっぱり同年代の林そよかさん(ピアノ)や、はるかさん(チェロ)がいたので、話す事によって心がほぐれたりしました。
録っている時は真剣だけど、休憩に入ればしょうもない事…というか(笑)他愛も無い事を同年代同士で話しあったりして、ブレイクがうまくとれたのでわりとスムーズにいったと思います。
── 今回CDをリリースする事になり、まわりの環境は変わりましたか?
特には変わってないですね。応援してくださる方々はいらっしゃいますが、学校の仲間や友達は、CDをリリースする事は知っているけどそれによって接し方が変わる事もなく、今迄通りにしてくれています。それはありがたいですね。
── 3歳からヴァイオリンを始めたという事ですが、ヴァイオリニストになろうと思ったきっかけを教えてください。
母がヴァイオリンに憧れを持っていて、女の子が生まれたらヴァイオリンをさせたいと思っていたらしいんですよ。それで習い始めたのがきっかけでした。
でもやっぱり小さい頃は遊びたいし、練習がとても嫌いだった時期もあったんですよね。その頃からヴァイオリニストになろうとはっきり決めていたわけではな いんですが、小学校高学年位になって親の手も離れてくるような頃思ったのは、ヴァイオリンを今辞めてしまうのはもったいないし、自分からヴァイオリンを 取ってしまったら自分の中で、なんか穴が開いちゃう気がして、それからヴァイオリンを真剣にやろうって思い始めて漠然と音楽大学に行く事を考えていたんだ と思います。
── 小学生の頃から弦楽合奏団に入団して病院や小学校など、色々な施設をまわって演奏をしていたそうですがどうでしたか?
普段それまではレッスンと家の往復だけだったんですが、初めて人とアンサンブルをするようになって、こんな楽しいものだったんだ!って、自分の中で革命的 だったんですよ。行く場所に応じた選曲をしていて、例えば小学校だったら親しみやすい「となりのトトロ」とか「ハリーポッター」とか、その時に流行ってい る曲を演奏させていただいていたんですけど、老人保険施設の場合は「りんごの唄」や「津軽海峡冬景色」などの昔の曲を演奏させていただきました。
そうすると聴いている方は昔の事を思い出されるようで感動してくれて、そういう姿を目の当たりにすると音楽の力っていうのをすごく感じたんですよ。今迄っ て、演奏を聴いてくれて感動してくれる姿を見る事ってなかったので、色々な施設に行ってそういう姿をみれた事っていうのはすごく大きかったです。
── そこではコンサートミストレス(女性のコンサートマスター)や、ヴァイオリン協奏曲のソリストも務めているそうですね。
はい、やらせていただいていました。
── すごくないですか?
ははは、でも地元のなのでそんなにすごくはないんですけど、でもそこでクラシックでのコンサートミストレスのやり方を学びましたし、コンチェルトのソリストなんてなかなかやらせてもらえる機会はないので、すごくいい経験をさせていただいていたと思います。
── コンサートミストレスというのは、オーケストラを取りまとめる役割ですよね。
はい。そこは弦楽合奏なので、管楽器がいない小編成なんですけど、でも指揮者をおかない合奏団だったので、合図の出し方だったり体の動かし方だったり色々な 事を学ばせていただきました。自分がただ演奏すればいいというわけではないので、大人数でのアンサンブルの仕方なども学べましたね。
── 高校の頃は、室内楽のセミナーに行ったり、レッスンを受けたりと、勢力的にヴァイオリンに取り組んでいたとききました。
はい。私は普通高校だったので音楽高校にいっている子や音大をしっかり目指している子と触れ合う機会がなかなか無かったので、セミナーに行ったり外部の先生に習ったりとかする事や、周りの子が頑張る姿をみて自分に刺激を取り入れていました。
広い視野で音楽をとらえたいと思っていたんですよ。
── じゃあ、学生時代はバイオリン一色の生活でしたか?
そうですねぇ…そうかなぁ(笑)セミナーって、夏休みだったのでその時は一生懸命やっていましたけど、中学の頃はファンタジー小説にハマっていました。
── どんなのを読んでいましたか?
ベタに「ハリーポッター」とか(笑)。でも「ハリーポッター」から始まって結構色々な海外のファンタジー小説にハマって。今公開されている「ダレン・シャン」とかも大好きで読んでいましたね。あと高校の時はJ-ROCKが好きになってきて。
── どんなものを聴いていましたか?
ポルノグラフティとか(笑)
── そういえば、twitterでポルノグラフティが好きってつぶやいていましたね。
あぁ〜twitter!!!(笑いながらソファに横たわる。)
── フォローさせていただいています。
ひやぁ〜!! ありがとうございますぅー!
…そうそう、音楽はポルノグラフティだったりとか、BUMP OF CHICKENだったりとか好きです。
── 花井さんにとって、ヴァイオリンの魅力はなんですか?
ヴァイオリンの魅力はですねぇ、高いキラビやかな音もヴァイオリンぽくて好きなんですけど、一番低い音をG線(げーせん)って言うんですが、そのG線の音がす ごく好きなんです。自分の楽器のG線の音質が好きっていうのもあるかもしれませんが、弾いていても、内にこもる感じというか。暗い曲というか、ちょっと哀 愁を帯びた曲が好きなので今回のクラシックアルバムの方もそうなっています。
だから、なんだろう。…ヴァイオリンの魅力はG線?(笑)
考えたら、今回のアルバムもG線で始まる曲が多いんですよね。
── じゃあ、キーワードはG線という事で(笑)
そう、G線!…って、なんだろう?って思っちゃいますよね(笑)
── クラシックは、なんとなく敷居が高いというイメージがあるのですが。
そ うですよね。私は小さい頃からやっているからかもしれませんが、普通のポップスとかと変わらないテンションで聴くんですよ、普段から。だから、今日はポッ プスが聴きたい気分だ、ロックが聴きたい気分だっていうのと同じように、今日はクラシックが聴きたいって。だから私は何の敷居もなく、ジャンルのひとつと いう事で手に取るのでみなさんも聴いてみて、好きな曲っていうのが見つかれば手の届くジャンルなんじゃないかなって思います。
── 3月25日にラフォーレミュージアム原宿で行われた「東京コレクション・ウィーク」で 「fur fur」の衣装を着て演奏をされたとの事でしたがいかがでしたか?
私 「fur fur」さんて昔からすごく好きで憧れていたブランドなので、そのブランドのコレクションっていう大舞台に出させてもらえたっていうだけでも感 激で、その分緊張もしたんですけども「fur fur」さんの世界観の中でお手伝いができたかと思うと、すごく嬉しいなぁって思います。
── 雑誌「森ガールvalon vol.2」 では、アーティスト「花井悠希」として、モデルにも挑戦されましたがいかがでしたか?
どのお洋服も可愛くて、そういうお洋服が着れたり普段しない髪型をさせていただいたのですごく新鮮で、そういう経験も好きです。
── イメージが「森ガール」ですが、普段はどんな服装が多いんですか。
そうですね、こういう(この日は茶系の森ガール風のワンピース)服も勿論好きで着るんですけど、私、朝起きた時の気分によってコロコロ変えるタイプなので (笑)、例えば吉祥寺に出かけるっていう時は森ガールっぽい格好で、六本木なら大人っぽく全身黒にしようとか(笑)、起きた時や行く場所、天気、それから 会う人なんかで着る服は変わります。ファッション大好きなんです。
── twitterの話が先ほど出ましたが、結構つぶやいていますよね。
つぶやいていますね(笑)
── パン、大丈夫でしたか?(満員電車でパンがつぶれているかもしれない。という、花井さんのある日のつぶやきネタです。)
パン!(大爆笑)…もうあれすごかったんですよ。電車がすごい遅れてて、私こんな満員初めてかもっていう位だったんですよ。もうほんとやめてよ!っていう感じで。
パンは潰れてると思ったんですけど、フランスパンだったので結構固くて大丈夫でした。(笑)
── 美味しそうな手作り料理もたまにアップされていますね?
美味しそうって言われちゃった!でも、男っぽい料理って(レコード会社の人に)言われたんですよ。色が茶色っぽくて(笑)作る料理が煮物が多いんですが、 私にんじんが嫌いなので、色合いがどうしても(笑)…あ、でもかぼちゃとかいいかも!
── でもカルボナーラみたいなのも作っていましたよね。
(作ったかなぁと少し悩んで)あ!作った。あれ最強にまずかったんですよー。
ダイエットの為に豆腐グラタン的なものを作ったんですが駄目でしたねぇ(笑)
── 現在、東京音楽大学の4年生ですが学校はどうですか?
学校は楽しいです。うちの学校楽しい子たちが多いので(笑)。結構、弦楽器をやっているメンバーは仲よくて。この間もお花見したりディズニーランド行ったり、大人数で集まったり。あと1年っていうのが寂しいですね。
学校っていうところが昔から好きなんです。
── 今回「春にクラシックを聴こう」という企画ですが、花井さんが春に聴きたいと思うクラシックを教えてください。
今、映画「のだめカンタービレ」が公開されていて関心がある方も多いと思うんですけど、そこでかかっているベートーベン交響曲第7番1楽章が明るくて、華やかでオススメです!
── 最後に、このアルバムをこれから聴いてくれる人たちへ一言お願いします。
どちらのアルバムも一音一音心を込めて弾きましたので、是非聴いてください!
── ありがとうございました。
取材・文/まさやん
花井悠希 − 新・抒情派ヴァイオリニスト
美しいメロディに奉仕する清らかな感性をたたえた、新世代を切り拓くヴァイオリニストの登場です。 21 歳の現役音大生、花井悠希は三重県出身。ヴァイオリンに憧れていた母の影響で、3歳からヴァイオリンをはじめます。植村祐子氏に師事し、日々研鑽を積む中、小学校5年生の時に、地元の弦楽合奏団に入団します。地域の老人介護施設や小学校などを巡回しながら、有名クラシック曲から演歌・ポピュラー音楽まで、様々なジャンルの音楽を演奏。聴衆が有名曲に反応し素直に喜ぶさまをみて、音楽の力を実感することになります。この合奏団での活動経験は、彼女のジャンルを問わず良質の音楽を追い求める姿勢の原点といえるでしょう。 高校は英語科に進学し、ヴァイオリンを続けながらも、ロックミュージックやファンタジー小説などにも親しみ、普通の高校生と変わらない生活を送ります。高校1年生および 2年生時には、音楽学生向けの室内楽セミナーや、いしかわミュージックアカデミーに参加。著名音楽家から室内楽、ソロ等のレッスンを受講し、改めてクラシック音楽の奥深さに感化されます。また、同世代の参加者たちの音楽にまつわる熱のこもった話や、演奏に対する真摯な姿勢に大いに刺激を受けたことも転機となり、音楽大学への進学を志します。この時期に初めて聴いたオイストラフ&ロストロポーヴィチのブラームス「二重協奏曲」も、彼女のクラシック世界への傾倒を後押しする出会いとなりました。2007年、東京音楽大学に入学。主に大谷康子氏に師事し、更なる研鑽を積みながら現在に至ります。 なにげない日常を過ごしながらも、ヴァイオリンへの惜しみない愛と、たゆまぬ努力を傾ける。一見両立しない2つの面を軽やかに行き来しながら、どこまでも自然体な彼女の生み出す音楽は、「歌」や「メロディ」に対する感覚に、新世代の瑞々しい息吹を感じさせます。どこまでもひたむきに、どこまでもナチュラルに。音楽の悦びを、そして新しい「抒情」のかたちを提示し、クラシック新時代の訪れを感じさせる、次世代のヴァイオリニストがいま、デビューします。
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