ー 今作は弾き語りの中でも色々なバリエーションがあって、高木 完さんとのコラボ「ヒバナ」は アコースティックでありながらヒップホップ要素もあり、それは高木さんとのコラボらしい仕上がりですが、高木さんとは「GACHI(ガチ)」でコラボされていないですよね。
やってないですね。彼とはパーティーや飲み会で会ったりする位だったんですが、一昨年、友人の結婚式でばったり再会して、僕がお祝いで弾き語りライヴをやったんです。そしたらそれを観て「ちょっとゆっくり会わない?」って声をかけてくれて。それで「ロックな感じだよね。」って言ってくれたんです。まぁ、完さんの解釈のロックというのは、いわゆるのロックということではなく、音楽の感じを気に入ってくれたということだと思うんですが、二人で飲みながら色々な話をしている中で、「ずっと自分はさぼってるんだよねぇ。何か一緒に出来たらいいね。」って完さんが言ってくださって、こちらも是非是非という感じだったんです。でも色々あってすぐには進まなかったんですが、昨年やった逗子で弾き語りライヴを完さんが観に来てくれることになったので、それなら一緒に何かやろうということで、その時お互いが持っている曲をマッシュアップさせるようなことをしたんです。それで打ち上げの時に「いよいよ歌詞、書くよ。約束していたことを。」って言ってくれて。でもそれは僕がアルバムを作っているとか全然関係なくね。ちょうど今作をコラボレーションアルバムにしようかというアイデアが出てきて時に、 ある断片が完さんから送られてきて、 それならということで完さんと二人でスタジオに入って作りました。
ー「ゆくえ」は 曽我部恵一さんとのコラボですが、 切ないのに温かくて丁寧に響く浜崎さんの声と曽我部さんのささやくような声の違いやハモリがいいですね。 トレモロのような音は浜崎さんが弾いているんですか?
あれはマンドリンですね。
ー マンドリンでしたか!
そう。マンドリンを弾いたことがなかったんですけど、スタジオのエンジニアに「浜崎さん、こういうアルバムだから、いつかマンドリンとか入れますよね。」って言われて、「いいね、入れたいね」なんて話をしていたら、知り合いから借りてきてくれて。それでこの曲をやっている時に、何かないかなと考えていたらそのマンドリンが目に入ったから、「よし、マンドリンを初めて弾いてみるか!」ってことで(笑)。超適当なんですけど、でも感じ出てるからいいかななんて(笑)。
ー いやいや、あの音がすごく全体の雰囲気を作っているように感じました。曽我部さんは浜崎さんから観てどういうプレイヤーですか?
曽我部くんは強い自分というものをすごく持っている人だと思います。だから挑戦状のような感じでバンッ!と投げつけてくるところがあります。でもそれは、自分がこの曲に対する態度なんだということをきちんと決めているから出来ることなんです。これ以外にはないんだという覚悟を決めて音楽に向かっているという気がします。そういう意味では僕とは全然違いますね。僕は適当なんで(笑)。
ー えー!!!(笑)
まぁ適当というと語弊はありますけど(笑)、今回レコーディングをしていた時にある程度ベーシックを録り終わった後、事情があって彼が先にスタジオを出たんです。だから最終的に二人の声がどういう風に混ざり合うか見えない状態でした。でも、彼が残したメッセージというのは、きっとこの曲にすごく重要なことになるだろうと思って、何度も何度も試行錯誤して、やっと辿り着いたのがこの完成形なんです。彼がそこで僕のイメージみたいなものをあまり聞かずに、ビシッと残してくれたからこそ、すごくジャンプアップ出来た曲だと思います。そういうコミュニケーションもあるんですよね。
ー 共作する人のイメージを聞かないというのは、一見するとNGなことだけど、それが良い方向へ向かうこともあるんですね。
そうそう。辿り着いた先に初めての音楽ステージがある。本当にコミュニケーションというのは複雑だけど、でも繋がり合おうとするというかそこを信じて向かっていくというのが重要だと改めて思いました。
ー 弾き語りツアー"LIFE WORKS LIVE ~Since2011/終わりなきひとり旅"が2月2日(土)からスタート。3月1日(金)にはshibuya duo MUSIC EXCHANGEで『ガチダチ』スペシャル弾き語りツアー"LIFE WORKS LIVE 〜Since2011/終わりなきひとり旅" sono42では、おおはた雄一さん、斉藤和義さん、佐藤タイジさん、高木 完さん、中村 中さんも共演ですが、全体的にどういうツアーになりそうですか?
3月1日は本当にアルバムの曲を生で聴けるチャンスとしては今後あるかどうか分からないという特別な日になると思います。それ以外のツアーは一昨年からずっとやっているツアーで、各地ひとりで回ったりしているんですが、わりとその日に曲を決めることが多くて、自分でも何が飛び出すか分からないというライヴになると思います。
ー セットリストがその日その日で違うっていいですね。
やっぱり土地や人によって色々なヒントがあって、「今日はこの曲が歌いたいな」という気持ちをライブで表現していけたらいいなと思っています。
ー 改めてお伺いしますが、コラボレーションの魅力って何ですか?
コミュニケーションなんですよね、やっぱり。通じ合えたということだと思うんです。それがまた表現できた、音という状態に持っていけたということは音楽家冥利につきると思うし、それは音楽家じゃなかったとしても、人間としても誰かと通じ合えたと感じることが出来るというのは非常に幸せなことだと思います。
ー コラボすることで、自分にはなかった発想が生まれたりするんですか?
当然それはいっぱいありますし、例えば佐藤タイジくんという人がいれば、佐藤タイジという存在があるだけで自分が曲を作る時に、イメージの湧き方って全然違ってくるんですよ。そういうフィルターを通すというか、佐藤タイジ眼鏡をかけるということが新しい創作に繋がっていきます。それは、コラボした他のミュージシャンの方々に共通することではありますけど、本当に力を借りたなと感じています。
ー 最後にmFound読者のみなさんへ一言お願いします。
健康第一で今年も頑張りましょう!!
ー ありがとうございました!ツアーも楽しみにしています。
取材・文/秋山昌未
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