ー 先ほども言われていましたが、内田壮志さんがニューヨーク在住ということで英詞にされたんですか?
それもありますし、曲とも合うかなと思ったんです。メロディ的に。
ー なるほど。歌詞のことで内田さんと話は何かされましたか?
彼が今、何を思っているのか意思の疎通というところでセッションできればということを話しました。作品には訳詞がつくので、それをみると彼の想いが詰まっていると思うので、是非そちらを楽しみにして欲しいです。 ”Jammin'” という言葉には、ジャムるとか、混ざり合うという意味があるので、そういうイメージに仕上がっています。
ー 今回SOIL&"PINP"SESSIONの元晴さんとタブゾンビさんが参加されていますね。
はい。昔から大好きなんです。レコーディングはオーバーダブだったんですが、ライブ感というかセッションの雰囲気が出ればと思います。
ー「パスポート」はふかわりょうさんが作詞を担当をされていますが、ふかわさんといえば、ROCKET MANとして音楽活動もされていますが、何故ふかわさんにお願いしたんでしょうか。
ふかわさんは、ずっと以前からオファーしたいと思っていた人なんです。彼はすごくピュアな人なんですよ。
ー 元々、お知り合いだったんですか?
はい。
ー 歌詞がすごくさかいさんぽいと感じたのですが。
でも僕はここまでシンプルな詞を書いたことはないと思います。だって歌詞で「誰かを愛してますか?」とか「世界はキラキラしてますか?」というような問いかけは絶対しないですもん。
ー そっか。でもメロディとのハマり具合で、さかいさんぽいと思いました。
なるほど。でも「自分を許してますか?」とか「人に甘えてますか?」とか、すごくふかわさんならではのダイレクトな表現だと思いましたし、自分の中ではない言葉のチョイスも含めて楽しいです。でもきっと同じことを考えているんですよ。それが違う言葉というだけで。だからきっと、歌詞が僕っぽいと思ったのはそういう部分かもしれませんし、サウンドの感じかもしれません。
ー 確かにそうかもしれません。そして、「ペテン師と臆病者」、「サンバ☆エロティカ」の2曲 lは森雪之丞さんが歌詞を担当されましたが、森さんの書く歌詞は独特ですよね。
独特ですね! 独特だし人間臭いですよ、あの人の歌詞は。でも人間臭いけどスタイリッシュでいいです。ほんと、びっくりしました。
ー どういう部分に一番驚かれました?
人間臭いけど、スタイリッシュというのは、すごく難しいんです。フワフワとリリカルで文学的なことを書いている人や、ちょっと思わせぶりな言葉のチョイスをする作詞家さんも沢山いると思うんです。どちらが良い悪いということではないのですが、森さんの歌詞というのは、そういう歌詞ともまた違って、核心がしっかり大地とグラウンディングしていて、その上でシンプルさと激しさとおしゃれさとが全部混ざっていて、素晴らしいと思います。ポエトリーリーディング(詩の朗読)も観に行かせていただいたんですが、もっと好きになってしまいました。だから森さんとは詞の中で会いたい人です。
ー 詞の中で?
森さんはすごく飲みに誘ってくださるんだけど、「もうちょっとの間だけ、森さんと詞の中だけで会話をさせてください。」って、お願いしています。
ー 森さんはそれに対して何と言われていましたか?
「そういっていただいて光栄です。」と言ってくださいました。でもあの人は本当に詞の世界の妖精みたいな、そんな感じの人だから、僕みたいな普通の国の人はね…。
ー 普通の国の人って!(笑)
(笑)そういうやりとりが何回かあった中で「僕みたいなポエムの国の住人に変装したペテン師は、いつまでさかいくんのことを騙せるか分からないけど、また一緒にやろうね。」って言ってくださいました。
ー それは嬉しいですね。
ええ。だから今は詞の中で会いたいし、それで十分、会っているという実感ができる人なんです。例えば「仕事はどうだった?」とか、そういうリアルなことを聞かなくても詞で全部物語っているというか。テクニックを超えたものを持っているけど、やはりテクニックもあるという人がすごい人なんだと僕は思っています。
ー 確かにそうですね。そういう意味でもこの「ペテン師と臆病者」は、シンセのサウンドが軽快だけどPOPになりすぎない甘く溶ける感じのメロディに、バラードにも合いそうな森さんの歌詞をのっけてくるというギャップに驚かされました。
まさにそこなんです!
ー それに対して「サンバ☆エロティカ」は、歌詞の世界直球なメロディですが、今までのさかいさんのグルーヴからすると、いちリスナーとしても新しい感覚がありましたし、元晴さんの艶かしさを強調するsaxも最高でした!
これは地下でセッションしてる湿っぽい感じ、汗まみれの感じが出ればと思っています。歌詞のイメージも含め、歌うこと自体がすごく楽しかった曲です。