ー ここでさかいさん作品の話に戻りますが、6月13日リリースの福耳4年ぶりのシングル『LOVE & LIVE LETTER』プロデュースをされ、今回はさかいさんヴァージョン収録。この曲への想いを教えてください。
この曲と「君と僕の挽歌」は結構 “対”になっていて、人間がテーマです。すごく大きなことを言うと、僕は特定の宗教には属していませんが、神様に対しての畏敬の念というか、サムシング・グレート(すごい何か)があって、生きていても死んでいても守られていて、結局僕たちが死んだあとも続いていく。例えば、「君と僕の挽歌」に出てくる、亡くなった僕の友人も、肉体はなくなっているけど、彼のことを思い出すたびに、寂しさがずっと続いている感じがして、それはある意味では生きているということだろうと思うんです。
ー 分かるような気がします。
本当に死んでいたら、もう存在すらもないというか。
ー 寂しささえ続かないということですよね?
そうです。寂しさが続くということは、その人は生きていて、心の中で穴になってしまう。その人にしか埋められない穴。「LOVE & LIVE LETTER」のタイトルにもありますが、”LIVE”というのは生きているものですよね。
ー はい。
僕は、誰かに会ったり、誰かのことを好きになる為に生まれてきたような気もするんです。そうじゃなかったら、どうやって生きていけばいいか分からないですもん。それが第三者じゃなく、自分に対してでもいいんですが、僕は誰かの為に働いているし、親の為に生き続けているし。それで歌も歌ってるじゃないですか。
ー はい。
だから、誰かから授けられた見えない手紙というか、輪廻転生感というのを大衆音楽にしたいんです。何も言葉は交わしてないんだけど、恋人同士には特別な優しい沈黙がある。そういう愛からメロディは生まれるんじゃないかと僕は感じています。だから自分の身体を手紙に見立てて書いた曲です。
ー それで「君と僕の挽歌」と繋がっているんですね。
はい。同じテーマしか書けなかったです。それか「Lalalai」のような、歌詞をじっくり読むようなものではない、音で楽しむもののどちらかでした。
ー この「 LOVE & LIVE LETTER 」を初めてオーガスタメンバーに聴いてもらった時の皆さんの反応はどうでしたか?
反応は微妙でした(笑)。
ー 微妙?(笑)
難しすぎて。はっきり言って、「難しいね、この曲」ってみんなから文句が出ました(笑)。
ー 普遍的なメロディだけど、そのメロディが変化していきますしね。
これは組曲になっていて毎回キーがチェンジするんです。でも僕は、この難しい曲をみんなでやりたかったんです。ただ福耳史上、一番難しい曲だって、まず卓弥さん(スキマスイッチ 大橋卓弥)に言われました(笑)
ー あははは。
だけど折角なら、自分にしか出来ないものをやりたいと思ったんです。
ー 実際、やってみてどうでしたか?
結果的には楽しんでもらえました。レコーディングとかすごく楽しかったですもん。この曲は本当に難しいんだけど、僕はそれをオーガスタメンバーだけで演奏したかったんです。だからベースをお願いしたサダさん(COIL 岡本定義)は、本当はベーシストじゃないから「さかいくんさぁ、こんなの弾けないよ!」って言われました。それを「でも5回位やったら絶対楽しくなりますから!一回覚えてもらうと、楽しくなるような魔法をかけていますから」って言ってね(笑)
ー おー!!
ゆうこさん(mi-gu あらきゆうこ)とサダさんは一発録りだったんですけど、5回目位から「だんだん楽しくなってきちゃった。」って言ってくれて。「でももう十分録れているんで、今日は解散でいいです。」って言ったんだけど、「いやいや、もっといけるでしょ!」って言ってそこから4テイク位しました。
ー すごい!
ギターの山さん(山崎まさよし)も、普段ならここまで綿密にやらないだろうという位、細かくフレーズを作ってくれて「やっぱりトップの音、これやなぁ!」っていう感じで、歌とかもすごく考えて歌ってくれました。だから良かったなと思いました。この曲、相当練習しないと悲惨なことになりますからね。
ー 確かにそれは言えてますね。ライブとかかなり集中力が必要かもしれない。
めちゃくちゃ大変です。でも、文句ブーブーだったということは、今後福耳の宣伝の時に笑い話で使おうかなと思っています(笑)
ー オーガスタキャンプとか!
そうそう!!「曲、難しいんだよ、バカヤロウ!」って言われたら「でも、その難しい曲をあきらめずにやって楽しかったでしょ。やっぱりミュージシャンですね」って。
ー はいはい!!
でもほんと、シンプルにしなくて良かったと思っています。
ー この曲をオーガスタキャンプで聴くのが今から楽しみです。
楽しみにしててください!