ー 他のミュージシャンのライヴに行ったりは?
よっぽど好きじゃないと行かないかな。でもライヴが入り口となり好きになる場合もありますけど。何年か前にアンプ・フィドラーの音源を聴いた時に、ちっとも良くないって思っちゃったんです。何でジョージ・クリントンは彼をバックに使っていたんだろう、これでP-ファンクに居たのか!って(笑)。
ー あはは!
でも、ライヴに行くとそれを生で演っているんですよ!それは凄かったー!!リズムボックスをポンッと鳴らしてそれに全部重ねていくんですけど、「何だこれ!」って感じ。
ー おー!!
音源だけだと分からないじゃないですか、そういう感じって。
ー 平たくなってしまいますからね。
そう。でも実際ライヴで音を重ねていく作業や、そこから発せられる音には興奮しました。で、本人は一音鳴らしっぱなしで、どこかに行って踊ってたりして。凄いでしょ!
ー 凄い!
もう、本当に盛り上がりました。あのファンクを現代っぽいクラブチックな雰囲気でやるのはかっこいいな。あれを生で出来るから凄いんですよ。それが全部オケみたいな感じだと大したことはないでしょうけど、ベースからドラムから全部生でやってますから。ディアンジェロとかもそうですよね。R&Bの場合、生の印象が全くないし、特に日本はそうじゃないですか。
ー ですね。
でもディアンジェロはあの感じを生で演ってますから凄い!
ー ライヴが刺激的なものって、その後に音源を聴くとまた全然印象が変わりますよね!
そうそう、全然違う!!生で観ないと絶対分からないことがあるから。でも生で観たいとソソられるポイントがないと、なかなかライヴって行かないですが。
ー ちなみに、先日グラミー賞もありましたが、AdeleにしろFun.にしろ最近、メガヒットする曲の音楽性には普遍的な王道要素を感じるのですが、ジャンクさんの音楽にもそこに共通する、王道さやポップスとしての普遍性を感じます。
結局、最終的にはみんなポップスに戻ってくるんじゃないかと僕は思っているんです。やはり音楽の本道は、音を聴いてその景色を想像して、自分の生きてきた人生の中で聴いた音楽でその時の自分を思い出すものじゃないですか。
ー 確かに。
だから最終的に残る音楽とは、そういうものだと信じて僕は音楽をやっています。
ー 4月にはアコースティックライブ、5月には「ジャンクフジヤマ withファンタジスタツアー2013」が東京・大阪でありますが、以前の取材で、「偽物じゃないかと思っている人が、ライブに来るまでのハードルの高さと、それを超えられるかは、今後の課題じゃないかと言われました。」と語っていただきましたが、その後ファン層って変わってきましたか?
段々若い人が増えてきました。元々聴いてくださっている中高年層はリアルタイムで70年代にこういう音楽を聴いてきたと思うんですが、それプラス10代や20代の人がかなり増えてきたんです。たまにそういう若い人達から「僕はこういう音楽をやっているんで聴いてください!」ってCDを渡されたりして。
ー いいですね。
本道をやり続けていることで、年代をぶち壊すんです!同年代だけに訴える音楽を作っているミュージシャンも沢山いて、80年代、90年代は特に多かったと思うんです。その時代時代で若者だった人がミュージシャンと一緒に年齢を重ねていって、そのままファンであり続ける。それはそれで素晴らしいですが、僕はそうではなくて、音楽はみんなで聴くものだと考えているんです。僕自身、世代関係なく聴いて感動し、そういう音楽から影響を受けた自分なりの音楽をやっているわけですから。だからそういう音楽が世にあってもいいんじゃないかな。60代もいれば20代もいる。ファンクなんて良い例ですよ。若い人もいれば年をとった人もいるし、もうグチャグチャ(笑)。でもそれがいい! 僕はリアルタイムミュージックが全てではないと思っているんです。だから世代間音楽格差をぶち壊すのが、僕の目標です。
ー なるほど。
僕自身も、もっと若い頃から70年代の曲とかを聴いていると「ませてる」とか言われたけど、「何がませてるんだ。好きだと思ったから聴いているんだ!」って(笑)。つまり、ませてると言うことは、その人達はその音楽を自分達の世代のものだと思い込んでいるんです。でも絶対そんなことはないと思うんですよ。作り手がそういうつもりで作っていれば別ですが、実際僕は普遍的なものを聴いて感動出来たのだからそういうものを僕が作っていても、今の10代にも20代にも響くはずだと思っています。音楽をその世代だけのものにするというのは、実に馬鹿げていると思う。だからそれを証明していきたいです。
ー 世代を越えてコミットすることに喜びはありますからね。
そうだと思うんです。まぁ音楽の聴き方を変えてしまったのはある意味、こちら側、作り手の問題だったとも思うので、僕たちでそこを引き戻したいです。
ー 最後にmFound読者のみなさんに一言お願いします。
アルバムがやっと出来ました。皆様のご期待にそえるようなものが出来たと思いますので、聴く時に是非想像力を持って景色を浮かべながら聴いてください!ありがとうございます!!
ー ありがとうございました!
取材・文/秋山昌未
■ オフィシャルサイト
http://junkfujiyama.com/