2005年に『over...』で日本デビュー。今年で10周年を迎えるKはこれがスタートラインだと語る。日本語も喋れなかった2005年。兵役で音楽活動を休止していた2011年からの2年間。再び日本に戻り音楽活動を再開し、2014年に結婚。そんな様々な経験ひとつひとつがKの音楽人生の糧となり10周年を迎えた今年、7月に弾き語りシングル『Year』をリリース。続いて8月5日にアルバム『Ear Food』をリリース。人気の高い“Brand New Day”や、“Only Human”など既発曲の他、新曲全てが生音アレンジの今アルバム。この10年のこと、アルバムを通して表現したかったこと、プロデューサー松尾潔氏のことなど、様々な角度からお話を伺いました。
ー 10周年おめでとうございます!
ありがとうございます!
ー ツアー【K 10th anniversary K〜thanK you!〜】がスタートしましたね。
はい!現在(取材時)9カ所回ったところなので、まだまだこれからですが楽しいです。多分ライヴも、やっていきながら今後変化していくと思います。
ー 今は、あちこちで「おめでとう」の言葉をもらうのでは?
そうですね。10周年を迎えられたというのは本当に有り難いことです。この10年、早かった気がします。気付いたら5周年だったとか、気付いたら軍隊から帰ってきていたとか。そういうことと同じで、気付いたら10周年。
ー でも10年前は、日本語が全然喋れなかったんですよね。
喋れなかったですね。
ー 当時は日本語をどうやって覚えたんですか?
スタッフの方と色々話をさせてもらったり、テレビでドラマや色々な番組を観たりすることが多かったですが、こうやって取材をさせていただいたりラジオやテレビ局のゲストに出させていただいたことも大きいかな。そういう時って、集中して喋る必要があるじゃないですか。
ー そうですね。
セカンドシングル『抱きしめたい』をリリースした時、今と同じ位のペースでキャンペーンを回らせていただいたんです。でも当時の自分にとっては、とても量が多く感じて(笑)。それこそ日本のアーティストの方たちが回るようなペースやスタンスで回っていたので。まぁ今から考えれば、そういうことがあったからこそ今こうやって喋ることが出来たのかもしれませんね。
ー 今や「ソニレコ!暇つぶしTV」で流暢なMCまでこなすようになって(笑)。
イヤイヤイヤ(笑)。
ー mFoundとしては2010年にリリースの『会いたいから』で初めてインタビューさせていただきましたが、その時点で日本語が上手だったし、冗談もまじえながら気さくに話をしてくれるKくんがすごく印象的でした。
ありがとうございます。あの頃は確かに、普通に喋れるようにはなっていましたね。歌詞も書いていたし。
ー 作品をリリースする度にインタビューをさせていただいていたわけではなかったけど、Kくんが軍隊に行く時はやはり淋しかったし、無事に帰ってきてくれた時は本当に嬉しかったです。勿論ファンの方はその何百倍何千倍もそう思っていると思うけど。
嬉しいな。ありがとうございます。日本のアーティストと唯一違う点をあげるとすれば、同じスタート地点に立ってデビューしたとしても、僕にはいずれ2年間、軍隊に行かなければいけないというリミットがあって、そのリミットを背負ったまま活動をする。それって、例えば何か大きなプロジェクトを進めていきたいと思った時も、頭のどこかで“いずれは軍隊に行かなければいけないから、この位にしておいた方が良いのかな”って考えてしまうんです。
ー なるほど。
これはすごく細かいことですが、例えば車を買いたいと思っても、“何年後かには行かなければいけないから、この車を売らなければいけないのか”って考えると、買うことを躊躇したり。プライベートでもお仕事でも、いつもそうやってどこかでリミットというか、自分の中で限界を作ってやってきた気がするんです。自分の心の中で自由に出来ない部分も結構あったというか。それが勿体なかったかな。でもそれがあるからこそ頑張れる部分もあるんですが、それがなかったらもっと自由に色々な発想が出来るのにって。だから軍隊から帰ってきた時にはやっぱり解放感がすごくありました。この先何をやっても色々な可能性が見えるというか。
ー そうですよね。
だからお仕事がすごく面白くなってきたんです。それこそ軍隊に行く前には得られなかった楽しさを感じています。
ー それはいいですね。軍隊のこと以外にも10年前と今って、生活も違うんじゃないですか?
10年前は今より韓国に帰っていました。向こうでもCDを出していたので、デビューした当時は一ヶ月くらい日本に居て、1週間韓国に帰るような、行ったり来たりの生活が多かった。でも10年前の今頃からはずっと日本に住むようになっていました。だからここまでずっと日本に住んで、まさか日本人と結婚してというのは想像もしていなかったです(笑)。
ー そうですよね。
結婚はいずれするだろうと思っていたけど、特にこの10年間は予想外のことが多いですね。
ー 今、10年後の自分って想像したりします?
することはしますが、間違いなく予想がハズレまくると思うんです(笑)。でも僕はそれが結構面白いと思っていて。以前僕の担当をしていたスタッフにも半分冗談で「すごいドラマチックだね。」って言われるんです(笑)。でも僕はそれが合っている気がしていて。この10年間だけを見ると、壁があってぶつかって「ウワァー!」ってなったら、それを埋めようという違うエネルギーが働いて、乗り越えていくうちにちょっとずつ形になっていくことが多いような。まぁ自分の人生の中でも特殊な10年間でしたし、これからの10年間も、とにかくスリル溢れる感じで(笑)、やっていきたいと思います。
ー なかなか想像通りにはいかないし、先には何があるか分からないですもんね。
そうなんです。まぁ予想外のことが未だに起き続けている感じでしょうね。でもすぐに予想が出来てしまうようなことって、きっと飽きてしまうと思うんです。僕、すごく飽き性だから(笑)。何をやっても長く続かなくて。でも音楽だけは長く続いてる。 やってもやっても答えが出ないというところが僕は好きなんです。
ー 10周年を記念して、7月1日に弾き語りシングル『Years』をリリース。そして今回、8月5日にアルバム『Ear Food』をリリースですが、 シングルでは何故弾き語りを?
シングルでは10周年を記念した楽曲を作りたいということから、色々なチャレンジをしてみたんです。この10年間積み重ねてきた中で、 何があるだろう? って。例えば曲自体がちょっとオシャレになるとか?いや、でもそういうことでもないなと考えて、最終的には「原点に戻ろう」ということがキーワードになったんです。