ー サラリーマンの心情を歌った“Superサラリーマン”ですが、歌詞の発想はどういうところから?
僕のライヴで、たまにスーツ姿の男性を見かけるんです。最初はきっちり聴いているんだけど、途中から酔っぱらってネクタイを外して、最後は思いっ切り騒いで。そうやって楽しんでくれている姿は本当に面白い!そういうところから「今日は嫌なことがいっぱいあったんで、とりあえず歌ってくれよ、ピアノマン!」って言っているような曲を書きたいと思ったんです。
ー ということは、この歌詞に出てくるピアノマンはKくん!
そうです!僕がピアノマンで、お客さんにこの言葉を言って欲しいです。
ー いいですね。この曲の歌詞ではないけれど、明日目が覚めたらKくんは何になりたい?
億万長者になりたいですけど。億万長者に…。
ー 何故2回言う!
<一同爆笑>
なんだろうな。明日目が覚めたら…肌がすごい白くなっているとか(笑)。
ー 焼けてますもんね。じゃあ、明日目が覚めたら何かひとつだけ特殊な才能をプレゼントするって言われたら?
タイムスリップしたいです!僕は昔の音楽やその時代の機材が大好きなので、その時代にタイムスリップしたい。例えば70年代、80年代のスティーヴィー・ワンダーって、その当時存在した機材やスピーカーにミキサー、ピアノで演奏して、アルバムとして僕らは聴いているわけじゃないですか。
ー ええ。
それを2015年のオーディオやPCでプレイすると、音も綺麗だし特にハイレゾなんかは音質がクリアですよね。でも荒かったあの時代の音で一度は聴いてみたいし、煙草の煙で前が見えないくらいのスタジオの空間も体験したいですね。
ー でもタイムスリップしたら、音楽以外でも色々と…(笑)。
そりゃ行くでしょ。
ー Kくん、今だいぶ良からぬことを考えている顔になってるよ(笑)。
アハハ!
ー この10年間、音楽を作る上で色々な人がKくんの楽曲に携わってきたと思いますが、特に松尾潔さんの存在はやはり大きいのかなと。
松尾さんは恩人というレベルではないですね。デビュー当時は何も分からないし、ただ「すごい人だな。いっぱい音楽や言葉を知っているな。」ということだけで終わっていました。でも今思うとアーティストがデビュー時、最初に出会ったプロデューサーの影響って、やはり大きいんですよね。例えば曲を書いたりアレンジをする時もそうですが、セルフプロデュースや、人に楽曲提供する立場になった時に「KCさん(松尾)はどうやって作っていたっけ? KCさんならどうやるだろう。」って考えるんです。自分自身、好きなミュージシャンのCDを買うと、必ずプロデューサーをチェックするんです。勿論楽曲制作者も見ますが、それより一番大切にしているのはプロデュース。ただ、今は曲ごとに違うプロデューサーを立てることが多いんですよね。
ー 確かに多いですね。
だからアルバムのトータルプロデューサーがすごく減っていて。1曲ごとに買える時代だからこそかもしれませんが、アルバムとしてパッケージした時に、どういう人に届けたいのか、はっきりとアーティストを引っ張ってくれるのがプロデューサーだと思うんです。だから一番最初にKCさんと知り合ったのは、僕にとってとても幸運でした。今でもすごく仲良くさせていただいて、一緒にご飯を食べに行ったりしますし、分からないことがあれば、たとえ音楽の話じゃなくても何でも教えてくださる。それは呼人さん(寺岡呼人)も同じで、音楽のことじゃなくても連絡が出来るプロデューサーってすごく素敵だなと思うんです。
ー いいですね、そういう関係。
特にアーティストって、例えば財布を失くしてしまってすごくショックだという体験をしても、そこで終わらないじゃないですか。そのショックな出来事が曲に繋がるかもしれないし。プライベートも含め、全てが曲作りの延長線にあるんです。だからそのプライベートで分からないことを相談出来るプロデューサーは素敵だし、僕がもし将来プロデューサーになるんだったら、そういうプロデューサーになりたいです。音楽だけじゃなくて、ライフスタイルも含めてアーティストが相談出来るプロデューサー。アルバムって、下手したら1年くらい掛けて作るじゃないですか。アーティストの人生も変えるし、それを聴くリスナーの人生も変えるわけだから、プロデューサーの存在はすごく大切だと思っています。
ー 11年目からはまた新たなKくんの挑戦が始まりますね。
最初に「10周年おめでとう!」って言ってもらったように、今は色々なところでお祝いの言葉をもらうことが多いんです。先程の話ではありませんが、軍隊というリミットがあり、帰ってきてからのこの解放感と共に迎えた10周年。だから僕はやっとスタートラインに立った感じがするんです。ここから踏み出すという意味でも11年目ではなく、1年目。この10年を経て見えてくるものがすごく多くて。それこそ結婚もして子どもも、もうすぐ産まれて。環境がガラッと変わったことで目線も変わってくると思うんです。だから「これからよろしく」ということをツアーでもっともっと言っていきたいし、一歩一歩踏み出して、これからどういう作品が作れるのか自分でもすごく楽しみですし、自由な発想で制作をしていきたいです。
ー いいですね。11年目であり1年目である今後が楽しみですね。最後にmFoundの読者のみなさんに一言お願いします。
以前からこういうアルバムを出したいとは思っていましたが、10年かけて、やっと自分がイメージしていたものに近づけたアルバムが出来たので、良かったら是非チェックして下さい。アーティストとファンが、ライヴで直接会ってコミュニケーションを取るというのは、アーティスト側にとってもすごくラッキーだと思うんです。例えば俳優さんやタレントさんは画面を通してお会いする。でも舞台役者の方やアーティストはそのフィルターがないので、よりひとつになって絆を感じる良いきっかけだと思います。これからもどんどんそれに近いアルバムを作っていきたいし、やはりライヴで沢山お会いしたいという想いが僕の中ではすごく強いので、是非この『Ear Food』をしっかり聴いていただいて、現在47都道府県を回っているツアーにも来てもらえたら嬉しいです。
ー ありがとうございました!ツアーも引続き頑張って下さい。
取材・文/秋山昌未
■ K official website
http://www.k-official.com/
現在、渋谷宮益坂上のレストランL.LOVES R.でコラボカフェ『Kafé EarFood』OPEN!
期間:7/28(火)~8/30(日)
※8/13~8/17は夏期休暇のためお休みです。
ディスプレイや、店内BGMがK一色に!また、Kのリクエストにお応えしたコラボメニューも登場。
L.Loves R.
03-6450-5364
渋谷区渋谷1-6-8 渋谷井上ビル1F
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