約2年半ぶりのオリジナルアルバム「 BUOYANCY」をリリースのキリンジ。7月にリリースされた「夏の光」に続くインタビュー第2弾!
今回はアルバム全曲解説や制作への意識や変化などを伺いました。
—— 9/1リリースの「BUOYANCY」トータルイメージを教えて下さい。
泰行:今どきめずらしい、アルバムらしいアルバムというか、1曲目から最後まで流れで聴いても楽しめるといいますか、割と今は1曲単位でみんな聴くと思うんですね。勿論1曲1曲どれも自信作ではあるんですけど、流れで聴いた時にも一つの作品として楽しめるアルバムに仕上がったかなと思いますね。
高樹:色んな要素はあるんですけど、トータルとして聴いたときに「◯○風」っていう印象は受けないと思うんです。誰それのどの感じに似てるっていう事も言いにくいでしょうし、面白いアレンジや曲、歌詞が並んでいて、かなり”オリジナル”な作品が出来たかと思ってます。
—— タイトル「BUOYANCY」 の意味は 「浮く力、浮力」。何故このタイトルをつけたのですか?
高樹:先行の配信シングルも含めて、サウンドは浮遊感があったり、歌詞もそういったイメージで作ったものが多いんですよね。あと「水」をモチーフにしてみたり。そういった事をひっくるめて伝える言葉は何か探していたんですが、浮遊っていう言葉よりもっと意思的なものが浮力って言葉にはあると感じていて、英語で何というのか調べてみたら、ちょっと面白い言葉、聞き慣れない言葉だったんですよね。でも響きとしては耳馴染みやすいと思ったので。それとアルファベットの並びもカッコいいし、これがいいんじゃないかって。それで決まりました。
—— 約2年半ぶりのオリジナルアルバムという事で、前回の「7」と作り方の面や意識などで変化はありましたか。
泰行:作り方というよりは、「7」の時は月に1曲ずつ配信でシングルを出して、それを7ヶ月連続でやって、アルバム用にまた新たに曲を足したんですけど、結局シングル中心のアルバムだったので、アルバム用に書き足す曲もシングルっぽい雰囲気というか、コンパクトで聴きやすい曲が多かったと思うんですね。今回は、シングルとして出てるものは、配信2曲「セレーネのセレナーデ」「小さなおとなたち」と「夏の光」だけだったので、他の曲に関しては比較的、より自由な気分というか、各々が好き勝手に作って持って来るというような感じでしたね。その点は違うと思います。
—— やはりシングルとアルバムでは作る時の意識は違ってきますよね。
泰行: そうですね。やはり、シングル的なコンパクトでキャッチーな曲をずっと作っていると、そういう気分というか、そういうものが他の曲でも多く出て来るんですけど、今回はそういう気分的なモードからは離れたところで作れたので、音楽的に面白みのあるものが詰まっているんじゃないかなと思ってます。
—— お互いの作品を意識したりしますか。例えば、質感が合ってるとか、またその逆とか、いい作品を出してきたな。とか。
高樹: そうですね、そういう事は常にありますよね。アルバムを作ってる時には曲がカブるとかいう事よりも、やっぱりクオリティーの方が重要な気がしますね。結局、似た曲があったとしても、アレンジや歌詞の内容で全然別な感じになりますからね。
泰行:やっぱり、お互いに曲を持ち寄ってるうちに、こういう曲が無いから次の機会に持って来ようとかっていうのは、ありますよね当然。多少ノリの良い曲があった方がいいのかな?とか、ちょっと暗めのものがあった方がバランスとれるんじゃないか?とか。
あとは、勿論、デモテープの段階で雰囲気が結構近いなというものに関しては、そこから離れるように、カブらないようにしつつ面白いものにするという事を考えたりはしますよね。それはそれでうまくいったりすると楽しいんですけどね。