ー 卒業と言えば、尾崎裕哉さんとラジオ番組で対談をされましたね。
はい。とても爽やかな方でしたよ。裕哉さんのお父様の尾崎豊さんの「卒業」と、僕が作った「卒業」には何処か共通点があると言ってくださいました。
ー 高橋さんは尾崎豊さんの曲というのは聴いたりしていましたか?
聴きました。ただ、こぞってそればかりを聴いたという訳ではないのですが、中学校の頃の担任の先生が、先生になりたての熱血感ある人で、自分が興味あるものを生徒に見せたり聴かせたりしてくれたんです。その中で、ウルフルズさんや尾崎豊さんのCDを学校に持ってきて道徳の時間に流したんですが、それが尾崎豊さんの曲との初めての出会いです。
ー 時代が変わっても、若者の悩みや葛藤というものの根本は変わらない気がしますから、裕哉さんも言われたように、尾崎豊さんと高橋優さんの「卒業」にはどこか共通点がある気がします。
自分としてはあまりそこは意識せずに自分なりのアプローチでやってはいますが、 共通点があると言っていただけたのは嬉しいです。
ー「この声」に対しては冒頭、自己紹介の意味も込めてと言われましたが、歌詞が短いじゃないですか。それはあえてですか?
そうですね。作った当時も1曲目だったり、自分の中での何かきっかけのパートになる曲だといいなと思ったんです。だからあえて歌詞も長くしませんでした。この曲をメインでこれだけを聴いてもらえるライブをするというよりは、この曲をオープニングやエンディングで使ったり、ブリッジで使う、そういうSE的ニュアンスが強かったんです。だからそういう意味も含めて、路上ライブでは1曲目に歌っていたし、今回のアルバムでは制作していく段階で、前編・後編という構成が少しあって、前半の盛り上がりからの「一人暮らし」や「誰もいない台所」のような一人モードになっていくちょうど中間で、「この声」が入ってくるという作りにしたくて、今回は中間に持ってきました。
ー 今、お話に出た「一人暮らし」ですが、 結構ノンフィクションだったりするんですか?
はい。案外自分の中で大きなテーマだったりするんですよ、何でもないことを歌うというのは。「雑踏の片隅で」のようにひとつの出来事を取り上げて、そこから色々な切り口で歌っていくというのは、自分の手法のひとつなんですが、出来事がなければ曲が作れないというのもおかしな話で、何でもないことを歌に出来たら、誰かにとっても何でもないことが浮き彫りになるというか。例えば珈琲の歌を作ったとしたら、今、珈琲を飲んでいる人に何か希望を与えられるかもしれないとか思うと、そういうことはとても大切に思えてきたんです。それで自分にとって何でもないこと、ありきたりなことって何だろうって考えた時に出てきたのは「一人暮らし」だったんです。
ー「蓋」もそうですけど、この2曲は一人暮らしをしたことがある人なら誰しもが分かる部分が凝縮されていますよね。
僕、一人の過ごし方は得意ですよ。ほっとかれても大丈夫。
ー え、寂しくないですか?
寂しいです。
ー 寂しい時に誰かに電話しまくったりはしない?
それは出来ないですね。迷惑かも…って思っちゃう。だから電話を掛ける前に「観たい映画があったかも」とか「読みたい本があったかも」って考えるんです。逆に一人じゃなきゃ出来ないことだってあるじゃないですか。
ー 確かに。
そういう一人の時間を優先させても、時間は過ぎるし1日の休日は終わるんですよね。そういうのを選ぶのがいつしか得意になっちゃって。元来、寂しがりなので誰かいてくれればそれは最高なんですが、そういう相手を無理矢理探すより、一人でやりたいことをまずは全部探してやる!それを全部やりつくしたら誰かを呼ぶかもしれません(笑)。
ー うーん、そこは見習いたい部分かもしれない(苦笑)
それこそ「蓋」の最初の方のフレーズにも使いましたが、”可能性は無限大”であって、一人でやれることはいくらでもあるんですよ…と今のところ、僕はそう思っています。かと思ったら「一人暮らし」みたいに部屋の整理していたらアルバム観て1日終わっちゃったりね(笑)
ー あるある(笑)。それこそ今作の音源をいただいた前日に高熱をだして一人部屋で寝ていて「一人暮らし」の歌詞ではないですが、”喉よりも鼻よりもともかく気が滅入った”っていう感じでしたもん!
滅入りますよね。特に東京のような街に住んでいると、みんながせわしなく先へ先へ行くイメージってあるじゃないですか。学校を1日休んだだけで、クラスみんなの主なテーマが変わっていたり。
ー ありますね。
ずっと毎日ついていっていたつもりなのにって。それに対する恐怖感は案外昔から自分の中で強くありました。
ー「絶頂は今 」は、「頭ん中そればっかり」とは少し違うけど、剥き出しの裸の高橋優というものを晒してるようで、かっこいいです。
ありがとうございます!この曲は「気ままラブソング」や「蓋」のように、前回のアルバムでは入れられなかった表情の中のひとつだと思います。それこそ今言ってくださった「頭ん中そればっかり」や「想いよ、届け」(『誰もいない台所』カップリング)は、自分の中のカッコイイとは言えない部分を曝け出すということだったんですけど、この「絶頂は今 」はそれをもっと強気でゴリゴリした感じにやりきるメッセージを伝える曲にしました。
ー うって変わってというか、最後の「セピア」では “笑顔のさよなら” を歌っていますが、正直なところ、出来るものなんですかね?笑顔でさよならは。
心に絆があれば出来るんじゃないかと…。
ー 逆に、心に絆があるがゆえに出来ない気がしてしまうんですが。それはエゴかもしれませんが。
なるほど。「蓋」をはじめ、今回このアルバムに収録させてもらったものはすべて歌として成立させたい部分があったんです。僕もさよならのシーンになると、そっぽを向いちゃったり本当の気持ちが言えないタイプの人間ではあるんですが、この「セピア」という曲も最終的にそれをどんな表情で言ったかというのは表現していないんですよね。”笑顔でさよならしよう”と言っているというのは、実はそうでない状態なので、そうなればいいなという意味合いで歌っている部分はあります。「笑顔のさよならにしないかい?」っていうようなね。
ー なるほど!
だから断言はできないし、果たしてどうなのか、それは人それぞれなのでその人次第の解釈をして欲しいです。
ー 最後にmFound読者のみなさんへ一言
今回のアルバムでは本当に前回のアルバム以上に胸を張って、声を大にして希望や絆、光や明日というキーワードを歌っています。今迄よりかなり強気になっていると思います。それはライブでみなさんの表情を観ることが出来たからだし、まだまだ会ったことのない皆さんに会って、こういうことをお届けしたいから言葉が自分の中から出てきたと思います。5月からは人生初のホールツアーをやらせていただくんですが、こういう楽曲だったり、今一番お届けしたい想いを皆さんと共有する為に、必ず皆さんのお近くに会いに行きますので、曲を聴いていただきつつ、こういう楽曲を一緒に共有できる時間を過ごせればと思いますので、是非ライブでお会いしましょう!
ー ありがとうございます。ホールツアー、楽しみにしています。
取材・テキスト/まさやん
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