山崎まさよしとのユニット“さだまさよし”名義で元ちとせの「やわらかなサイクル」をプロデュース、その他さまざまなアーティストへの楽曲提供もしているユニット「COIL」の岡本定義がソロでは2枚目になるアルバム「ファンタジスタ」をリリース。
一度聴いただけでは全てを見渡す事が出来ないこの作品について、またギターや音楽の事について聞いてみました。
ん?これ思ってたのと違うかな? 青写真とズレちゃったかな。って思ったんですけど、出来上がった音を聴いて、成る程ね。って思いました。
—— 7/7リリースのセカンドソロアルバム「ファンタジスタ」は、どんな仕上がりになったと思いますか?
可愛いだけじゃない、大人のファンシーな感じというか、ちょっとコワカワみたいなところがモードとして自分的にはすごくあったので、今回はそういうアルバムになりました。
実はリリースが予定より半年程うしろに行っちゃったんですよ(苦笑)。
アルバム制作中に他の仕事が結構入ってきた事もありますし、他にも色々とね。
—— 他にも色々?
1曲目の「ウサギちゃん」っていう曲も本当は違うタイトルだったんです。うさぎをモチーフにした某有名キャラクター。でも使えないでしょ(笑)。そういう問題とかね。
—— どうして、もともとそのキャラクターの名前にしようと思ったんですか?
あるコンビニのキャンペーン商品にそのキャラクターがついていたんだけど、そのマグカップとお皿を友達がくれたんですが、それを毎日使うから毎日その絵を見る訳ですよ。で、そのうちに、可愛いよなぁ。って思い始めて、じゃあお前の歌を歌ってやるか。って気になってきたんですけど、でも考えたらその名前使えないじゃん!みたいな。でもそれが歌入れや曲順決めも終わってから気がついて。
—— やばいじゃないですか!
そう。他に「スナフくん」っていう曲もあるんです。それも含めてお蔵入りにしようかとも思ったんだけど、どうにか不時着しました。
特に、この「ウサギちゃん」は1曲目にしようと思っていたからある意味とっても大切な曲ですしね。
—— 曲順は、先に決めるんですか?
ずっと前はマスタリングの直前に曲順って考えていたんですよ。でもそれだと悩みすぎちゃうので、その後COILで「0・10」っていうアルバムをリリースした頃からあらかじめレコーディング前には曲は揃えて曲順も決めて、なるだけ全体像が見えるようにしておいたんですね。
—— 時期がずれた事で出来上がりのイメージが変わったりはしましたか?
ん?これ思ってたのと違うかな? 青写真とズレちゃったかな。って思ったんですけど、出来上がった音を聴いて、成る程ね。って思いました。ファンシーミュージックといっても、そんな子どもっぽい感じにはなってないんじゃないかなって。
結構ファンシーとかメルヘンってよく考えると実は残酷だったり恐かったりしますよね。
可愛い絵で描くから何となく、あぁ可愛い!になっちゃうけど「人魚姫」とか、えげつないなぁって(笑)。そういうのも大人になってくると分かってくるし。
だから大人が聴いても鑑賞に耐えうる感じにしようかなって思っていたので、そこにはちゃんとおちたかなとは思っています。
—— アートワークも見事に曲の世界感を出していますよね。
そうですね。可愛いだけじゃない。ロールシャッハ・テスト(投影法に分類される性格検査の代表的な方法のひとつ)でしたっけ。これ何に見える?みたいな絵だし。
前回の「象牙の塔」っていうアルバムはジャケットデザインが真っ白だったんですよ。
同じデザイナーさんなんだけど、昔の文庫本の表紙のイメージで作ってもらって、白で何も他には色を着けないでください。ってお願いしたんだけど、今回は黒を基調にしつつカラフルな感じにして欲しいって頼んだんです。曲も聴いてもらって。ファンシー入ってるんだけど、大人な感じでお願いしていて。で、出来上がりがこれでしょ。長年の付き合いの人なんですけど、やっぱりさすがだなって思いました。
表紙もちょっとだけ赤かと黄色とかが入っていて開けるとバーン!ってすごい感じで。
カラフルだけど色数を押さえててストイックでもあるし。