ー 曲調が似ているということではないんですが、Crosby Stills Nash & Youngを聴いた時に感じるような乾いた青空が目に浮かんできました。
実際、乾いた音はすごく出したかったんです。イントロのギターは同じテイクを2本重ねてステレオで出してるんですが、特にあの部分はアメリカのカラッとした感じを意識しました。あと2番のBメロのラップも、白人のラップのようなイメージだったんです。例えば僕らの世代だとEMINEMとか。
ー なるほど、イメージ分かります!
ダブルで同じラップをするんですが、カッチリさせすぎない。少しルーズ感を持たせたダブル。でもサウンドはカラッとしている。そのバランスは結構こだわりました。
ー HIPHOP的に言うと、Rakeさんのラップスキルは、イルですよね。サビではないけどああれがフックのひとつになっています!
そう!あれ効いてますよね。良かったです。そう言ってもらえて。
ー もっとラップも聴いてみたいです。
前ツアーはRakeとしてのバンドスタイルの形が見えたツアーでしたし、宮城県では初めてホールでも公演しました。そういう意味では3年経って自分がやりたいことを確信できたツアーだったと思うんです。だからこそ今年からはもっと自由度も高くなると思うし、Rakeらしい「濃さ」も出していけると感じています。
ー いいですねー!
昨日も(取材前日の2月11日)<バレンタイン・スペシャルライブ'13>で今年初めてバンドスタイルでのライヴをやりましたけど、やはり楽しかったです。SHIBUYA-AX、パンパンでしたよ。
ー 私も行きたかったんですけど、別件が入っていて伺えなかったんですよ!
デビューして1年目から6年目位の同世代の若手ミュージシャンを集めたイベントだったので、すごくフレッシュな雰囲気もありましたし、楽屋は和気あいあいとしていました。
ー 他のミュージシャンの方々と色々お話もされましたか?
事務所の後輩でもあるティーナ・カリーナちゃんや、ティーナのバンドのギターリストであるnakaokaanと色々話しました。あとは近藤晃央くん。以前、近藤くんが名古屋でパーソナリティーを務めるラジオの公開収録に一度ゲスト出演させてもらったんです。それで久々に会ったので結構話をしましたね。
ー 彼らとはどういう話をするんですか?
昨日は結構真面目にずっと音楽の話ばかりしていました(笑)。
ー では今度は歌詞についてお伺いしたいのですが、 “ランナーズ愛”では「らしくいたい 」という歌詞があったのに対し、“ONE WAY”では「『自分らしい』っていったい誰の話 」とありますよね。相反することをメッセージとして伝えることで実はこの2曲が物語の続きとも感じたし、全く違うストーリーとも感じたんですが。
実はこのふたつはある種同じことを言っていて、本当は「らしくいたんだよね」という問いかけでもあるんです。
ー なるほど!
でも現実には色々なしがらみがあって気を遣ってしまったり、自分を閉じ込めている人が沢山いますよね。でも、実は自分が思っている以上に自分を曝け出しても周りは受け入れてくれるし、本当の自分らしさを見つけていくことが毎日の楽しさに繋がっていくと思うんです。そういう意味で “ランナーズ愛”では自分らしさを大切にしながら、誰かを笑顔に出来たらいいなという願いを歌い、 “ONE WAY”の方は自分らしくそれぞれが持っている夢や目標に突き進んでいきたいという想いを歌っています。
ー 確かに、 “ONE WAY” の歌詞ではないですが、自分も含め人って「自分らしさ」という間違ったシール貼付けることで勝手に視野や可能性を閉ざしちゃってる部分はありますよね。
そうそう。僕は元々ギタリストになりたかったので、歌い始めた頃は歌が自分らしいとか、歌うことが本当に自分に合っているとか思えなかったんです。
ー え、そうだったんですか?
はい。でも自分が思っているより自分のことって実は分かっていなくて、何かに取り組んできた先で「これが本当は自分らしかったのかな?」とか思う瞬間があったり、全くその逆もあったり。当然自分の感覚も毎日変わるので、自分らしいということに制限をつけない。それがすごく大切だと思います。「私って、こういう人だから…」という人がたまにいますが、それは自分で可能性を狭めているだけだから、あまり好きではないんです。
ー それは大切ですよね。そこで人間としてのノビシロが変わる!
そう!それこそ “ランナーズ愛”のMVだって、僕はミュージシャンなんだから、本当はスタントなんてやらなくたっていいじゃないですか(笑)。
ー はいはい(笑)。
だけど実際にやってみたら面白い作品が出来たし、あれもひとつの“Rakeらしさ”として、みんなの心に残るかもしれない。だから自分らしさを勝手に制限はしたくないし、これから先もずっと、そうありたいです。
ー 先ほどもお話に出ましたが、“FOREVER~どこまでも~”( 期間限定盤収録)はJALホノルルマラソン2012オフィシャルテーマソング。
はい。テーマソングとライヴ、そして走ることをセットでお話いただきました。それでまずは曲を書き始めたんですが、僕自身体力作りとして日頃からランニングをしていたので、走っている時に聴きたくなる曲のテイストや、走る人間のマインドを自分なりに意識しながら作りました。
ー Rakeさんが走る時は何か聴いたりしますか?
聴く時もあるし、何も聴かずにその街の音を楽しんでいる時もあります。
ー ちなみに、音楽を聴く時はどんな曲を聴いています?
覚えるために自分の曲を聴く時もあるし、最近はP!nkをよく聴きます。全然イメージないかもしれないけど(笑)。
ー うん、ちょっと意外(笑)
あとEd Sheeranとか。
ー そっちの方がイメージあります。今回はテーマ曲でありライヴもされたということは、実際ランナーの方もRakeさんの曲を聴きながら走った方も多いのでは?
ありがたいことに「Rakeさんの“FOREVER~どこまでも~”を聴きながら、トレーニング頑張っていましたよ。」と沢山の人から声をかけてもらい、本当に嬉しかったです。