4月24日にニューシングル『僕たちの不確かな前途』をリリースするさかいゆう。昨年5月にリリースした『How’s it going?』では作詞を様々な人にお願いするなど、新たな一面をみせた。今回もその中でコラボした森 雪之丞氏がタイトル曲「僕たちの不確かな前途」とカップリング曲「ONE WOMAN」の作詞を担当。また演奏陣には山崎まさよし、江川ゲンタ、中村キタローを迎えた今作。真摯に音楽に向き合う「さかいゆう」が、ニューシングルの話だけではなく、“バンド”、 “音楽”、 “夢”について多角的に語ってくれた。
ー 4月24日リリースのニューシングル『僕たちの不確かな前途』は2ndアルバム『How’s it going?』でご一緒した森 雪之丞さんが作詞を担当されたということですがタイトルも森さん命名ですか?
そうです。僕だったらあまり書かないようなタイトルでしょ。
ー そうかもしれないですね。まるで小説のタイトルみたい。森さんの歌詞をどう歌おうかなど考えましたか?
まず歌詞を読み進めて内容自体は理解していましたが、あまり考え込まないようにしようと思ったんです。考え過ぎると引きずられちゃうので。その上で、シャウトはするけど、あまりニュアンスはつけませんでした。熱くなりすぎて何を言っているのか分からなくなるのも駄目な気がしたので。ただ、ボーカルディレクションは森さんにお任せしていたんです。
ー レコーディングはいかがでしたか?
森さんにスタジオに来ていただいて「森さん色に染まりたいので色々と言ってみて下さい。」とお願いしました。普段は自分でディレクションしてバンバンやっていくんですけど、今回は結構テイクを重ねました。だから相当疲れた記憶があります(笑)。全部で40テイク位歌ったんじゃないかな。
ー えー!それはさかいさんにとっては珍しいんじゃないですか?
珍しいですね。いつもその1/10位ですから(笑)。
ー 森さんはどういうヴォーカルディレクションをしてくれましたか?
わりと淡々と歌っていたら、もっとスティービー・ワンダーみたくコブシを回してソウルフルに歌って欲しいと言われました。実はデモテープがそういう感じだったんです。マイクも少し離れて太い声で大きな声量で歌うような。それで、35テイク位やりましたが、それは全部実験も兼ねた練習なんです。
ー すごいですね。
仕上がりは36回目のテイクを生かし、あと37回目のテイクが2、3カ所ある感じです。でも、40テイクまでいくと段々倍音がなくなるんです(笑)。声量自体は出ていて、波形も一緒だけど圧が変わってくる。だからHiという意味で本当は最初のテイクの方が良い場合が多いんですが今回は重ねたことで良いテイクが録れました。
ー 楽曲全体としてはどういう仕上がりになりましたか?
いままでの“さかいゆう”にはない…というか、自分の中にはある音楽なんですが、外には出ていなかったので、その部分を出せたのは良かったです。
ー 確かに、タイトル曲「僕たちの不確かな前途」は今までのさかいさんとはまた違うポップ感を感じました。
オールディーズな感じでしょ。
ー そうそう!
だから、50歳以上の方でも聴いてもらえるんじゃないかな。それは期待しています。かといって、若い方が聴けないわけではないと思っていますし。ただ、オールディーズ、例えばビートルズやプレスリー(エルヴィス・プレスリー)に慣れ親しんでいる世代の方は循環コードが好きですよね。
ー 染み付いているのかも。
そう、確かに染み付いている!それが標準化している。昔はコードのボキャブラリーも今ほどはなかったし。僕は普段色々なコードを使うけど、今回は循環コードを大切にしようと思って作りました。
ー パッと聴くと良い意味ですごく分かり易いポップソングですが、歌おうと思うと結構難しいですよね。リズムもメロディも結構複雑で。
確かに結構歌うのは難しいかもしれませんね。
ー 特に譜割!
あー、成る程。結構、溜めがあるからじゃないですか?(Aメロを歌う)
ー そうです!あとサビも。福耳のシングルとしてさかいさんが楽曲制作とプロデュースした「LOVE & LIVE LETTER」は、所見で難しさが分かるけど、この曲は実際歌ってみてそう思いました。
確かに「LOVE & LIVE LETTER」は聴くからに難しいですから(笑)
ー 力強いドラムイントロの後の軽やかな音は鉄琴ですか?
いや、あれはキーボードです。
ー ブログを観たらWurlitzerの写真が載っていましたが、あれを使用したんですか?
今回はもっとライトな音が欲しかったので、Nord Electroを使用しました。
ー この曲は低音が、重くなりすぎない程度に絶妙なバウンス感を出していますね。
やはりキタローさん(中村キタロー)のベースが効いているからでしょう。あの人はベーシストらしいベーススタイルで、ずっとボトムにいる感じ。それに僕のデモテープと同じことを弾いてくれました。それが早いし、凄いんです。全く荒さがない! 演奏が一番丁寧でびっくりしました。きっとクリックと友達なんでしょうね(笑)。そういう人っているんですよ。
ー 今回はギターに山崎まさよしさん、ドラムに江川ゲンタさん、ベースに中村キタローさんを迎えてのレコーディングでしたが、山崎さんはいかがでしたか?
山さんは、僕のアレンジを大切にしてくれました。山さんが考えたカッティングは入っているんですけど、 僕がシンセで弾いていた部分をギターで表現してくれて完全にスタジオミュージシャンになっていただきました。だから今回は、山さんを呼んだというよりあの3人を呼んだという感じでした。
ー あの3人のグルーヴは見事ですよね。
まさにあのグルーヴが欲しかったので、描いていたイメージ通りに完成して感謝しています。