ー でも折角ならやっぱりオリジナル曲で出て欲しいから、この『僕たちの不確かな前途』をバーンと売って…。
ゆっくりとゆっくりとね(笑)。
ー 音楽的な話をすると、さかいさんの楽曲って特に素人が歌うのに難しいじゃないですか。それこそ「イマジン」(ジョン・レノン)のようにライヴで大合唱出来る曲とかも聴いてみたいです。
多分メチャクチャ売れたら状況は変わってくると思うんです。
ー というと?
今売れている楽曲でも実はすごく歌うのが難しい曲もあると思うんです。でもみんな歌うんですよ。
ー 歌いたくなるのかな?実際歌いたくなる旋律ってありますからね。
多分あると思います。でも僕はその「歌いたくなる旋律」というアンテナはないかも。良いメロか、何回聴いても飽きないか、5回聴いて飽きるかは分かるけど。あとは回数にもよると思います。
ー 聴く回数?
そう。聴く回数=ヒットの度合いだったりするじゃないですか。
ー 確かにヘビーローテーションで刷り込まれる。
そうそう。でもそうなると自分ひとりの努力だけでは語れなくなりますから。というか、自分だけの努力なんて10%位かもしれない。アーティストは最初のアウトプットだけで、あとは宣伝とかその他色々な人の力ですから。でも僕はスタッフに恵まれています。この作品を作る時も沢山アイデアを出してくれたし、事務所にしても自分達が納得出来ない作品は出さないというこだわりが強いし、社長がそうですから。
ー オフィスオーガスタの森川社長ですね。
はい。聴いて感動出来なければ「さかい、やっぱり駄目だと思うんだよな。」って言われるし、社長がそこまで言うならもう一度考えてみようという気になるんです。決して理不尽なことは言わないし、別に意地悪で言っているわけではないですから。
ー 森川社長の自社アーティストへの愛情の深さは折に触れ伝わるし、もの凄く音楽が好きな方ですよね。
音楽大好き!大好きすぎる位(笑)。あの人もとてもクリエイティブなんです。お洒落だし、ハートはロッカー!
ー 5月19日(日)にワンマンライヴ<さかいゆう Premium Acoustic Live ”ONLY YU” #2>がありますね。
SHIBUYA-AXでやります。好きなライヴハウスなんです。色々な音楽が沁み込んでいるし僕自身、好きなミュージシャン達を観に行くことも多いので想い出もあります。
ー 今回はグランドピアノだけを置いた弾き語りですか?
そうです。大丈夫かな(笑)。でもすごくシンプルな感じにしたいと考えています。
ー 最後にmFound読者のみなさんに一言お願いします。
考えていることがあるんだけど、文字にすると説教臭くなっちゃうかな?
ー そんなことはないと思うけど。それにさかいさんが考えていることを聞いてみたいです。
勿論始めから自分の好きなアーティストの記事を読むのが目的の人もいるでしょうけど、今はどういう音楽が流行っているのかな、どういう帽子が流行っているのかなと同じ位の感覚で記事を読んでくれている人もいると思うんです。理由はどうあれサイトを観て、そこのページをクリックして情報を収集する。そこには物事を深く知ろうという気持ちがあるわけで、そういうのはすごく良いと思うんです。僕もそれで色々知ったことも多いし。でもそれをやめると、自分が好きなものにしか興味がなくなってくるじゃないですか。
ー 確かに、一気に思考が偏ります(笑)。
だから僕自身、自分とは関係ないアーティストの記事でも読むのが好きなんです。でもそこで、「自分はこうは思わないよ、馬鹿じゃない。」なんて気持ちで観ていたら自分が成長しないから、頭を空っぽにして読むんです。
ー いいですね。
アーティストは言葉ひとつひとつが大切だから、何を言うかも注目されているし、アーティストが何を考えているか知りたいと思って記事を読んでくれる読者の心の動きにリスペクトがあります。…って、長かった?(笑)
ー 大丈夫(笑)。というより、さかいさんの言葉でそうやって語ってくれることがやはり読者の皆さんにとっても嬉しいし、エムファンとしても嬉しいです。
良かった。
ー ありがとうございました!ライヴも楽しみにしています。
取材・文/秋山昌未
■ さかいゆう オフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/
sakaiyu/