ー 池田貴史さんにピアノをお願いするきっかけは何でしょうか?
木内:山ちゃん(山口)が、その古着屋さんに通うようになって、そこで池田さんと仲良くなったんだよね。
山口:そのお店を紹介してくれたのが、池ちゃんだったんです。浅草でブラついてたら声かけてくれて。前から仲は良かったんですがそれをきっかけに更に仲良くなって。元々池ちゃんのことが好きだったし、才能ある人なので、一度一緒にやってみたいとは思っていたんです。この2人も池ちゃんのこと好きだしね。
木内:そう。今回キーボードやピアノを入れる曲があるので、演奏を誰にお願いしようかとは話していたんです。で、それなら池ちゃんがいいんじゃないかという話になって。人間的にも好きだし、ご自身もバンドマンなので話が合うんじゃないかと思いお願いしました。
ー 曲調や歌詞の持つ意味合いは別としても、レコーディングは楽しかったですか?
山口:楽しかったは楽しかったけど、ツアーやってレコーディングやってというスケジューリングだから長距離を駆け抜けたという感じです。でも逆に、閃いてビリビリッと電流が走っているうちに録りきらないといけないと思っていたので、体力があるうちにまずやっちゃいました。ロックンロールって瞬発力じゃないですか。そういう初期衝動があるうちに録りきったので、今はある種のリハビリも必要ですね(笑)。
ー 更に、桜井秀俊(真心ブラザーズ)がシタールギターやペダルスチールなどで参加。
山口:そうです!桜井さんは原曲を壊さないようなアレンジをしてくれたし、一緒にやれてよかったです。しかも、機材も貸してくれて高いギターをレコーディングでも思う存分弾かせてくれました。
ー そしてそれをふまえて7月11日にアルバム『ロックンロール イズ ノットデッド』がリリースされますが、レーベル、事務所の移籍後初。約2年ぶり。長かったです!
山口:お待たせしました!! 震災が起きてから、<LIVE福島 風とロック×野馬追>で6日間ライブをやったり、<SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2011>で大トリをやらせていただいたりしましたが、あの時のお客さんのパワーは凄かったんですね。日本中が大変だったと思うんですが、やるぞというパワーをいただいたし、仲間のバンドがすごく行動が早かったんです。
ー 確かにミュージシャンのみなさん、何かしらのアクションが早かったですよね。
山口:そうなんです。そういう人達の行動は本当に誇りに思いました。
ー 改めてアルバムのコンセプトを教えてください。
山口:今作は、コンセプトというコンセプトより、そういう仲間の行動力やお客さんのパワー、その衝撃というものを共有、循環するような曲を作り、それを形にしようと思いました。
ー 実際の仕上がりはいかがですか?
山口:これで駄目ならしょうがないという位の出来になったし、今のところ、この仕上がりは最高だと思います。自分で言うのは勝手だけど(笑)、でも周りからもいい反応をいただけていますから、いい作品に仕上がったと感じています。
ー 震災後のリリースというのはしばらくありませんでしたが、特に山口さんはtwitterなどでのご自身のつぶやきや、RT(リツイート)が勢力的でしたよね。
山口:最初は震災に対して言葉を発するつもりはなかったんです。というのは、僕ごときが何か言葉を発することは、実際厳しい局面にさらされている人達に失礼だという想いがあったから。「I love you & I need you ふくしま」で勇気づけられましたという言葉やお礼を言われるのは、本当に嬉しいことですが、この大変な時にそんなこと言ってる場合じゃねぇよ!そんなこと言ってくれるなよ!という意見があったとしても、当然だと思うんです。でも、twitterとかで「自分の言葉を発しないのか?」という意見をかなり早い時期からいただいたんです。
ー 皆さん、山口さんの言葉を待っていたんですね。
山口:そうなんですかね。僕は最初、信用できる情報のみをずっとRTしていたんです。でも、そこに自分の言葉はないのかという風に言ってくださる方が多かったので、徐々に自分の言葉を入れていくようにしたんです。だから、ああいう場からも皆さんのパワーをもらったのかもしれません。
ー 確かにそういうパワーがアルバムにも凝縮されているのかもしれませんね。
山口:そうだと思います。
ー アルバムタイトル、そして曲にもなっています「ロックンロール イズ ノットデッド」ですが、もう説明がいらない位のタイトルですね!
山口:このタイトルはやはり昨年の震災を経て出てきたのですが、それをこういう言葉で出すのか、もっと違う言い回しで出すのかというのも考えました。それはtwitterなどを含め、皆さんからもらったパワーに、名前をつけたかったという想いがあったからです。この、すごいパワーにどう名前をつけようか?って。それを、”ロックンロール イズ ノットデッド”と言いたかったというのが、まずひとつ。あとは、この曲を木内がすごくいいって言ってくれていたんです。曲といってもまだ断片の段階ですけど。だから、”ロックンロール イズ ノットデッド”という想いと、この曲をひとつにできないかというところから作りました。
木内:このイントロでアルバムが始まったらいいなと思ったし、ほんの数秒聴いただけで心をわしづかみに出来るイントロにしたいと考えていました。
山口:イントロを作ったのは、正月入ってからだよね。
近藤:そう。とにかく正月明けてから3人で始めたので、アルバムタイトルだって何も決まっていなかったし。
山口:いくつかのアイデアがあったというだけでしたが、”ロックンロール イズ ノットデッド”という言葉もそのひとつだったという感じでした。
ー でも、サンボマスターさんはライブで何度も”ロックンロール” と叫んだり、やりたいことやスタイルが一貫しているから、”ロックンロール イズ ノットデッド=サンボマスター” というイメージを持ちました。
山口:おー!
木内:それは嬉しいですね。
ー この曲のPV、写り方が面白いですね。
山口:でしょ!監督さんが面白いアイデアを出される方で、楽器にカメラを取り付けているので、動いた方向を捉えるんですよ。
木内:だから、人物は常にまっすぐで、背景だけ動くんです。
ー なるほど!
山口:街中で撮ったんですが、360度回るから、 映り込まないようにしなきゃいけないくて、スタッフが現場からいなくなっちゃうんですよ。だから僕ら、ずっとヘンテコな奴らになっちゃって(笑)。