ー ヘンテコって!(笑)
木内:俺なんて、台車の上にドラムを乗せて撮影しているから、大名行列みたくなっちゃったし(笑)。
山口:あれはすごかったねー!!
木内:商店街ですげー恥ずかしかった!!!
近藤:でも、商店街はまだいっぱい人がいるのでいいんだけど、公園で撮った時が問題なんです。公園の木陰から我々が出てくるわけじゃないですか。
ー はいはい!
近藤:木陰から我々のような者が出て来たら、確実にビックリしますよね。なにせ物騒な世の中ですから。
木内:殺られる!ってね。
<一同爆笑>
近藤:初めて見るものという顔で警戒されました(笑)。
山口:しかもあの撮影の為に、僕ら朝4時半起きですからね!
ー えー!!
木内:お台場に前乗りってしたことないですから。
山口:お台場に前乗りして、4時半に起きてあれを撮ると、スタッフ周りから消えちゃうんですから。
ー あははは!すごい、それ!!
山口:まぁそのお陰で楽しいものは出来ましたけど。
ー それこそ商店街のおじさんとか、一般の方も3人と同じように楽器を弾いているというのがいいですね。
木内:沢山の方に協力してもらいました。
山口:そうそう。ありがたかったですよね、みなさんにやってもらえて。
木内:ビクターの方もいらっしゃって。
ー はい。知っている顔が何人か写っていました(笑)。
山口:そうですか!ビクターの方はギターソロの時に結構ちゃんとそのポジションを押さえて弾いているから、やっぱり音楽好きなんだなって思いました。
ー あと、お坊さんまでいましたね。
山口:そうそう!!あれ大丈夫なのかな、怒られないのかなって思いましたもん!でも嬉しかった!
ー 今回、「I love you & I need you ふくしま」が収録されていますが、これは3人で新たに録り直したヴァージョンですね。
山口:はい。でも、猪苗代湖ズにもゲストコーラスとして参加してもらいました。やっぱり彼らには参加してほしかったので。
ー なるほど。初回限定盤のDVDに収録されている、2011年9月17日<LIVE福島 風とロック×野馬追>での映像も見せていただきました。みんなが涙しながら一緒に歌っている姿にぐっときてしまいました。
山口:箭内さん(箭内道彦)と地元のテレビ局の方に貴重なライブ映像を貸していただきました。この「I love you & I need you ふくしま」をチャリティートラックにするということが、このご時世、権利面とか厳しいところが色々あったんですが、ビクターの方が掛け合ってくださったので、本当に皆さんの協力があって出来ました。
ー 山口さんのふるさとでもある福島のライブでこの曲をやった時の反応は違うものを感じましたか?
山口:やっぱり凄かったです。でもそれは福島に限ったことではなく、昨年もツアーやフェスをやって、日本全国の人にこの曲やその想いを受け止めてもらえているのだと実感出来ましたし、ありがたかったです。
ー 実際、今回は「I love you & I need you ふくしま」 をチャリティートラックにしたり、twitterなどで勢力的につぶやいたりという動きはありましたが、サンボマスターとしてのアプローチや出音自体は一切変わっていなかったですね。
山口:「I love you & I need you ふくしま」もそうですが、サンボマスターの曲をやることに対して、喜んでもらえる印象がありました。特に「できっこないさやらなくちゃ」とかがより響いてみんなが受け止めてくれている気がしました。 何かを変えるというよりも、今迄やったことを再確認する方がいいですし。だから、ああいう悲しい出来事があったからアプローチを変えるというよりは、より力強く演奏しよう、より深く演奏しようという気持ちの方が強かったかもしれません。
ー アプローチは変わっていないものの、3人にとって震災後、制作やメンタルの面での変化はありましたか?
山口:自分の歌詞に対して、深く響くんだという確認はしました。「震災後」というけれど、実はまだ終わってはいなくて今も続いている。色々な問題は何も解決していないので、想いはより強くなりました。
木内:地震があった時は、何をどうしていいのか分からない感じでしたよね。日本中が、この後どうなるのだろうという状況だったし、音楽をやっている人間が、「音楽で力を!」なんて言っていても、いざとなると本当に「俺、何にも出来ないじゃないか。」という無力感にも襲われましたし、これから音楽を続けていくことが出来るのかとすら思いました。それであれから1年過ぎて、まだ何も終わってはいないけど、1年間色々なエネルギーをもらったし、このタイトルは自分自身でも一番しっくりきている言葉なんです。ロックンロールを出来ないんじゃないかと思ったあの日から、それでも今迄やってきて、本当にロックンロールは死ななかった。 それを体感し、経験しました。
ー 確かに、ロックンロールは死ななかったです!
木内:自分達が音楽をやれている、やらせてもらっている立場というのは、バンドをやりたいと思っているからやっている。ただそれだけのことだと思うんです。だから、やりたいと思ったら、それをやりきらなきゃ駄目だという想いは、より強くなりました。
近藤:元々自覚はしていましたが、 やはり僕らがライブをひとつやったら、 そこには何らかのメッセージや人に何かを伝える力というのが発生するんだということを改めて感じました。そこで何かいい形で、本当に嘘臭くなく、思っていることをやっていかなければいけないと感じました。自分をよく見せようとかいうことではなく、真の想いをお客さんに伝えていく。だから新しいこのアルバムもそういうもので形作っていきたいと思いました。