ー 作品の話に戻りますが、カップリングには<TOUR2012”musium”>から、「きみがいいなら」と「ガラナ」が収録。エムファンでは4月13日のNHKホールをレポさせていただきましたが、ホールだというのに、すごい盛り上がり方していましたね。
大橋:そうでしたね! 観ていただいて感じてくださったと思うのですが、このツアーは普段とは少し趣を変えたステージで、例えば「全力少年」をバーンと明るく歌って終わるのではなかったり、舞台演出も含めてひとつのSHOWという要素を強くしたかったんです。それに対してこちらが思い描いていた反応と、実際のお客さんの反応が同じだったというのがすごく嬉しかったです。だからこのツアーは達成感もありました。
ー そして、8/22には、のSelf Cover Best Album『DOUBLES BEST』がリリースですが、こちらは初のセルフカバー・ベスト。このタイミングで、初めてのセルフカバーをリリースしようと思ったのは、やはり10周年アニバーサリーイヤー突入という区切りがあったからですか?
常田:結果的にはそうなったんですが、アイデアとしては以前からありました。ただ、もっとミニマムというか、ピアノとギターと歌で数曲入れて、アルバムのおまけ的な感じで出せたらいいねというレベルですが。でも、それだったらピアノとギターと歌だけではなくて、 もっと色々な音を取り入れて、しかも二人だけで演奏とアレンジはしながら組み立てていきたくなってきたんです。そしたらそれを10周年に向けての一番初めのアイテムとしてリリースできたら面白いのではないかというアイデアが出てきたのですが、ただのベスト盤という形よりは、折角の10年という節目ですから、ファンと一緒に作り上げていけたら楽しいと思い、収録曲はファン投票という形にしました。
ー ファン投票によって選ばれた楽曲ということで、をお二人はこの投票結果というのどのように見ていますか?
大橋:ランキングの途中まで、1位は「奏(かなで)」ではなく「藍」だったんです。それは意外でしたが、アルバムの中の曲がそれだけ支持されるというのはすごく嬉しかったです。スキマスイッチというと「「奏(かなで)」や「全力少年」というイメージが強いと思うのですが、それが最初1位ではなかったというのは、アルバムまできちんと聴き込んでくれている人も多いんじゃないかと。
ー 確かにそうですよね。
大橋:あと、みなさんもお楽しみにして欲しいという意図でランキング結果を途中から見られなくしたんです。そしたらそこから急にジャンプアップして入ってきた曲もありました。
ー ジャンプアップしてきたのはどの曲ですか?
大橋:「ただそれだけの風景」と「雫」です。
常田:「雫」は最初20位以下だったのが、急上昇してきて。多分ランキングに入っていなかったのを観て、思い入れがある方々が投票してくれたのかなと思います。僕としては「ふれて未来を」は意外でした。こう言っては何ですがそんなに売れた方ではないですし(笑)。
ー そうだったんですか?(笑)私としては「ふれて未来を」は納得の一曲でした。
常田:あ、そうですか! ライブで地道にやってきたので原曲そのものより、むしろライブでよく知ってくれている人も多いかも。ライブの最初の方やアンコールなど結構良い位置でこの曲を演奏することが多いので、印象深いのかもしれません。
ー 個人的には「ゴールデンタイムラバー」が入っていないのが意外でした。
大橋・常田:あー!!
常田:「ゴールデンタイムラバー」からスキマスイッチを知ってくださった人も多いようなので、確かに意外ですね。あと「マリンスノウ」とか。
ー そうそう! でもこの企画は第二弾、第三弾と続けて欲しいです。
常田:でもこれ、 作るのがかなり疲れるんですよ。すごく楽しいんですが、頭をずっと使っていなければいけないのでヘトヘトになりました。ずっと遊んでることの辛さと言っては怒られるかもしれませんが(笑)、楽しい楽しい!という中で、他の曲とのバランスも取ったり、原曲を意識したりしながらの作業でしたし、お客さんが聴いた時に、行き過ぎていないかとか、逆に中途半端なものになっていないかというのは、二人ですごく話し合いながら神経を使いました。
ー ということは、やはりリスナーが聴いた時のことに原曲と比べてどう聴こえるかという部分に一番重きを置いたという感じですか。
常田:そうです。みなさん、それぞれ原曲に対しての思い入れもあると思いますし。
大橋:基本は手作り感というのと、原曲を良い意味でどういう風に壊すかという部分が大切でした。結局オリジナルで一度正解を出していますから。
ー なるほど。
大橋:例えばデビュー曲の「view」だと、当時のアレンジと今のアレンジでは違うと思いますが、当時思いっきり詰め込んだものは、未だに正解だと思うんです。だから本来今回のことというのは、しなくても良い作業というか(笑)。でもそれを、いかに面白く作りかえられるかということをすごく考えました。リスナーの方々が持っている原曲の想い出を、良い意味で裏切りたいんですけど、もしかしたら、ただ単に裏切ってしまうことになるので、そこはとても難しかったです。
ー タイトルを『DOUBLES BEST』と付けた理由を教えてください。
大橋:”ダブルス”というのは、元々、2009年にやったツアータイトルだったんですが、二人組でステージに立って、僕らとお客さんが向かい合って対決しているような感覚もありますし、ステージ上で僕とシンタ君が対決していることもあります。もうひとつは、その形態に名前を付けることで広がっていったらいいなと思ったんです。勿論何回かやっていかなければ定着はしていかないと思うのですが、「今回は”ダブルス ツアー”です。」と言った時に、お客さんが「今回は二人だけでやるんだ」というのが、すぐ共通認識できるようなワードになればいいなと思ったんです。だから、今回はライブではなくレコーディングですが、二人だけでやっているベストアルバムですので、『DOUBLES BEST』というタイトルにしました。
ー なるほど。共通認識のワードというのはいいですね。
大橋:スキマスイッチのライブは、ライブハウスだったりホールだったり、時にアリーナだったりしますが、それぞれちょっと違う楽しさをそこに作りたいんです。その中の一つとして、”DOUBLES”というカテゴリーがあると認識してもらえるようにしていきたいです。
ー 全12曲すべて、お二人だけでリアレンジと新録をされたということで、かなり弾き語り的なアコースティック要素が強い仕上がりになると思ったのですが、弾き語りは勿論、打ち込みや二重奏など、表情豊かなで驚きました。
常田:良かったです!
ー 今回はどれ位の楽器を使われたんですか?
大橋:そういえば、どれ位使ったのか数えたことなかったな。
常田:勿論サンプリングしたものを録っていたりもしますけど、楽器はかなり使いました。
大橋:僕は基本的にアコースティックギターと、エレキギター、ピアノもシンタ君と一緒に入れましたし、ベースとドラム…これだけでも5つ使っていますからね。
常田:僕はパソコン全般でした。あとシンセやオルガンなどのキーボード類と、たまにタンバリンやピアニカを使いました。