長いツアーの直前、久しぶりに再会したsuzumokuはいつもの煙草を吸いながらリラックスムード。しかし質問をぶつけると、真っすぐな姿勢でしっかりと想いを伝えてくれた。先行配信曲「モンタージュ」に込めたsuzumokuの赤裸裸な感情。「どうした日本」を書くことが出来た心の変化。その、てらいのない言葉ひとつひとつは、決して隠すことなく、かと言って無神経に吐き捨てることもない。“真面目”と言い続けられることに対しての気持ちも含め、まさに初のフルアルバム『キュビスム』には、「今」のsuzumokuが詰まっている! アルバム同様、suzumokuの多角性を色々と語ってもらった。
ー 昨年は3月から全都道府県計51本にもなるツアー<“生声弾語りSolo Live”aim into the sun ~step by step~>を開催。完全アンプラグドライブでしたが特に想い出深かったことを教えてください。
ライヴハウスだと、終わった後は挨拶してそのまま帰ることが殆どですが、カフェでのライヴが多かったので、終わった後にお店の方と談笑したり「一緒に飲みましょうよ!」って、そのまま飲んだり(笑)。そういう意味ではコミニュケーションがすごく多かったなと思います。秋田のライヴではお店の方とハシゴで飲んで、マスターが酔いつぶれちゃったりしました(笑)。
ー あはは!楽しそう。suzumoku君はお酒強いんだっけ?
結構飲みます!
ー そうなんだ!あと、うち(mFound)で書いてもらってるブログを観ていたら、カメラのキャップをいただいた場所があったみたいだけど。
新潟ですね。ライヴ会場がアンティーク物も販売しているお店で、カメラも何台かあったんです。僕もカメラが好きという話はしていたんで「記念に持っていって。」と言って下さって、ヤシカの二眼レフを頂きました。
ー カメラごと頂いたんだ!!
そうなんです!それがかなり年代モノだったので調べたら、1950年代位のものでした。だから実際に使えるのかなと思ってシャッターを切ったら普通に使えたんです!古いカメラなので一時トラブって使えない時もあったんだけど、今は復活しました。
ー カメラと言えば、カメラマンとしても高田リオンさんや星羅さんのアーティスト写真を担当したんだよね。あれはどういうきっかけでやることになったの?
個展に高田リオンくんが観に来てくれたんです。
(※2011年11月15日〜20日 原宿デザインフェスタギャラリーで写真個展「真面目な人」を開催)
ー そうだったんだ!
でもあの時に出展していた写真が、人物じゃなくて風景とか猫が多かったじゃないですか。
ー そうだね。
リオンくん的には人物を撮らないsuzumokuが、完全に人物を撮るということを前提にした場合、どういう写真を撮るのかということに興味を持ってくれて。ちょうど彼がホームページをリニューアルするにあたり、新しいアーティスト写真が必要だったんです。それで声をかけてくれました。僕も初めてのことだったので、どういう風になるか分からないけど、フィルムでもいいかと聞いたら、むしろフィルムの方がいいって言ってくれたから挑戦してみました。
ー 星羅さんはライヴで共演したのがきっかけ?
その前にも僕のライヴを観てくれていて、その後も対バンすることがあったので、知り合いではありました。ちょうど彼女もリオンくん同様、ホームページを新しくするにあたり、アーティスト写真も新しくしたい時期だったので、撮らせていただきました。
ー でも確かにsuzumokuくんが撮る人物写真って観たことがないな。
そうですよね。だから人物を撮ることになり、注意点をすごく調べたんです! でもその時はカメラが1台しかなくて、カラーとモノクロを途中で変えられないから急遽もう1台探しました(笑)。
ー えー!!
あと、肌のテカリとかを防ぐフィルターがあるので、それも探して購入しました。で、「とりあえずこれでやってみよう!」って(笑)。
ー カメラはフィルムにしたとしても、その後の処理をデジタルに頼らないというところが、徹底しているよね。
逆にそれで、自分の知らなかったことも分かったので勉強になりました。
ー では改めてアルバムのことを伺いたいのですが、3月27日リリースの『キュビスム』。今回が初のフルアルバムというのは、意外でした。
コンセプトで12曲収録のアルバムは2枚リリースしていますが、殆どセフルカヴァーなんです。今回「ノイズ」はセルフカヴァーだけど、バンドで再録しているので、実は初のフルアルバムなんです。
ー 実際、聴かせてもらったけどタイトル通り、多角的に強いメッセージ性を感じました。改めてアルバムコンセプトを教えてください。
コンセプトはないんです。
ー ない?
はい。フルアルバムを作ることになった時に、まず先行でリリースされていた『モンタージュ』は収録する予定でしたし、新曲は勿論入れたいと思っていましたが、そういう中で作っていた曲が結構色々なキャラクターを持っていたんです。「リエラ」は アコギで優しい感じだし「モンタージュ」はシリアス。「ブルーブルー」は爽やか。ライヴでやっていた「どうした日本」はド直球!だから、フルアルバムを作る前段階から、とにかく色々な面を持った曲が入るという予感がありました。変にコンセプトをがっちり固めるのではなくて、とにかく録音してみようと。それで最終的なマスタリングの時、1曲目からブワァーって聴いていくと、やはり色々な自分の姿が見えてきたんです。初期の頃のようなシリアスさもあり、『素晴らしい世界』(3rdアルバム)のような明るさもあり。そこから更に震災を経て「僕らは人間だ」という曲も出来て。自分自身に対しても、変に周りのことを考え過ぎずにもっと素直に素のままの自分を出していこうと思ってから出来た曲の雰囲気もあり、最終的に色々なものが混ざり合いながらひとつになって、そこで何となくピカソの絵みたいイメージが出てきたんです。