4月20日に1stフルアルバム「リアルタイム・シンガーソングライター」をリリースした高橋優。彼の歌ヂカラは新人とかベテランとかの域を超越した何かを持っている。今回、自身のキャッチコピーがついたこのアルバムのこと、歌うことの想い、そしてNYでの路上ライブのことなど、さまざまな観点から高橋優のリアルタイムの掘り下げます!
—— 高橋優さんのキャッチコピーがついた1stフルアルバム「リアルタイム・シンガーソングライター」は、どういう作品に仕上がりましたか?
自分の今持っている全てを出せたアルバムになったと思います。
—— 1曲目の『終焉のディープキス』の掻き鳴らすようなギターのイントロを聴いた時に鳥肌が立ちました。高橋優キター!って感じで。
ありがとうございます!!
—— 映画好きな高橋さんらしい物語の始まりですが、こういうのは体験の一片が入っている感じですか?
そうですね。『終焉のディープキス』に関しては、本当に映画好きなので全部どこかしらで経験したことを織り込みました。
—— 渋谷の描き方が上手いですよね。
ありがとうございます。「居酒屋いかがっすか〜?」ってね(笑)
—— かと思うと『メロディ』のように、Only Oneへ対しての真っすぐな想いを優しく包む歌があったりもしますね。
『メロディ』はこのアルバムに入ってる曲の中で唯一すごい昔に作った曲なんです。約10年位前かな。この曲はお別れの曲なんですが、 その当時は”君に捧げたメロディ”って言いたい対象がいて、お別れしなければいけないことや、また会いたいという想いを込めて自分に出来ること…つまり歌うことしか出来ないという気持ちを本当に真っすぐに歌っていたと思います。この曲だけはずっと歌いたいと思いながら10年きたんですよ。『リアルタイム・シンガーソングライター』というタイトルのアルバムなので、出来るだけ本当に今歌いたい歌、今届けたい想いみたいなものを届けたいと思っていて。実際そういう曲しか入れてないんですけど、『メロディ』もそうですね。10年前に作った曲とはいえ、ずっと歌い続けてきた曲なんですよ。 またいつか会っていつか今のことを笑って話せる時がくると思うという心情を歌っているんですけど、10年経つということは、それを体現しちゃったというか、また会って笑ったことも経た後だと思うんです。そういう経験もして改めてやっぱりまた歌いたいと思いました。今は作った自分のことを客観視しながらも、改めてこの曲を作れたことは良かったと考えています。
—— 10年前に作った時と今では、歌ってて違いはありますか?
ありますね。根っこの部分では、歌っていて気持ちよかったり、自分の大好きなメロディラインだったりするのでそういう意味ではあまり変わっていないかもしれませんが、歌詞の世界観で言えばやっぱり書いた当時の自分の想いと今とではどうしても少し違ってきています。でも作った時に負けない位に強い気持ちで歌っていますね。楽しさだけじゃない切なさやわびしさも感じられるんですよ。その種類みたいものが作った当時と今では違う味わい方があると思っています。
—— 『靴紐』と『サンドイッチ』はライブでもすでにやっている曲ですね。
はい。両方とも東京に出てきてから作った曲なので、2年以内に出来上がったものなんですが、アコースティックライブでずっとやってきていたんです。それでライブに来てくださった方々から音源化しないんですか?という声もあり、自分としても早めにこの歌をちゃんと音として残したかったというのもありました。今はまだ作り立ての頃のような すごく新鮮な気持ちで歌えています。『メロディ』みたいに、歌っていたら(作った当時と)微妙に違う気持ちで歌っていたり、逆に、一回嫌になっちゃって歌うのをやめたりする時もあるんですよ。別の曲を作ってきて、その曲は引き出しにしまっておいてという。そういうことがまだ何も起こる前の出来立ての曲なので、新鮮なうちにお届けしたいという気持ちで、今回収録しました。
—— 『サンドイッチ』は力が抜けている感じで大好きです。
ありがとうございます!僕の曲を聴いてくださった方は、『終焉のディープキス』や『素晴らしき日常』みたいなガツガツとした音像や表現、歌詞の世界が、もしかしたら「高橋優の世界」だと思われるかもしれないんですが、僕は今回改めて ”はじめまして” のアルバムだと思っているので、初めて聴く方にも「これも高橋優の表情だよ」って言いたかったんです。『サンドイッチ』は、いつもCDを聴いてくださる方には、普段と違うんじゃない?って思われるかもしれないし、アルバムの中でもひと際違う音の作りになっていますね。それもすごく自分の代表曲として胸を張って紹介したい曲のひとつです。
—— では初めからその自己紹介というのはキーワードになっていたんですか?
個人的にですけどね。僕が今回アルバムを作るとして、どういうアルバムを作りたいかを考えた時に、前回とは違うものにしたいというのがあったんです。前回インディーズで「僕らの平成ロックンロール」をリリースさせてもらって、その時は怒りだったり、眉間にシワが寄った表情だったりが全面に出ていた気がするんですけど、今回のアルバムはそこから一歩前に進んで、笑っていたり気が抜けてボケーとしていたら誰かとぶつかっちゃったシーンとか、そういうものをもっともっと出して行きたいし自分の喜怒哀楽や矛盾も出していければいいと思っていたので、そういう意味では『サンドイッチ』は大切な位置の曲です。
—— 『少年であれ』は、またかなり衝撃的な歌詞から始まりますね。
そうですね。サビの部分だけ聴いてもらえると、合唱でそれこそ少年たちが歌ったらちょうどいいんじゃないかって言われたこともあったんですけど、歌い出しが「僕なんか、生まれてこなかった方がよかった」ですからね。それは歌わせられないって!(笑)
—— 生まれてこなければよかったと思わせ、傷つける「奴ら」というのはどういう存在ですか?
それは自分にとって都合の悪いもの全てですよね。自分が歌っていきたいと思うものって出来るだけそういう対象を作らずにいたいとは思っていたんです。例えば桃太郎ですが…。