ー たまにそういう光景見るね。
「それって晩ご飯なの?」って訊きたくなるんです。塾の帰りなのか、小腹が空いて食べているだけなのか、本当に晩ご飯なのか分からないけど、そういう光景を見るとすごい不安な気持ちになって。僕の考えは古いのかもしれないけれど、こんな時間だったらまず家に居て、家族みんなでテレビを観ていたり、お母さんがご飯を作るのを部屋で待っていたり。ありきたりだけど、そういう景色を見て育ってきたので、夜の8時頃に街のベンチに座って、ファストフードやコンビニ食を食べているってどういうこと?って思ってしまう。「おかえりって言ってもらってる?ただいまって言う相手がいる?」って。まぁ多分考えすぎだとは思うんです。親に内緒で、つまみ食いしているだけかもしれないし(笑)。でも何となく社会の流れのひとつとして、子どもたちが淋しそうに見える時があって。
ー 世の中には色々な家庭環境があるから、おかえりやただいまを言い合えない家族も正直沢山あると思うんだ。うちもそうだったんだけど。まあ私は最近の子どもじゃないけど(笑)。
“旅人”でも歌っていますが、もし我々が帰る場所を探して旅をしているのならば、その帰る場所というのは、「僕の」帰る場所ではなくて、いつか「僕が」誰かにとっての帰る場所にならなければいけないのかなと思ったんです。例えば自分に家族や子どもが出来たら、僕が家族にとっての帰る場所。
ー なるほど。
音楽において言えば、高橋優を帰る場所に思ってくれても嬉しいし。「俺はどこに帰ればいいんだよ!」ではなく、自分自身が誰かにとっての帰る場所になっていく。このドラマの台本を読ませていただいてからは、そういうことがとても気になるようになったんです。
ー そして、“リーマンズロック”はファン投票で決めた1曲。予想としてはどうでした?
結構意外でした。僕個人的には“裸の王国”を入れたかったんです。あの曲は自分の中でも新しいタイプの曲だと思うので、今の高橋優を知ってもらうという意味では良いのかなと。でも僕のA&Rは“16歳”が良いって言っていたし、その他のスタッフに訊いてもみんな違うんですよ。それぞれに1番があるん。それはすごく嬉しかったですね。スタッフって皆さんお仕事だから、良い意味でも悪い意味でも、担当しているアーティストが好きかどうかって考えない人が多いって話をよく聞くんです。とにかく仕事だからやるというスタンス。でも、僕のチームはそうじゃなかったというのが、今回のアルバムを作らせてもらう時に、すごく感じました。みんながそれぞれに「あの曲は入らないんだ!高橋優と言えばこの曲なんだよ!」と意見し合って、曲を愛してくれている。何年も何年も、ただ路上ライヴをしていた自分からは想像もつかない景色でした。僕以上に僕が書いた曲を覚えてくれている。
ー それは本当に嬉しいだろうし、最高のスタッフだね!
そう思います!
ー この曲の歌詞にある「大した事ないさ 何もかも順風満帆だ」って、言えば強がりなんだけど、発する言葉ひとつで気持ちや行動って変わると感じました。つまり言霊の大切さみたいなものを。
多分歌詞だけ読むと、それこそ強がりだったり嘆きみたいな、ちょっと裏がある感じにとられちゃう気がするんです。でも音楽って面白くて、どんなことを歌ってもサビで前向きなことを歌ったりすると、言霊が生まれ易いんですよね。音譜に乗せると「たしかにそうだ!」という気持ちになる。多分この曲ではそれをやりたかったんだと思うんです。朝早くに目が覚めてしまい、仕事が辛くて吐いちゃう。得意分野でもなんでもないことをやらされている上に、代わりは利くと言われてしまう。自分は何のために今頑張っているんだろうと思いながら働いている人はいっぱいいる。そういうのを見せつけられた経験が沢山あって(笑)、「そうなんだよ、高橋。だからお前みたいなシンガーはこういうことを分かっていた方が良い!」って言われたこともありました。「成る程」とは思ったけど、それでも尚、音楽は前向きでなければいけないと思うし、そういう色々な犠牲の中にある世の中で、なかなか片付かない問題ばかりかもしれないけれど、音楽で少し心が楽になるということを、僕はやはり信じちゃうんです。そういう人たちでも「大したことないさ」って歌っていたら、本当に大したことじゃなくなるかもしれない。それが言霊の力だって、かなり前から強く信じていました。
ー 絶対それはあると思う!更に今アルバムは優くん6年の軌跡を辿った楽曲で構成されているということで、6曲の歌詞や楽曲イメージから、優くんに質問をぶつけてみます!
はい!
ー(“福笑い”)優くんが「幸せだ」と胸張って言えることは?
歌えていること。そして歌を聴いてくれる人がいること。
ー(“頭ん中そればっかり”)最近の優くん、頭ん中何ばかり?
そうだなぁ…最近は大倉くん(大倉忠義)のことばかり(笑)。本当に仲が良くて、ラジオ(オールナイトニッポンサタデースペシャル 大倉くんと高橋くん)終わりで飲みに行ったり、一緒に映画を観に行ったりしています。
ー(“素晴らしき日常”)最近、人と通じ合えたなと思った瞬間はいつ?どんなこと?
6月16日・17日に札幌で、ファンクラブ会員限定の弾き語りライヴ『胡坐』の公演があったんですが、そこでのライヴの内容はすごく通じ合えた気がしました。実はWアンコールになったんですがスタッフとも話し合って、これは出た方が良いということになったんです。Wアンコールって本当に求められてのことだし、実際僕自身もまだ歌いたいと思っていたから、その想いが会場中でひとつになった気がしました。通じ合っているというのは、ああいうことなんじゃないかなって。
ー(“こどものうた”)「イヤこれは何かの間違いさ高橋君。」という歌詞がありますが、優くん(高橋くんが)最近間違ってしまったことは?
時間を間違えて、今日遅刻したことです。本当にすみません!!!(スタッフに謝る)
ー(“泣ぐ子はいねが”)地元、秋田の自慢をしてください。
食べ物がとっても美味しいです。特に僕は稲庭うどんが大好きです。
ー(“花のように”)優くん自身が「胸の奥にチクッと刺さった針が 痛み出す」そんな経験をした楽曲は?
back numberの“高嶺の花子さん”。特に2番の歌詞がメッチャ分かるんです!もうあれはチクッではなく、グサッですね。あの曲は男の子のバイブルだと思います!
ー ありがとうございました!最後にmFound読者のみなさんに一言お願いします。
アルバムリリース後、7月25日には秋田でフリーイベントを開催します。イベントの中で美味しいものも出す予定ですし、お祭りにしたいと思っています。おそらく秋田以外からいらっしゃる方も多いと思うので、そういう方々に「秋田っていいじゃん!」って思ってもらえるようなお祭りにしたいし、5周年の高橋優とセットで秋田を楽しんでもらえるような1日にしたいです。でも、もしそのイベントにどうしても来れないという場合は、10月からツアーが始まります。そして12月5日(土)・6日(日)には日本武道館で2DAYS公演やらせていただきます!是非ライヴでお会いしましょう!
ー ありがとうございました!
取材・文/秋山昌未
■ 高橋優公式HP
http://www.takahashiyu.com/
高橋優サイン入りポラ写を抽選で2名様(1人1枚)にプレゼント!
応募は締切ました。たくさんのご応募ありがとうございました。
■ 応募締切:2015年7月28日(火)23:59
※厳正な抽選の上、当選された方にのみダイレクトメッセージを送ります。
※写真は選べませんので予めご了承ください。
※当落結果等、お問い合わせは一切受付けませんので予めご了承ください。