独自の歌詞観と歌声、巧みなメロディセンスを持つ植田真梨恵がメジャーデビューしたのは、去年8月。デビューシングル『彼に守ってほしい10のこと』は、今時のネットニュースのタイトルのような曲名と、キャッチーなメロディで話題を呼んだ。その後もリリース、ライヴなど勢力的に活動する植田が8月12日に 3rdシングル『わかんないのはいやだ』をリリース。楽曲のことは勿論、そこから垣間見えるパーソナルな部分によりスポットをあて、色々な質問をぶつけてみた。
ー 去年の8月にリリースしたシングル『彼に守ってほしい10のこと』でメジャーデビューしてから約1年。というか、まだ1年だったんだね。
そうなんです。もっと長く感じました?
ー シングルやアルバムを勢力的にリリースしているし、SNSを見るといつもキャンペーンで色々な地区を回っているから、まさかそれが1年とは思わなかった。
確かに(笑)。メジャーデビューして、どれくらい忙しくなるか分からなかったんだけど、やっぱり忙しかったです。特に去年の夏は夏らしい想い出がないくらい、『彼に守ってほしい10のこと』一色の夏だったし。ありがたいことです。でも最近は、そういう中でもなるべく夏を感じるようなことを、やっておこうとは思っているんですよ。
ー 花火とか?
あと海とか。出来る限り出掛けたいな。ただキャンペーンであちこちにおじゃまするのは、すごく楽しいです。やらなきゃいけないことが増えてきたりすると、たまに「オゥ!」って頭がパニくりますけど(笑)。
ー 今作、3rdシングル『わかんないのはいやだ』は、アルバム『はなしはそれからだ』と同様「どういうこと?」と気になるタイトルですよね。
「〜だ」シリーズ(笑)。
ー アハハ。「〜だ」シリーズね。タイトル曲は、友だちの猫が逃げたことがきっかけのひとつだとか。
とても大切な友だちの猫がいなくなっちゃったんです。すごく大切にしていた猫で、友だちはすごく落ち込んで見てられなくて、散々探してもどんなに人に聞いても見つからなかったんです。それなのに突然自力で帰ってきて。しかも、たまたまこの曲のワンコーラス目が出来たその日に帰ってきたんです!
ー すごいね。
ですよね!私も猫を飼っているから、猫がいなくなったらどんな気持ちになるかすごく分かるんです。でも気持ちが分かるのに、何て声をかけたら良いのか分からなくて…。一緒に探して、それでも見つからない時に、どうやって励ましたら良いのかが全然分からなくて、自分がその子にしてあげられることが何も無いと思っちゃったんです。それで、「1曲書けた頃に見つかるかもね。」みたいなことを言っていたら、1曲まるまるではないけれど1コーラス書けたところで本当に帰ってきて。それが本当になって仰天しました(笑)。
ー 本当だね。そういえば真梨恵ちゃんの飼っている猫の“らら子さん”、プロフィールを見ると「お腹周辺を焦がす」って書いてあったけど、何故?
今は夏なので絶対ないけど、冬場は部屋でキャンドルを灯すのが好きなんです。その中を毛足の長いらら子がウロウロするから、たまに火に近付きすぎちゃってボフッ!って。私は大騒ぎするんだけど、当人はあまり気にせずそのままキャンドルを飛び越えて、その瞬間に火はすぐ消えるんだけど。
ー とは言え、やっぱり大騒ぎするよ(笑)。
でしょ!毛の先が少しチリチリってなる程度だけど、燃え広がったらどうしようかって思っちゃう。
ー 怖い怖い!!でも、友だちの猫のために張り紙も作ったんでしょ?
作りました。むっちゃウケる張り紙でしたよ(笑)。あー、持ってくればよかった!オスなのに「ミーコ」という名前で、ドーンと大きくて鼻のところにちっちゃなブチがいっぱいあるんですよ。人面猫っぽい、ちょっとマヌケた顔の猫で(笑)。でもその張り紙には落ち込んでた友だちも笑ってくれて。
ー アハハ!でもそこまでして、一生懸命探してくれる友だちが居るというのは幸せじゃないかな。
そうかなぁ。その友だちは、私が20歳過ぎてから仲良くなった子なんだけど、友だちって、学生時代に色々な人と沢山出会って仲良くなることが多いじゃないですか。
ー 確かにそうですね。
でもこの友だちとは大人になってからふと出会って、好きなものや考え方が似ているなと思ったところから急速に仲良くなったんです。だから私にとっても大切な出会いだなと思っていて。
ー 大人になってから、そう思える友だちが出来るのは本当に貴重かも。
そうですね。
ー そういえば真梨恵ちゃんは、ライナーノーツを書くのが嫌いなんだって?(笑)
そもそもは嫌ですね(笑)。何の前知識も情報もなく、ただ曲を聴いてもらった方が嬉しいし、知りたい人が読める状態であれば良いかな。
ー ライターの私が言っては駄目かもしれないけど(笑)、私も作品として出来上がっているものに対して、根掘り葉掘り訊くのって無粋だと思う時があります。
でも分かります。