沖縄生まれ、沖縄育ち、現在も沖縄を拠点とする上間綾乃。
三線を持ち、凛とした力強くもしなやかな歌声で自らのルーツでもある沖縄民謡をベースに歌を響かせる。
昨年『唄者』で日本コロムビアよりメジャーデビュー。そして6月19日のニューシングル『ソランジュ』のタイトル曲、“ソランジュ”は都志見 隆氏作曲、そして8年ぶりに詞の提供を頂いた康 珍化氏による渾身の楽曲。上間綾乃のルーツである民謡、三線の存在と共に『ソランジュ』が生まれたエピソードなどを語ってもらった。
ー はじめまして!上間さんは沖縄出身ということですが、まさに沖縄顔…というか、綺麗ですよね。
ありがとうございます。
ー mFound初登場ということでプロフィール的なことをいくつかお伺いします。三線を小学校2年生から始めたということですが、きっかけは?
きっかけは三線教室に通っていた祖母です。
民謡だけではなく音楽そのものが生活の中ですごく身近な存在だったんですが、その中でもやはり祖母の影響が強いです。三線を持って祖母が出かける時に「ばあちゃん、どこ行くの?」って呼び止めたら「三線教室だよ。」という答えが返ってきたので「私も連れてって〜」って(笑)。その時は小学校一年生でまだおチビちゃんだったんですが、ちょこちょこついて行っては隣で聴いていました。
ー それですぐ三線や民謡にハマっちゃったんですか?
いや、やはり眠くなるんですよ(笑)。だから座布団を枕に寝たりもしていたんですが、民謡は心地良いし、祖母が三線を弾いている姿がすごく魅力的なんです。それに教室に通っているお友達と、とても楽しそうにおしゃべりをしている祖母を見ていると、きっとそのお友達との縁を繋いでいるのは三線なんだろうなと思ったんです。
祖母も「あんたも、三線やるね?」って聞いてくれて、私も本当は小学校一年生から三線をやりたくて師匠にお願いしたんですが、まだ小さいから早いといわれて。
ー 三線には子ども用サイズというのはないんですか?
ないです。みんな同じサイズです。だから小さい子どもの手では竿も長い三線を持つのだけでも大変で。それで「二年生に上がって、まだ民謡が好きだったらおいで。」と言われて1年間我慢しました!
ー じゃあ念願の民謡と三線だったわけですね。
そうです。やっと二年生に上がったので「教えて下さい!」って改めて師匠のところにお願いをしに行きました。
ー すごい基礎的なことを伺ってもいいですか?
はい。
ー “三線” と “三味線” は何が違うんですか?
三味線というのは本土にある猫や犬の皮を使ったもので、三線は蛇皮。 沖縄でも“三味線”という言い方をしていたんですけど、今のスタンダードは三線だと思います。
ー 音にもかなり違いがあるんですか?
全然違います。形は大体似ているんですけど、 調弦やサイズなど作りが違うので当然音にも違いが出てきます。元々は中国から沖縄に、沖縄から本土に伝わったという楽器のルーツもあるんですよ。
ー なるほど。民謡と三線というのは完全にセットなんですか?
そうです。民謡=唄と三線。だから同時に習います。
ー そうなんですね!
ええ。だから三線弾きだけの人というのはいません。
ー 琉球國民謡協会の教師免許を持っているとか。
はい。今は東京と大阪で三線教室もやっています。
ー 生徒さんの人数はどれ位いらっしゃるんですか?
入れ替わりはあるんですが、大体25人〜30人位で上は60代、下は小学校2年生までいます。だから見ていると、それこそ当時の自分を思い出します。三線は腕を高く上げるのでキツイんですよ。そこを「頑張って、頑張って!三線をちゃんと持って!」って指導しています。
ー 先生としては厳しいタイプ?
厳しいです!!(笑)アーティストとしての上間綾乃とは全然違います。
ー おー!
やはり教えるとなると、自分が師匠に習ったことをしっかり伝えなければいけないという役目があるので、厳しくもなりますね。
ー 普段、民謡以外の音楽を聴いたりしますか?
学生時代はあまり聴きませんでした。聴く音楽って、どうしても自分の好きなジャンルに偏るじゃないですか。
ー そうですよね。
私の場合はそれが民謡だったんです。高校三年の頃からオリジナルを書いてソロ活動を始めたんですけど、それまでは民謡ばかり。でもその後は違うジャンルのアーティストとも交流することが多くなって、知り合ったアーティストがどういう音楽をやっているんだろうというところから民謡以外のジャンルにも興味を持ち始めました。
ー 沖縄出身のアーティストの中には、例えばORANGE RANGEさんやFLiPさんのように、完全にロックやHIPHOPなどをベースにしている人もいますが、上間さんはやはり沖縄民謡をベースに置きたかった?
はい。20年間ずっと民謡をやってきましたので、それを伝えていかなければいけないという想いはありました。ただ、民謡も昔は新曲だったわけだし、今もどんどん新しい曲が生まれているんです。
ー そうなんですか?!
それが沖縄民謡の特徴です。だから何十年前に生まれた曲も今は沖縄民謡の伝統芸能と言われているので、それなら今思う自分の歌が民謡というジャンル分けはされるかもしれないけど、民謡が“民(たみ)”の“謡(うた)”と書くように、誰が歌っても民謡であり、生活のシーンを切り取った歌になるんです。
だから今生きている自分が「想い」を歌うのも自分表現としていいんじゃないかと考えて曲を書くようになってオリジナルを歌うようになりました。
ー デビュー前はテレビ番組のアシスタントMCをされたとか。
やってました!! 大阪で。