ー どちらかがどちらかを利用するということではなく、“win-win”の関係がそこで出来上がるというのは良いですね。
Yuqi:そう思います。
ー Yuqiさんはメジャーで活動後、スピーカーの設計に携わっていたとか。
Yuqi:設計開発をしていました。 Phantaoも部署は違いましたが、同じスピーカーの会社で同僚でした。
Phantao: Yuqiはスピーカーを作って、僕はスピーカーを作る機械を作っていました。
Yuqi:仕事上での絡みは殆どなかったんですが会社に軽音楽部があって、そこで一緒でした。スピーカー会社だからやはり音楽が好きな人が多くて。だから部員数も多かったですよ。50〜60人くらい。
ー 多いですね!
Yuqi: Phantaoは3年くらいで会社を辞めたんですが、その直前くらいに一緒にバンドを組んだのがきっかけでした。
Phantao:その時は8人バンドだったので、ぐっちゃぐっちゃだった(笑)。
Yuqi:そうそう(笑)。でも楽しかったね。 そういう中で彼が「僕は会社を辞めて音楽で食ってく!専門学校に入り直す!」と言っていたから、気合い入ってるなぁと思って。僕は当時、会社に行きながら音楽を作ってはいましたが、まだまだ計画を企てていた途中だったんです。だからPhantaoのように気合いが入った人間というのが気になって。しかも僕はその頃、自分の音楽にジャズの要素を取り入れたいと考えていたので、一緒に活動したバンドでPhantaoがジャズピアノを弾く人だということも分かったし、尚かつ巧い。それで「一緒にスタジオに入ろう。」という話になり、その数年後に僕も会社を辞めて今に至ります。
ー 3月18日リリースのニューアルバム『TWiLiGHT』ですが、ジャケットのイメージが変わりましたね。
Phantao:「開けた」というのが、テーマのひとつでもあります。
Yuqi:前作は、バンドが解散して就職し、 Phantaoと出会い、結婚もして、退職もしてと、色々あった5年間の僕の内面を描いたアルバムでした。 その5年間は勿論楽しいことも沢山ありましたが、結構鬱々とした月日を過ごして。でもどちらかというと今回はパカッと開いたイメージというか、色々な想いや外との化学反応を表したので、ジャケットも明るくしたかったんです。あとよく見ると僕、片方靴を履いていないんです。この赤いのは靴下で。
ー(資料を見ながら)あ、本当だ!
Yuqi:今回、アルバムから4本のムービー(以下、PV)作ったんですが、ただ繋がるのではなく、メドレーとしてひとつの作品となっているような仕上がりになりました。その総合ディレクションを担当してくださったのが、カンヌなどで広告賞も受賞されているTWOTONEの茂手木さんなんです。TWOTONEは"At the Starcamp"の時もお世話になったんですが、僕が毎回ライヴで左足だけ靴を履かずに演奏するのでそこに特徴を感じてくれたんです。「その部分をピックアップすると面白いんじゃないか?」って。そこで一連のPVに登場する女の子や駱駝など様々なキャラクターはみんな左足が赤くなっているんです。そういう関連性をつけたムービーになりました。まだ(取材時)すべては完成していないんですが、観た時は不覚にも涙してしまいました。
ー 早く観たいです!でもそもそも何故、左足だけ裸足で演奏しているんですか?
Yuqi:そこ聞いちゃいます?
ー 聞いちゃいます(笑)。
Phantao:全然、良い話じゃないですよ(笑)。
ー そうなんですか?(笑)
Yuqi:演奏の時、左側にギターエフェクターを置いているんですが、実はディスクトップ上で操作するタイプを買ってしまって。本当はフットスイッチヴァージョンがあるんだけど、それをどうしても使いたい。でも靴を履いたままだとどうしても操作できなくて靴を脱いで親指でボタンを押しているんです(笑)。ワークチェンジの為に左足だけ靴を脱いでいるのが段々定着してきて。だから「なんでYuqiはいつも左足、裸足なんだ?」って(笑)。
ー アハハ!そういう理由だったんですね。
Yuqi:もうちょっとロマンチックヴァージョンの理由を考えておけばよかったですね。Yuqiは左足に大きな病気をかかえていて靴を履いていると左足に激痛が走るため、それを克服するために…みたいな(笑)。Phantaoは、Yuqiが痛みで演奏が止まりそうになると、それをかばうように長いピアノソロを展開する…とか。