ー その事実を知ったファンは、「Phantaoさんは何て優しいの!?…あ、このピアノソロ、きっと今Yuqiさんが痛がってるんだ…(涙)」って。
Yuqi:そうそう!
Phantao:嘘くせー!
<一同爆笑>
ー すみません、かなり脱線しましたが(笑)、『TWiLiGHT』の話に戻ります。楽曲も聴かせていただきました。ブライト感というより、光や水、緑のにおいや風、夕陽などがそのまま缶詰になっていて、音が出た瞬間にそれらがパカッと開く印象でした。
Yuqi:嬉しい!
Phantao:ありがとうございます!今回、アルバムを作るために曲を作ったというよりは、この2年間の活動の中で色々な人とコラボレーションしたプロジェクトで出来た曲を集めたという意味合いが強いです。
ー 2013年にビンテージボトルに入れた形で100本限定販売した “Summer Sun”もそうですよね。
Yuqi:そうです!夏の曲って夏にリリースしてその曲を聴きながら夏に大騒ぎすることが多いじゃないですか。
ー ええ。
Yuqi:でも夏が終わって、少し淋しくなってきた時期に夏を思い出すような曲があっても良いんじゃないかなと思ったんです。だからこの曲は秋にリリースしました。ボトルの中には柑橘系の香りを入れて、パカッと開けると夏の香りが少しする。手紙を取り出すと文章とQRコードが入っていてこの曲が聴けるという仕組みです。その時は “Summer Sun”の他に、今回収録した“Blessing”、“Ordinary Scene”の全3曲が聴ける形にしました。
ー 大分後にこの存在を知ったので、手に入れられませんでした!
Yuqi:残念!でもまたボトル第二弾も出したいね。
Phantao:そうだよね。
Yuqi:音楽を通して「体験する」ということが、実は突破口というか。大衆音楽(ポップミュージック)が「公衆」化していると言われている時代ですが、公衆便所にはお金を払わないじゃないですか。でもその「公衆」の感覚が普通になってくると思うんです。でも音楽をボトルに入れてみたり、プロジェクトやお祭り自体が面白かったりすると、そういう「体験」を伴った音楽は、多分これからもまだまだ需要はあると思うんです。だから無理して「私はこのバンドは好きだから一生懸命応援してお金を払う」ではなく、自然に「あぁ楽しかった」と言ってお金を払える。今後は音楽もそういう体験的なものなんじゃないかと思うんです。今作はまさにその集大成です。プロジェクトに携わっていない曲は “TWiLiGHT”と “June”の2曲だけ。
ー なるほど。 “TWiLiGHT”は今作のタイトルトラックでもありますが、“June”も今回の為に書いた曲なんですか?
Yuqi:いえ。“June”はかなり古い曲で、7、8年間位ずっと暖めていたんです。でも何回かお蔵入りにしては引っ張り出してメロディを変えたりということをずっとしていた曲なので、僕の中では問題児でした。ただ憎ければ憎いほど可愛い。
ー そうだったんですか。ちなみに楽曲はすべて Yuqiさんが作られているんですか?
Yuqi:そうです。でも“Arakawa”だけはPhantaoが着想から歌詞のアイデアなどを書きました。
Phantao:でも今後はもういいかな…。
ー 何でですか?私“Arakawa”、すごく好きですよ。でもこれってあの「荒川」ですか?
Phantao:そうです(笑)。僕が荒川に行った時のことを書いた曲なんです。夕方、何となく疲れて荒川に行ったイメージ。この曲は僕が書いた歌詞のベースをYuqiがきちんとした歌詞として英詞にしてから和訳してくれました。
ー そういう作り方なんですね。UKiYOさんの楽曲の面白さのひとつに、英詞と日本語詞の混合があると思うんです。“Snow White”を聴いていた時、英詞を聴いていたはずなのに、気がつくと日本語詞に変わっていたんです。右回りだと思っていた映像が、ある瞬間左回りに見えるような感覚。それは他の曲でも時折感じます。
Yuqi:素敵な聴き方ですね。嬉しい。自分たちとして狙っている部分でもあるので。
ー なるほど。ではタイトルトラック“TWiLiGHT”への想いを教えてください。
Yuqi:“TWiLiGHT”は娘に向けた曲なんです。僕、去年の11月に娘が産まれまして。