2013年、セブン&アイ・ホールディングスの夏ギフト CMソングで山崎あおいの「夏海」を耳にした人も多いはず。2012年メジャーデビューアルバム『ツナガル』をリリースした後、現役女子大生シンガーソングライターとして、同世代を中心に共感出来る歌詞と爽やかなメロディが話題を呼んできた。そんな山崎あおいが1月8日にファーストアルバム『アオイロ』をリリース。今迄の山崎にはないタイプの曲や、どこまでも胸キュンにさせる曲など、まさに色とりどり。そんな山崎に、楽曲のことやプライベートなこと、恋愛観などを訊いてみた。
ー 1月8日リリースの『アオイロ』。資料にはファーストアルバムと書いてあったのですが、2012年8月にデビューアルバム『ツナガル』をリリースしているので、2ndアルバムでは?
アルバムとして実質2枚目になるんですけど、デビューアルバムの『ツナガル』は私が中学校、高校の時に書いてきた曲の中から、地元北海道でCMに使っていただいた曲を集めてリリースしたものなんです。だから個人的にはあまりアルバムを作ったという感覚ではなくて(笑)。でも今回の『アオイロ』というアルバムは、デビューしてからずっとこのアルバムのことを考えて曲作りをしてきました。「どういう曲をアルバムで聴いてもらいたいかな。」とか。初めてそういったアルバムを作る意識のもとで曲順も考えたり作業をしたので、セカンドではないなと。だからあえてファーストアルバムという括りにさせていただきました。
ー どんな仕上がりになりましたか?
個人的にはすごく自信作です。この1年半位は、私がデビューしたことや東京に出てきたこと、本当に色々な面で気持ちが動いたというか。自分自身も変わりましたし考え方も変わりました。その間、色々なことで悩んだので、きっと人生長い目でみた時、とても濃かった期間だと言える1年半だったと思えます。今回はそういう部分をギュッと詰め込んだアルバムになったと思います。
ー タイトルの「アオイロ」というのは名前から?
はい。すべての曲が揃った時に、私の色々な面が見られる、色々な色が見られるようなアルバムだと感じました。それと、収録曲は明るい曲から暗めの曲まであるんですが、例えば明るい曲であればすごく爽やかな水色っぽいイメージがあったり、暗い曲であればちょっと沈んだ深い青みたいなイメージがあったりと、全体的に青色っぽい曲が沢山入っているアルバムだと感じたんです。
ー では楽曲についてですが、自分に無理して「〜しなくちゃ」という感情を歌った“カランコロン”は、タイトルの質感とイメージが違いました。ポップで可愛らしい感じかなと(笑)。
そうですよね(笑)。タイトルだけ聞いたらすごく楽しい感じの…なんでしょうね、チンドン屋みたいな?
ー チンドン屋って!
<一同爆笑>
でも「カランコロン」という音は心が空っぽな状態の音だったり、歩けなくなり引きずっている足の音だったり。私自身、東京に出て来て寂しくて、誰にこの悲しみや寂しさをどうぶつけていいのか分からない時に陥った感情なんです。「〜しなくちゃ、〜しなくちゃ」ということにすごく捉われて。「でもそれも疲れちゃったし、どうしよう…。」みたいなことを、つらつらと書いていきました。
ー 今、経験上から書いた曲と言われましたが、性格的に結構自分を追い込んじゃう方?
そうですね。自己分析すると自分を追い込む癖はあります。「〜しなくちゃ」って。「すべて自分が悪い。ハイ、自分が嫌い!」みたいな感じになっちゃうんですけど、でもそれって逆に楽しているんだと最近気がついて(笑)。全部自分が悪いと決めつけてしまえば「私は出来ないから」と、すぐに諦めることにも繋がると思うので、良くないなと思いつつ。でもやっぱり「〜しなくちゃ」と思うことは多いですけど。
ー ただ、同じことを歌っているんだけど最後の一行、 実はその部分だけ少し前向きに聴こえたんです。
この曲を書くまでは、シングル作品でも誰かを応援する曲が多かったんです。曲の中には絶対希望がないといけないと思っていて。例えば最後のサビで「でも大丈夫だから」とか「私は頑張っていくから」みたいな。でもこの “カランコロン”という曲は、そういうことを全く考えずに、感じたことだけを歌詞にしました。だから書いている間はそこに無理矢理希望を加えることはなかったんですが、改めて出来上がったものを観ると、最後の「笑って過ごさなくちゃ」という部分は確かに次に進む感じに聴こえるとも思えます。
ー 遠距離恋愛で離れてしまった気持ちを歌った “東京”は、都会へ行った男性側の立場として歌っているんですね。
はい。この曲の中の主人公は地元に彼女を置いてきた男性です。でも実は遠距離恋愛だけに縛られてなくて、この曲を書こうと思った「根」にあるものは、私が東京に出て来た時に家族や友達など大切に思う人達を地元に置いてきたところにあります。地元に置いてきた大切な人達との距離はどうやって離れていくんだろうと考えた時に、多分自然と離れていくのではなくて、自分から東京に馴染まなきゃとか、環境に早く慣れなきゃと思った時に、自ら突き放してしまうんじゃないかなと思うんです。それは甘えちゃいけないという強すぎる想いから来るものですが。私も今実際そうなんですが、家族に頼っちゃいけないから、帰省してもなるべく心は帰っちゃいけないって考えています。でもそれは前に進むうえで絶対必要な気持ちだし、ネガティブなことではないと思うんですが、やっぱり寂しいのも事実。何とも言えないというか、良い悪いって簡単に決めつけられるものじゃないなと考えながら書いた曲です。
ー なるほど。だから残された寂しさではなく、山崎さんの経験上から来る、離れてしまった側の寂しさをここまでリアルに書けたんですね。
そうです。
ー 山崎さん自身、大学も東京だから色々な意味で都会に慣れてきましたか?
そうですね。東京に馴染まなきゃとか、友達を作らなきゃという焦りはだいぶ減りました。
ー そういえば最近お父さんからカメラを譲り受けたとか。
はい。お下がりで。
ー 結構撮っていますか?
撮ってますね!
ー 寝付けないから江ノ島に行くとか?(笑)。
そう!深夜に突然行動する派なんです(笑)。突飛押しもないことをしてしまうんですよね。
ー 撮るモチーフは、自分が生まれ育った街に近いものを探したりする?
いや、それは全然ないです。海も札幌にはないですし。写真を撮りに出かけるというよりは、カメラを理由にどこかへ出かけるという感じかもしれません。カメラがあると出かける理由になると感じてるので。どこかに行けば何かを感じられて、それが曲になると思うんです。だから出来るだけ閉じこもることのないようには心がけています。常に行動していようと。だからそのひとつの良いきっかけになっています、カメラは。