5枚目のアルバム「きみのためにつよくなりたい」をリリースしたサンボマスター。活動10年を迎え、なお勢いが増しているとさえ思える彼らの今回のアルバムは、自身も今迄とは違う手応えを感じているという。そんなアルバムの事や、音楽を通して伝えたい事などをきいてみた。
ロックンロールで無かった事をありにしたかった。
—— 今回5枚目となるアルバム「きみのためにつよくなりたい」は、どういう仕上がりになっていますか?
山口:今回は、そうですねぇ…なんつーか、無かった事をありにしたいっていうか、ロックンロールで。
—— ロックンロールでね!
山口:なんか僕ら、思った通りの音楽やりたいし、思った通りの事を歌いたいし。だからそれがもしかしたらロック的ではないかもしれませんよね。「好きだ!」とかそんなのばっかりで。でも俺、そう思ったんだからそれでいいんじゃないかなって。
自分たちではすごく満足いくものが出来たんで、みなさんが(ライターさん含めて)聴いてくれるだで嬉しいっていう感じです。
—— 今回はかなり(全13曲中6曲)CMやタイアップがかなり多いですよね?
山口:そーなんですよ!すごいですよねぇ、今回。
—— リスナーの人たちにも耳馴染みの曲が多いと思いますが。
山 口:オープンマインドになったっていうのもデカイかもしれませんね。昔だったらミュージシャンのこだわりが大きかったりっていうのがあるかもしれません が、それよりもCMでみんなに聴いてもらう方が嬉しかったし、それこそ近藤洋一にしても映画(ソラニン)に出演っていう事で、自分たちのメンバーが映画に 出るっていうはすごく嬉しかったんですよ。そういう気持ちでアルバムも作れたから納得いくものができたのかなって思っています。
—— 今回も色々な角度から「愛」が表現されていますね。 “I LOVE YOU”も沢山言っているし。
山口: “I LOVE YOU”ばっかり言っていますよね(笑)
—— (笑)
山口:今回は自分たちの思った通りをやりたっかんです。アルバム制作の前にライブを100本位やってたんですが、時代の空気の変化を感じたんですよ。
—— どういう風に変化したと思いましたか?
山口:なんかね、サークルモッシュ(輪をつくりながら廻る)も、昔はもっとピリピリしてたんですけど、みんな どんどんハッピーな気持ちでぐるぐる廻ってるので、それはすごくいい事だなって思うんですよ。
これはもう、ロックは新しいところに入ってるし、新しい事やった方がいいなって思いましてね。でもそれは多分僕だけじゃなくて、近ちゃんも木内も感じてると思うんです。
何で新しい事をやった方がいいかと思うと、聴いてくれている人の新しい網とか新しく生まれてくる喜びとかの為に歌いたいんですよね。今迄の言い方ではなくて。
—— 新しい言い方ですか?
山口:「え、そんな言い方でロックンロールって言ったり “I LOVE YOU” って言ったりしても、私は前に聴いた事あるんだけど。」っていうんじゃなくて、新しい言い方で
“I LOVE YOU”って言って、その人の喜びにふぁ〜って触れたいし、新しい言い方でロックンロールって言って、その人の闇に触れたりしたいし。3人ともそういう事がしたいし、もうそういう時期だと思うんです。それでこのアルバムが出来たという感じです。
—— 「サンボマスター」という名前で活動し始めてちょうど10年になりますね。
山口:あー、もう10年経ちましたか。えらい事ですねぇ。(笑)
—— 10年経って、ここに来て新しい形と表現のアルバムができたという事ですよね。
山口:10年ねぇ(しみじみ)。でも僕たちバンド組む前からずっと一緒に居たんですよね。大学も一緒だったし。だからみなさんから10周年って言っていただけるのはありがたいんですけど、結構10周年を迎えているアーティストって多いですし。
近藤・木内:うんうん。
山口:だからまぁそんなに言わなくてもいいかなって思って。来年位に気が向けばなんかやれれば(笑)
—— また「サンボマスターVSサンボマスター」(2007年 当時の発表曲全55曲を6時間かけて両国国技館で開催したライブ。)みたいな?(笑)
山口:あはは、あれはねぇ、キツかったですねぇ。全55曲やりましたからね。今やったら何曲になるんだ?
近藤・木内:…さぁ、どの位だろう。
山口:70曲とかいくんじゃない?…もう無理ですねぇ(苦笑) 今から言っておきますけどあれは無理です!
一同爆笑
—— 今回のアルバムの中で「ラブソング」をはじめ、” 美しすぎる人 “という歌詞がいくつか出てきましたが、3人にとって” 美しすぎる人 “というのはどういう存在の人ですか?
山口:まぁ、いなくなった人ですよね、美しすぎる人っていうのは。生き別れ、死に別れ色々だと思いますが、その人の為に歌わなきゃなっていうのが、今回このアルバムを作った意味でもあります。
近藤:やっぱり思い出の中の人っていうか。生きてる人もそうだし、昔の自分もそう。今、目の前にいない人ですね。
木内:自分もそれ以外言いようがないです。
山 口:美しすぎる人っていう言葉は、やっぱり喪失感みたいのがあるんですよね。でもそれは僕だけじゃなくて、物心ついている人だったらみんな持っているもの で、それも歌いたかったんですよ。あんまりそういう事を歌ってるロックってなかったから、歌うべきだなって思いました。
—— 確かにロックでそこを歌う事ってあまりなかったかもしれませんね。
山口:単純に、失った人の事を悼むというか…それは生死に関係なく悼む心を歌いたいっていう感じでした。
結成前夜っていうか、ほんと俺たちタブーはないんだって。
—— 今回のアルバムも全体的にはサンボマスターらしいエネルギッシュな感じですが、その中でも今話しにでた「ラブソング」や「僕の好きな君に」というのは今迄ともちょっと違うのかなという印象を受けたのですが、アルバムのなかでの立ち居値のようなものってどういう感じですか。
山 口:まぁ最近木内がインタビューでよく言ってるのは、欲求のままに作ったっていうか。音楽っていうのは自由なんですよね。だけどありがたい事に名前が皆さ んに知られてくると、自分の中で「サンボマスターとは」みたいな事を意識してきそうになっちゃって。でもそんな事はどうだっていいじゃないですか。自分達 が自由にやればいいわけで。それを、近ちゃんも木内も多分僕以上に強く思っていて、ここからまた新しい事やろうって事で…新しい事をやろうっていうか取り 戻す作業っていうのかな。結成前夜っていうか、ほんと俺たちタブーはないんだって。「ラブソング」ではギターは弾いてませんが、だから何だ!っていうか。 美しい事がいいと思ったし。
近ちゃんが最初言ったんだよね、タブーはないんだ。って。
近藤:うん。さっき、10年間っていう話がありましたけど、「10年やってた自分」っていうのがなにより一番自分を縛り付けるんですよ。
—— 経験とかですか?
近藤:経験とか成功したこととか。だからそういう事を改めて追求する必要があったんですよ。でもそういう中で無理しないで自由になる事が一番重要だと思うんです。
「自由だ!」って無理して言わずとも自由に出来たっていう事が今回のアルバムの中で一番成功した理由かな。
山口:今回3人だけでスタジオ入ったんですよ、半年くらいずーっと。3人だけで作るってやっぱり全然違うんですよね。今迄だって3人で作ってたけど今回はマイクを立てるところから全部自分達でやりましたからね。
—— そこからですか?
山口:そう。そうすると、別にギター弾かなくてもいいんじゃないかとか、今迄やってきた事を捨てるっていうか。ワクワクしてくるんですよね、波に乗ってくる感じ。こういう事やろう、ああいう事やろうって。機械の音、沢山重ねてみようぜって。
だから木内が言ったように本当に欲求のまま作るっていうか。
でも元々そういう風にやろうっていってた訳で、まぁありがたい事にそういう空気がみなさんに受け入れられて(サンボマスターを)知ってもらえるようになったから、その新鮮な雰囲気のまま過ごせばいいんだなって。
—— 確かに「奇をてらった」という感じではなく、新しい感じを受けました。
山口:それでいいんですよ!今回、喉ごしの悪い酒は作りたくなかったんですよ。
聴く人は「あぁ、なんか分かんないけどいい。」っていうので十分だし、聴く人はどう聴いてくれてもいいわけですから。その中で僕らは僕らで工夫すればいいんです。それが楽しいからやってるんですよ。だから今回そういうアルバムが出来て自分たちでも幸せでしたね。
—— 楽しみました。聴きごたえもあるし!
山口:ありがとうございます! いやぁ、みんなにも楽しんでもらいたいですよ。難しい事なんていらないから。大丈夫だから。って感じで。
—— 逆に、レコーディングスタジオに3人だけで入られた苦労とかはありましたか?
山口:想像力がなかなか思いつかないとかいう事は、今回はなかったね。
木内:なかったですね。
—— 産みの苦しみのようなものもなかったですか?
木内:その為に3人で入ったっていうか。今までプリプロ作業を色々な人を介していたんですよ。エンジニアさんがいて、プロデューサーさんやディレクターさん、レコード会社の方がいて。
で、俺ら3人がその中にいてやるっていう作業を、まったく3人だけでやったんですよ。自分たちがいつも入ってるリハーサルスタジオでいつもの環境でやるよ うにしたから、そういう意味では非常にやりたい放題というか。3人だけでやってる分には誰が誰に何を言おうがなんてことない。それはバンドっていうよりも 10年以上付き合いのある人間同士の繋がりだから、それはお互いが分かっててその中で何があろうと別に大丈夫なんです。
でもその中に別の人がいれば、それをみて「あれ?大丈夫なの?」っていう空気になって一瞬雰囲気が悪くなったりもするんですよ。だからそういうのがなかったのですごくやりやすかったです。
山 口:まぁ誰が何と言ったって3人で作るんですよ。自分たちの音楽なんだから作らせてもらうんですけど、やっぱり他の空気があるだけでだいぶ違うんだよ ねぇ。こっちにあるマグマをある程度「固まっています」っていう体(てい)でやらなきゃいけないんだけど(笑)こっちでもっとやりたいっていうのがあるん ですよね。それは単純に、もっとこのおもちゃで遊んでたいみたいなところがあるし、曲作りもそう。だから3人だと好きに出来るんですよ。それは楽しかった ですけどね。
—— 突然の発想が湧いてきた時に試せるという事もありますよね。
木内:そう。それを気軽に言える空気なんです。気軽に言って気軽に試して失敗できるっていうのがすごく良かったなって。
高いスタジオに入って気軽に失敗すると重い雰囲気になりますからね。
一同爆笑。
木内:お前ら2時間でいくらかかったと思ってるんだ。…って。勿論そんな事は言いませんけど!(笑)でも、自分でお金無駄にしちゃったのかもって。
山口:そういうのを払拭する為に怒るわけじゃないですか。知るか!って。そうすると向こうも「いやぁ、山口君頼むよ。」っていう風になってくるというか(笑)
木内:基本俺らの事をわかっていてくれる人たちといい雰囲気でやってますけど、そうじゃなくなる瞬間っていうのもあるんですよ。
山口:スタッフの人たちが気を遣ってくれているのがわかるんだよね。俺たちがちょっと色々言ったりしてると、あぁ今上手くいってないのかなっていう心配がよく分かるっていうか。
木内:あぁ、今そう思われてるなぁっていうのもすごく感じるし。
山口:でもそんな事全然ないのにって(笑) 多分、3人のルールと違うんですよ。
木内:だから本当に最後の本番の録音まで自分達で、この曲はこうやる。っていうのをほぼ決めていってたから。
山口:3日で録りましたからね、オケ録りは。やっぱりロックンロールは一発ワンテイクの方がいいんですよ。
—— 今迄のレコーディングでもそういうのを大切にしていますよね。
山口:そう。でもまぁ、レコーディングの前はタブー無しだっていう事で、一発ワンテイクじゃなくてもいいじゃないかっていうのもあったんですが、やっぱりその方が凄いんですよ。
—— 初期衝動には、かないませんか?
山口:かなわないですねぇ。コンピューターの波形が全然違いますからね。もう一目瞭然誰がみてもわかる。やっぱり、ことロックンロールの場合は、いっせーのせ!で出来るだけ少ないテイクで録りきるっていうのが鉄則だと僕は思うんですけどね。
木内:今回、今迄もそうだったようにこのやり方(一発ワンテイク)が正しかったんだって、3人とも完全に認識したんですよね。だからすごく良かった。
山 口:レコーディングで正しい事なんて僕はひとつもやりたくないんですよね。僕は音楽的に正しい事だけやりたいっていうか。レコーディングで正しい事って確 かにいっぱいあるんですよ。このミスはレコーディング的観点から見ると、ない方がいいとか。でもそんなのはどうでもよくて、それを気にしていると音楽のス ピードが落ちるし。
ちょっとマニアックな話をすれば、 今回僕がアコギを弾いている5曲目の「僕の好きな君に」でも、レコーディングの技術的にはこうした方が音がデカく録れるから、こうしようとかあったんだけど、やっぱり駄目だったんだよね。
近藤:そうなんですよ。やっぱり目的がそういう事ではないから。音楽を作るのが目的ですからね。
山口:だからキッチリ、リズムを一個一個修正して、ベースの音はこう。っていうやり方がレコーディング的には正しいのかもしれないけど、音楽的には僕はあんまり興味がないんですよねぇ。
でも実はみんなそうなんじゃねぇのかな。だからロック好きなんじゃないっすか。
—— そこに繋がっていくんですね。
山口:うん。僕はロックンロールってのはそういうものだと思って…だからって他の音楽を否定するとかって全然ないですよ。ただ僕らの最高を出せるのはそれだって。3人の息吹をいっせーのせ。で出せるのはそれだって。
女性がどれだけ存在デカいんだって感じでしょ。(笑)
—— 今回のアルバムは漫画家の浅野いにおさんが書き下ろしですが、浅野さんのマンガ「ソラニン」が映画化し(4月3日ROAD SHOW)、そこで近藤さんが初の役者デビューをしましたね。
近藤:はい。
—— 書き下ろしのきっかけというのは、やはりその映画ですか?
近 藤:はい。いにお君からも是非描きたいって言ってくれて。…っていうのは、彼は僕らのCDを全部聴いてくれていて、勿論僕らも浅野君のマンガは知ってい て。アルバムを聴いて描いてくれ。って言われても困るだろうなって思って、こんなのお願いしたいって色々話そうと思って直接会いに行ったら、もう描いてい てくれたんですよね、絵を。アルバム聴いたんだっていって。まさに「きみのためにつよくなりたい」っていう僕らの思っている事をまさに絵にしてくれたよう なジャケットだったんで。
山口:女性がどれだけ存在デカいんだって感じでしょ。(笑)
—— (笑)
山口:まさに僕らの思い通りに描いていただいて。
近藤:一緒に仕事を出来た事も、聴いてもらってイメージが伝わったっていうのもすごく嬉しかったです。今回のジャケットはまさにどんぴしゃでしたね。
—— 映画はどうでしたか?
近藤:僕は24歳の大学6年生、加藤賢一っていう役でバンドでベースを弾いてるっていう、まさに自分のプロフィールと全く一緒で(笑)
—— 伊藤歩さんは「世界をかえさせておくれよ」でゲストヴォーカルをされていますが、これは映画がきっかけなんですか?
山口:女性ヴォーカルを呼びたいなって思ってたら近ちゃんが、伊藤歩ちゃんていう人がいて、「Mean Machine(ミーン・マシーン)」っていうバンドもやっていて素晴らしいよ。って言ってくれたので、頼んでもらったらOKしてもらえて。
でも素晴らしい方ですね。こちらがどう歌ってほしいかちゃんと分かっていて。
僕らレコーディングがすごく早く終わるんですけど、伊藤さんが来た時だけはいつまでも終わらないでくれ!って気持ちでしたねぇ。
—— 笑。そういう意味では近藤さんは伊藤歩さんと2度お仕事をしたという事になりましたが、いかがでしたか?
近藤:僕らはすごく憧れてるけど接近できない女の子みたいな感じでしたね。中学生くらいの時にいるじゃないですか。ちょっと芸術や知的な香りがして。だけど社交的で自分たちとは真逆にいる高嶺の花でっていう雰囲気を持った子なんです。
山 口:なんつーかなぁ、クラスにいたじゃないですか。すげーマドンナなんだけど、本当はボブ・ディランとか好きで、何故か僕が休み時間に見ているディランの ジャケットをみて、「これ4曲目がいいよね。」とか言って、さっと消えて行くっていう女の子。そんな子に歌って欲しかったんですよ。それが伊藤歩ちゃんで したね。見事にやってくれました。
—— 俳優っていう仕事はどうでしたか?
近藤:自分で決めなくていいという点では楽でした。音楽はアルバムを作る時って、自分たちで脚本書いて自分たちで監督して、自分たちで演じるっていう感じでしょ。
まぁ、今回のキャラクターも日本中探しても僕みたいにハマる奴はいないだろうし。
一同爆笑。
近藤:だからやりやすかったし、(加藤賢一の)気持ちはすごい分かるし。まさに僕らのあの時代のあの空気の話だったのでフラッシュバックしますね。
山口:そうね。毎日、夜中近ちゃんの家に集まって徹マンやって。あの頃って近ちゃんが後輩食わせてやったりして。
今回のアルバムはその雰囲気が一番出てるね。あの頃は何でも聴くんですよ。夜中、ガンガンに松田優作さんの映画流して、音楽はジェービーズから、ファンカデリックからな!
ブラッドサースティー・ブッチャーズも聴いたなぁ。で、麻雀やって近ちゃんと木内はパチスロとか行ってな。ほんと楽しかったね。その空気がすげー出てる。好き勝手やってやったぜ!っていう。
—— 凝縮してる感じですね。
山口:そう。出せるんだなぁって。
近藤:なんか直売所みたいだよね。
—— 直売所?(笑)それいいですね。
近藤:畑からとってきたそのままみたいな。
—— すごい新鮮ですね。
山口:そうですよ。そういう意味ではすごい自信がありますね、今回は。
「俺明日、ビートルズのコピーを文化祭でやるんだよ。」っていうのと同じ気持ちでやるべきだと思うし。
—— 山口さんは半端じゃなく音楽に詳しいですよね。
山 口:あぁ、そうですね。好きですねぇ。でもマニアックにならないようにしてるんですよ。そうしないと面白くなくなっちゃうんで。だから「僕、音楽詳しいん ですよ。」で、とどめておこうと思って。マニアックって、評論家ならいいのかもしれないけど、あまり優越感を持たないようにしています。
—— でも、音楽にすごく詳しいアーティストの人は、テクニカルな部分に走りやすいと思うんですが、サンボマスターの世界って、歌詞の通り「はっちゃけたい!」っていう部分や愛をどれだけピュアに伝えられるかっていう方の追求を感じるんですが。
山口:そうそう!3人が本当にそれぞれ音楽好きで、CDやレコード買いまくってメトロノームで練習しまくってってこの2年半近く過ごしてきましたからね。でもレコーディングに入ると、それをゼロにするんですよ。
—— ゼロにしちゃうんですか?
山口;そう。そんな知識邪魔なんですよ。音楽のスピードが落ちるし。体に植え付けられたものだけ持って行けばいいんであって、それは「俺明日、ビートルズのコピーを文化祭でやるんだよ。」っていうのと同じ気持ちでやるべきだと思うし。
あとね、音楽ってえらいもんで、ジャンルとか関係なく最後は愛おしさしか残らないんですよ。最近気に入ってるのは、少し前のプリンスブームの時にでた「プリンセス」っていうのがいて(笑)これは愛おしいですよ、なかなか!プリンセスと言って出たな君!みたいな。
一同爆笑。
山口:あとね、1959年のサンディエゴ動物園の、動物の声だけを録った7インチ。
なんかね、60年前のああいうのが聴ける愛おしさっていうかな、僕らそっちなんですよね。そういう愛おしさだけが音楽に残ってきてて自分たちでやるときはそれを爆発させるというか。だからロックのこのジャンルだけが好きっていうのがないんです。
他のジャンルに対して、NOっていうのが3人ともなかったし、島倉千代子さんや和田アキ子さんもいいし。あとダウンタウンブギウギバンド。
でもだからこそ音楽詳しくなれたんだと思いますよ。
—— 山口さんの1年前くらいのブログで、今作っている歌詞について、こんな難しい事じゃ駄目で、もっと単純な方がいいから書き直そう。っていうのがあったのを見たんですが。
山口:俺、文学的っていう言葉があまり好きじゃなくて、文学作品のどこをみても文学的表現ってないんですよね。みんなその作品の事を思って書いてる表現しかないわけで、そういうのがいいんですよ。
ロック的表現から逃げたいっていうのもあるし。そういうのって色々な人の手垢がついてるから、他の人の優越心だけ満たすっていうのじゃないのがいいなって。
…昔、要町(かなめちょう)でみんなでワーッてやってるあれが最強なんだから。ジェームス・ブラウンのライブ観に行った後も近ちゃんのアパートに集まってJBの事喋りながら麻雀やったりさ。あそこで起こった事が全てだから、そういう風な気持ちでやってればいいんですよ。
—— それが音だけではなく、ライブにも出てくるんですね。
山口:そうです!!
—— ツアーが6月から始まりますが、どんなライブツアーになりますか。
山口:新しいライブやりたいですね。でもまぁ、みんながワーッって楽しめるのがいいです。はっちゃけるような。怪我だけしないでもらって。
—— 他のアーティストさんと一緒にやるライブも多いですが、対バンというのは楽しいですか。
山口:楽しいね!スペアザ(SPECIAL OTHERS)とかGOING UNDER GROUND。
近藤:うんうん。
山口:あとガガガSPとか銀杏(銀杏BOYS)とやっても楽しいし。若い方とやらせていただけるなら、やらせてもらいたいです。
この無敵感はなんだろうと思うわけですよ。まぁそんな自信があるわけでも、敵がいるわけでもないんですけど(笑)
—— サンボマスター公式twitterがスタートしていますが、つぶやいていますか?
山口:始まりましたよ!僕も木内も近ちゃんも、みんなつぶやいています!
—— 反応はどうですか?
山口:twitterって凄いですね(笑)あんなにフォローしてくれる人が増えるんだなって。こんな事ならもっと早く始めていても良かったなって思っています。楽しいです。何でも参加してみるもんですねぇ(笑)
—— 木内さんも公式とは別にtwitterやっていますよね。
木内:はい。公式を始める時に、じゃあメンバーもやってみようかっていう事になって
まず一番手として別働隊で。でも俺、漫画家さんとかばっかりフォローしてるんですよね。あとお笑い芸人さん(笑)それと最近は浜幸(浜田幸一)さん! 彼のtwitterはヤバイですね。
—— だう!
木内:そう。だう!(笑)
—— 山口さんは下北沢出没率が高いですよね。
山口:あぁ、よく行ってます。ガンガン、レコード買っていますねぇ。Flash Disc Ranch!(中古レコード店)あそこはやばいですね。宝庫ですよ。
ビートルズとかファンカデリックのオリジナル、他ではありえない安値で買いましたからね!で、曽我部(恵一)さんのシティカントリーシティに行って。
でも、こうやってレコード買ったりするのが自分たちのアルバム制作にも生きてくるんですよ。2人もそうだと思うんですが、こんないい音楽あったぜ!っていう。そのためにレコードやCDを何千枚も買うわけですから。
だから、この無敵感はなんだろうと思うわけですよ。まぁそんな自信があるわけでも、敵がいるわけでもないんですけど(笑)、やってると楽しくて仕方ないんですよね。
—— 10年間でモチベーションの浮き沈みはあったと思いますが、それでも今、楽しくて仕方ないって言える事ってすごくないですか?
山口:そうですね。結成した時に、もう最高だと思ってるからじゃないですかね。なんだかんだ言ってもその最高が続けばいいと思ってるし、ビックバンが続くっていうか。
—— 最後に、今回のアルバムを聴いてほしい人たちへ一言お願いします。
山口:…その人が聴いた時点で完成なので、まだこの時点では未完成なんですよね。だから、みなさんに聴いてもらって完成させてください。
木内:これを聴いて、自分と投影してもらって僕の為に、私の為に歌ってくれてるって思ってくれれば音楽にとっても幸せな事だし、ライブでみんなで sing-alongできるような曲を発見してもらったり。これは今迄の4枚のアルバムとも違うものが出来たと思うし、今の僕らが詰まっているので、是非 是非聴いてみてください!
近藤:わくわくして作ったので、そういうものが伝わったらいいなと思います。2010年という区切りの年でもありますし、わくわくが始まるぞっていうのを感じてもらえれば嬉しいです。
—— ありがとうございました。
取材・文/まさやん
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