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米津玄師、初の全国7大都市ツアーFINAL!

2015.04.29    米津玄師

main20150429185428.jpg撮影:中野敬久

米津玄師が、4月28日に東京・TSUTAYA O-EASTにてワンマンツアー「米津玄師 2015 TOUR / 花ゆり落ちる」のファイナル公演を行った。

昨年6月に代官山UNITにて初ライブが実現、12月にはその「続編」として初ツアーを行った米津。あえてキャパシティの小さな場所から始めたことについて「一つ一つ積み上げていきたかった」と以前のMCで語っていたが、この日の彼が見せてくれたのはまさにその成果が形となったようなステージ。躍動的なプレイに伸びやかな歌声を響かせ、これまでに比べても格段に一体感と楽しさに満ちあふれたライブとなった。

全国7都市10公演を1ヶ月かけて回ってきた今回のツアー。バンドメンバーは、中島宏(G)、須藤優(B)、堀正輝(Dr)という初ライブから変わらぬ編成だ。大歓声に迎えられ4人がステージに姿をあらわすと、ライブは「ドーナツホール」からスタート。背後のスクリーンには曲の世界観とリンクした映像も映し出され、お客さんの熱量も一気に上がる。

そして、続いては「パンダヒーロー」「沙上の夢喰い少女」「演劇テレプシコーラ」を披露。全て“ハチ”名義で発表した楽曲だ。実は、この日のセットリストは、彼の楽曲を時系列に沿って辿っていくような構成。ネットを拠点にボカロPとして活動していた“ハチ”と、自らの声で歌いステージに立つようになった“米津玄師”のキャリアを一本の線でつなぎ、4人のバンドの肉体性を通して表現するような意図が込められていたものだった。

「米津玄師です、今日は楽しんでいってください」と告げ、続いてはアルバム『diorama』のブロックへ。「恋と病熱」や「vivi」ではシンプルながらも惹き込まれる手描き風の映像が広がり、「駄菓子屋商売」では米津がギターを置いてハンドマイクでステージを左右に歩きながら歌う場面も。空間演出の巧みさと共に、バンドマンとして、ボーカリストとして覚醒しつつある彼の成長も感じさせる。

メンバー紹介から、各地のツアーで食べた美味しいものを振り返る中島のMCを経て(ちなみに北海道の「やきそば弁当」が一番だったそう)、続いては美しい色彩の映像が映える「メランコリーキッチン」へ。最新アルバム『YANKEE』からのブロックだ。優しく包み込むような旋律を歌い上げた「アイネクライネ」に続いては「もっと行けますか!?」と客を煽り、エネルギッシュな「リビングデッド・ユース」「花に嵐」へ。
さらにはライブ初披露となるハチ時代の代表曲「マトリョシカ」も力強く歌い、狂騒のような盛り上がりを作り出す。

終盤のMCで、米津は「1〜2年前にはライブをやる必要性を感じていなかった」と語っていた。ライブをやることについて、何故人前に立つのかについて、ツアーをしながらも人一倍考え、そして辿り着いたのは「楽しめばいい」という単純な答えだったのだという。

「自分が昔住んでいたアパートのベランダに知らない洗濯物がかかっていたり、昔通っていた学校に今は一人も知っている友達がいなかったり。過ごしていた景色は、一瞬にして過去に変わってしまう。だからこそ、こうやって集まって一緒の時間を過ごしたことが、何年後も何十年後も『あの時、あんなことがあったね』って、その日を生きる糧になればいいと思います」と彼は語り、「そういう一日を作れることが幸せでしょうがないです。どうもありがとう」と、オーディエンスへの感謝を告げていた。

そして本編ラストに披露したのは最新シングル「Flowerwall」。彼が語った通り、目の前にいる全員と特別な時間を共有するような思いを持って届けられた楽曲だ。眩しい光に包まれるような感慨を残して4人は舞台を去った。

アンコールは、軽快なビートが印象的な「懺悔の街」から「WOODEN DOLL」へ。これまでになくアッパーで解放的なステージを見せた4人は、それぞれ「楽しかった」とツアーを振り返り、最後は「ワンダーランドと羊の歌」を披露。笑顔でステージを締めくくった。
 
米津玄師の持つ音楽への真っ直ぐな思い、ステージに立つことで得られたコミュニケーションの確かな実感が、一つの大きな実を結んだようなライブだった。最後に「また近いうちに会いましょう」と告げて去っていった彼。次はどんな景色を見せてくれるか、楽しみでならない。

文:柴 那典(しば・とものり)


□ 米津玄師 2015 TOUR / 花ゆり落ちる セットリスト
01.ドーナツホール
02.パンダヒーロー
03.沙上の夢喰い少女
04.演劇テレプシコーラ
05.恋と病熱
06.vivi
07.駄菓子屋商売
08.トイパトリオット
09.ゴーゴー幽霊船
10.メランコリーキッチン
11.アイネクライネ 
12.リビングデッド・ユース
13.花に嵐
14.マトリョシカ
15.Flowerwall

EN01.懺悔の街
EN02.WOODEN DOLL
EN03.ワンダーランドと羊の歌


■ OFFICIAL HP
http://reissuerecords.net/

 

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