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6月6日にリリースしたミニアルバム『SEVEN』を引っさげてのツアー<Nagasa・Oneman7 Acoustic Ver. >が、大阪を皮切りにスタートし、広島、札幌、仙台、福岡、高松、名古屋と巡ったあと、7月6日東京・渋谷duoにてファイナル(追加公演を除く)を迎えた。 まず目に飛び込んできたのは、 ステージに飾られた絵。 長澤自身が描いたその絵は今回ジャケットにも使用され、2m40cm×2m40cmの大型キャンバスはさすがに圧巻だった。「虹を描く、虹を刻む、音楽を楽しくやっていますよという雰囲気を出したかった。」と取材の時、長澤は語っていた。 両手を高く上げ、歓声を浴びながら登場した長澤は、照れくさそうな素振りでおどけてみせる。 “あんまり素敵じゃない世界”は、イントロのバスドラやラジオをチューニングするような電子音が特徴的な曲だが、ギター1本だけでその疾走感を出す長澤のライブアレンジ、そして歌声に私は1曲目から鳥肌が立った。 長澤のステージは、もう何度となく見てきているが、今回のステージでの表現力はちょっと神がかり的だったと言っても過言でないかもしれない。それでも、背伸びをするように踵を繰り返し上げ下げしながら歌うスタイルも相変わらずだし、足をバタつかせたり、「仲良くしよう」と言う挨拶もいつも通りで、時折見せる笑顔は緊張がほぐれた瞬間だと見受けられた。足下にあるエフェクターをカチャと踏むと、“俺のアレ”で、ギターは深い響きに音を変え、長澤がゆらゆらと揺れるたびにギターのボディにあたる照明がリズムと共に会場に光を走らせる。 「<Nagasa・Oneman7 Acoustic Ver.>、東京に戻って参りました。あちこちでやって楽しい想い出が出来ました。」と挨拶。前アルバム『JUNKLIFE』で最も難航したという“はぐれ雲けもの道ひとり旅” は長澤の軸になっているように思えるし、続く“三年間”でみせたシャウトに私は再び鳥肌が立ち、骨太になった表現力に息をのんだ。 オーディエンスもその力強い歌声に大きな拍手と歓声を浴びせると、「温かい拍手をありがとう。暑くて湿っている最中、ありがとうございます。」と、妙に丁寧な口調で挨拶するものだから、つい会場からも笑いがこぼれる。 「『SEVEN』を基軸に色々やっていくので、聴いてください。」と、挨拶を続け、ファンタジーのような、現実のような”されど木馬”を歌う。今回のアルバムでは、より長澤の内面が映し出された楽曲達が多い。その中に、“茜ヶ空”や”どうせ陽炎”のような昔のナンバーを絶妙に入れこみ、ギターを激しく掻き鳴らしてみたり、細かいタッピングで複雑な音を出してみたりと、まさにこの日この場所、この瞬間にステージの上で突然生まれたようなアレンジを繰り出す。きっと今回の全8公演すべてアレンジは違うと思う。それが長澤ライブの魅力である。 違うといえば、今ツアー各地で洋邦のカヴァー曲をやってきたが、各地違う曲をチョイスしたらしい。ファイナルのこの日はThe Beatlesの“NOWHERE MAN”と、井上陽水の“新しいラプソディー”を披露。長澤の口からこぼれる英詞や、井上陽水の旋律は実に新鮮で丁寧に歌う様も実に心地よかった。 仙台では、“決別”という曲で初のコール&レスポンスに挑んだという長澤。どの部分でレスポンスするかを説明。しかし、どんどんしどろもどろになっていき、ついには「説明が自分でカオスになってる!!」と自ら笑い出してしまった。これにはもう会場も大笑いするが、長澤知之というミュージシャンをよくわかっているオーディエンスとの間にはそういうやりとりこそ、楽しい時間なんだ。 「“決別”という曲で一緒に決別しよう」といい、静かに歌い出す。この曲の歌詞は実にドキリとするもので、愛した人を自分の心の中から完全に排除するということは誰しもがあるかもしれないが、長澤の表現は独得で鮮烈だ。 「そういう歌があってもいいと思う」と言っていた長澤の、表現に対して常に自由でありたいと思う気持ちが手に取るようにわかった。 途中、展開が変化するパートがあり、長澤はそれを「ヤケクソパート」と呼んでいる。曲の中での展開の変化というのは、彼の他の曲でもあるが、どれもなかなか面白い。勿論コール&レスポンスもしっかりとしながら、長澤からも笑顔がこぼれ、曲が終わると長澤はオーディエンスに拍手を送り、新たな一体感が生まれた。 続く“静かな生活”は、『SEVEN』の中で私自身もっとも好きな曲であり、その静かな歌の世界にオーディエンスと共に溶け込んでいった。 「退屈はしてないか?大丈夫か?」 頼りがいのあるその口調は、どこか緊張や照れ隠しをしているようにも感じられ、人柄が伝わってくるものだった。 “RED”のイントロが流れると共に歓声が沸き起こる。 ライブでは久しぶりのこの曲。切なく響く6弦の低音を長澤の声が鋭利に切り裂きながら半音上昇する。歪んだギターと、真っ赤に染まる絵に会場は飲み込まれそうになりながらも、曲が終わると大きな歓声で現実の世界が蘇る。 「今日は、あんがと。バンドヴァージョンもやるので、また遊んでくださいね。」 そう挨拶すると、ドリンクを口いっぱいに含み、本編最後の“バベル”を熱唱した。アンコールで片足を上げながらピョンピョンと弾むように再び登場した長澤。これでギターを持っていたらチャック・ベリーだ(笑)。軽快な”けやき並木道”に、再び歓声が湧く。長澤のシンプルな曲は何とも言えず魅力がある。 「男の人にも女の人にも、ここにいるみんなに捧げます。本当に今日は来てくれてありがとう!」 そう最後に挨拶すると”ずっとプロポーズ” で、ライブは終了した。 …が、長澤がステージを降りた後も、ステージからギターや機材を片した後もダブルアンコールを求める手拍子は続き、とうとう会場スタッフが終了のアナウンスを始めた。そして最後はこの日だけではない、このツアー全てを終えた長澤にオーディエンスは大きな拍手を送り、<Nagasa・Oneman7 Acoustic Ver.>は幕を閉じた。 TEXT:まさやん Nagasa・Oneman7 Band Ver. 10月1日(月) 名古屋・アポロシアター 一般発売日:7月21日(土) 10月3日(水) 福岡・DRUM SON 一般発売日:8月25日(土) 10月5日(金) 大阪・Music Club JANUS 一般発売日:8月25日(土) 10月8日(月・祝) 東京・新宿BLAZE 一般発売日:8月25日(土) ■ 長澤知之 オフィシャルHP http://www.office-augusta.com/ nagasawa/
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