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いきなりネタバレ的感想を言おう。 “あぁ、ライブってきっと、本来こういうものなんだろうな” と思わせてくれるような、ココロの内壁が優しく震えるような余韻を残すいいライブだった。 4月にリリースされた 長澤知之初のフルアルバム「JUNKLIFE」をひっさげてのアコースティックツアーが5月6日 名古屋・TOKUZOを皮切りにスタートし、5月20日 この東京・下北沢Club Queでファイナルを迎えた。チケットはすでにSOLD OUTで、フロアは蒸し風呂状態。 「“JUNKLIFE"TOURへようこそ」 そういうと、タイトル曲でもある “JUNKLIFE” からライブはスタート。 ギターチェンジをし、深い鳴り音を響かせながら歌う “夢先案内人” は、LIVEらしいアレンジで、CDのそれより伸びやかさをもっているように聴こえた。 身長153cmの私の視界からは、長澤の手元までは見えない。でもきっといつものように、スナップを効かせ、激しくギターを掻き鳴らしているのだろう。時折ペグから長くはみ出している弦が、長澤の動きに合わせて揺れる。 「アコースティックツアーの最終日に来てくれてありがとう。アコースティックヴァージョンをやれて良かったと思います。」 ライブの時は、大抵どのミュージシャンだってこうやって、来てくれたファンに挨拶をする。でも長澤の挨拶はいつも自分をみてくれること、近くにいてくれていることへの感謝が深く、それをもっとも大事にしている感じがして感傷的にさえなってしまう。 ”マカロニグラタン” は何故あんなに色褪せないのだろう。馬鹿の一つ覚えのように毎日 君が作ってくれたマカロニグラタン。状況は違えど、誰もが1つや2つ持っている愛情と懐かしさの風景を、ピンと張ったような緊張感ある高い声で歌う。その声は、私がこのレポを書くために持っているノートへビリビリと伝わる。レポをしていて、もっとも好きな瞬間かもしれない。耳で聴く声とは別に、もっと直接的な触れ方ができる瞬間。 「27歳おめでとう!」 このライブの少し前に誕生日を迎えた長澤に、フロアからおめでとうの声がとぶ。 「ありがとう。27歳になったんだけど、こういう大人になるつもりじゃなかった。俺の部屋にきてもらえば分かるけどね。」なんて、自分の駄目っぷりをぽつりとつぶやくと、大爆笑がおこる。 また、今回のツアーでは各地で洋楽・邦楽のカヴァーをやっていたという長澤。この日は、エレファントカシマシの “月夜の散歩” と、Wolfman Featuring Peter Dohertyの “For Lovers” を披露。私は長澤がひとりで洋楽を歌うのを初めて聴くが、彼の喉から出る英語の発音はかなり新鮮で美しかった。 ライブも中盤を過ぎ、長澤の首元や巻いた髪の毛先には汗が光るし、ここに来ている全員すっかり汗だくだ。でも、”MEDAMAYAKI” や、“俺はグビ” ではそんなことも気にせず手を叩きながらオーディエンスは楽しそうにしているし、長澤も笑顔をみせる。“俺はグビ” に出てくる「大将」は、同意を求められたり、覚えておかなきゃいけなかったりと色々な係があって大変だ。きっとリズムをとりながらも、この日この会場にきた殆どのファンは 映画のエンドロールをモチーフにしたこの曲のPVが目に浮かんだのではないだろうか。かく言う私もその一人(笑)。長澤は声を枯らしながらも力強く歌いあげ、曲が終わるとフロアは大興奮の歓声と拍手に湧いた。 今回貴重だったのは、インディーズ盤「長澤知之」に収録されている “だから愛して” が聴けたことだろう。「稚拙ですけれど、頑張って歌いたいと思います。」そういうと、昔しまった小箱を開けるようにそっとギターを鳴らしながら、口笛を吹く。同じ口が発するのだから当たり前だが、長澤の口笛は彼の声のように独特に研ぎすまされた響きをもっていた。 先ほどのテンションとは違い、みなじっと長澤の歌声と口笛に聴き入る。私は、歌う時に背伸びする長澤の癖を真似するように、時折背伸びをしながらみんなと同じようにただ聴き入っていた。 ”僕らの輝き” を歌った後、6月に行うこのツアーのバンドヴァージョンの話を少ししながら、長澤は自分のバンドメンバーの真似をしてみせ、沢山の笑い声がこぼれた。 冒頭に書いた「いいライブ」だと感じた理由は、そんなリラックスした雰囲気でもそうだが、決定的だったのは、本編ラストの ”左巻きのゼンマイ“。この曲で長澤は途中歌詞をすっかり忘れてしまった。…が、次の瞬間何事もなかったかのように、オーディエンス達が歌い出す。それに促されながら長澤も歌い出すが、時折あやうくなるとまたみんなが歌う。その時の長澤の表情がすごく印象的だった。すっかりオーディエンスに心を許しているようなリラックスした顔。悪びれる風もなく「ありがとう」と、ラストを助けてくれたみんなへ挨拶し退場。オーディエンスも別段ひやかしたり騒いだりせず当たり前に歌っていた。多くの言葉は語らないが、それでもみんながダブルアンコールまでしたのにはそういう理由があると思う。 MCの内容まできっちりと計算しつくされたエンターテイメントなライブも面白いが、長澤のライブの面白さはそこではない。声が枯れて、力づくで無理矢理出す時もあるし、MCがまとまらない時だってある。でも今回、ライブ本来が持つ「生」の醍醐味を感じた。それはミュージシャンだけでは作れない、オーディエンスとの繋がりによって作られるライブという空間の面白さとも言えるかもしれない。いいライブを観ることが出来た高揚感を胸に、6月の Nagasa・Oneman 6 "JUNKLIFE"TOUR ~Band ver.~も楽しみに、私は下北沢をあとにした。 カメラマン/杉田 真 取材・文/まさやん <セットリスト> M1、JUNKLIFE M2、マンドラゴラの花 M3、夢先案内人 M4、未発表曲 M5、はぐれ雲けもの道ひとり旅 M6、マカロニグラタン M7、風を待つカーテン M8、明日のラストナイト M9、24時のランドリー M10、月夜の散歩(カバー曲:エレファントカシマシ) M11、For Lovers(カバー曲:Wolfman Featuring Peter Doherty) M12、言葉のないエレジィ M13、MEDAMAYAKI M14、俺はグビ M15、だから愛して M16、僕らの輝き M17、左巻きのゼンマイ Encore1 M18、四つ葉のクローバー M19、回送 Encore2 M20、死神コール 「Nagasa・Oneman 6 “JUNKLIFE”TOUR 〜Band ver.〜」 6月14日(火) 大阪・Shangri-La 【お問い合わせ】グリーンズ 06-6882-1224 6月16日(木) 福岡・DRUM SON 【お問い合わせ】キョードー西日本 092-714-0159 6月19日(日) 東京・新宿BLAZE 【お問い合わせ】ソーゴー東京 03-3405-9999 1st Full Album 「JUNKLIFE」 NOW ON SALE! ATS-030 ¥2,500(TAX IN) ◉長澤知之公式サイト http://www.office-augusta.com/nagasawa/ ◉エムファン「NEXT BREAK」にて長澤知之インタビュー 掲載! http://mfound.jp/next/2011/04/nagasawatomoyuki.html
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