最新アルバム『LIVE THE LIFE I LOVE』がオリコンチャート第6位を獲得したTHE BAWDIES。6月の札幌公演を皮切りにスタートした『LIVE THE LIFE I LOVE』 TOUR 2011全38公演をまわり、11月27日(日)ツアーファイナルとなる日本武道館も含め、全公演ソールドアウトという快挙をなした。
THE BAWDIES初となるこの日本武道館公演では、東西南北360°全ての方向に観客席を配置し、観客動員数は12,898人にも及んだ。
The Sonicsの”Cinderella” に手拍子をとるオーディエンス。客電が落ちると、SEをいつもの”Soul Man” に変え、ミラーボールが武道館を照らす。ステージ背後にあるTHE BAWDIESと書かれた電飾看板も瞬けば、1曲目の ”I BEG YOU” から尋常じゃない盛り上がりをみせ、一瞬ROYの歌声さえ聴こえなくなる。
「今日のルールは単純明快!楽しめー!!」とROYが叫べば “ JUST BE COOL” 、” SHOW ME UP” と突っ走り、TAXMANのギターもグルーヴィーなリフを刻む。
ROYは上気した声で「最高です!! マジで気持ちいいよ! 声、出してごらんよ、最高だから!!」と、ステージでの興奮をオーディエンスと分かち合う。
ステージは、音的にどうなんだろうと心配していたが、リハではやはり音が跳ね返ってしまい、やりづらかったとJIMは言う。しかし、これだけのオーディエンスが入るとみんながTHE BAWDIESの音を、音楽をしっかり受け止めてくれるからやりやすくなったと語った。
” KEEP ON ROCKIN'”でJIMは、ステージ背後部分に設けられた花道へ駆け上がり、1階席のオーディエンスの目の前で激しいプレイをみせる。それはTAXMANも一緒で、この二人は常にじっとしていない。激しくジャンプしたり寝転がりギターを弾いたと思えば、また背後の花道へと走ったり。音楽を始めるずっと前から一緒にいるメンバーの顔が、今ここにあるという言葉に、鳥肌の立ちそうなほどの興奮を感じた。
ROYも「ビートルズが来日公演を演ったときから、武道館は日本のロックンロール発祥の地なんですよ!」と言っていたが、ビートルズがこの武道館でライヴを演ったのが1966年。45年前のこと。生でロックンロールを伝えたビートルズを愛する彼らは、「ロックンロールを継承していきたい!」と、このオーディエンス達に誓うように語り「通過点とかゴールとか思っていない。ここでスタート。祝ってやってください」と繋げると、 ROYは急に口調を変え、MARCYが、”これ”をやらせてくれなきゃ武道館には立たないといっていることがあると告げると、すっかりMARCYイジリモードに。それまでパワフルなドラミングをみせてくれていたMARCYが立ちあがったかと思えば、ドラムセットを設置してある円形のミニステージをひとりで手押しし始めた!
おぉ、これはビートルズが64年に初めてアメリカでコンサートをしたワシントン・コロシアムを再現しているのか!? (ライヴ後、MARCYとその話をすると、かなりニヤリとしていた・笑)この盛り上がりにTAXMANは「俺にもやらせてくれ!」と、 ビートルズナンバーの “I’M DOWN”をヴォーカルで聴かせ、まるで連鎖するように今度はROYが「俺にだってやらせてくれ!! インディーで最初に作った曲です」と“SHAKE IT BABY”を披露。
しかし、俺たちは単なる懐古趣味じゃないんだぜと言うかのように「オイオイ!なにみんなでお懐かしモードになっちゃってんのよ!? アンタらが乗ってんのはタイムマシーンですか? アンタらは過去じゃなくて先に行くんでしょ!? だったら乗り込むのは、この赤いロケットじゃないんですか!?」と、ミュージック・ビデオも“360°”というキーワードにリンクした形で作り上げているニューシングル “RED ROCKET SHIP”へ繋げると、もうオーディエンスも止まらない。本気で、武道館が破壊するのではないかと思うほどの熱狂は、それこそビートルズさながらという感じかもしれない。
それまでずっと突っ走ってきたが、“SAD SONG” では「哀しいことがあったら全力で泣けばいいんですよ!」と真剣な口調でROYは言い、「全部オレらが受け止めます」と胸が熱くなる言葉とメロディでオーディエンスを魅了した。
しかし、「今ので後ろを向くのは終わり。ここからはお祭り全開でいきましょうか! 花火もあればお神輿だってなんでもアリだ! おっと…出店を忘れちまったな!」とべらんめぃ口調で、“HOT DOG” から ”YOU GOTTA DANCE” までブチかますと、「ビートルズならTwist and Shoutというかもしれません。THE BAWDIESなら、こう言います! A NEW DAY IS COMIN!!」と、 本編ラストナンバー”A NEW DAY IS COMIN’ で、最後までオーディエンスを煽った。
アンコールに入ると、すっかり上着を脱いだメンバーが登場し、「本当にこういうところでライヴをやれるということは、支えてくれたスタッフや家族、友人そしてここに来てくれている人達のお陰です。ありがとうございます」とTAXMANが感謝の言葉を告げると、大きな拍手に包まれた。
そして昔はMCでいうことがなくてライヴの告知ばかりしていたと笑うROYが、「また告知しちゃおうかな」と、2011年の春、東日本大震災の影響により公演中止となった「THE SONICS x THE BAWDIES JAPAN TOUR 2012」の開催を発表。
おー!!という待ちに待った歓声が響き、次への楽しみに心を弾ませていると、11月に対バンをした毛皮のマリーズ 志磨遼平からのリクエストというDave Clark Fiveの”BECAUSE” を歌い(志磨くんらしい選曲だ!)、“SHAKE YOUR HIPS”でライヴは終了。
メンバー同士のハグに、大きな歓声と拍手が沸き上がった。そして最後は、360°という今回の会場作りを生かし、メンバーから始まり、アリーナ、スタンドへとウェーブをつなげ、最後に全員で叫ぶプレミアムワッショイ! これはかなり圧巻!!
約2時間半突っ走ったTHE BAWDIESの初武道館は、最後の最後まで熱量を失うことなく興奮で幕を閉じ、それでもなお伸び続ける今後をも期待させるものだった。
取材・文/まさやん