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高橋優 秋の全国ツアー~高橋は雨男?晴れ男?はっきりさせようじゃないか2012 @ 神奈川県民ホール 2012.10.12

高橋優 秋の全国ツアー~高橋は雨男?晴れ男?はっきりさせようじゃないか2012 @ 神奈川県民ホール 2012.10.12

遡ること2ヶ月前の10月12日(金)、神奈川県民ホールにてこのスタートした<高橋優 秋の全国ツアー~高橋は雨男?晴れ男?はっきりさせようじゃないか2012>は、 寒冷前線も聞かれるようになった12月12日(水)、中野サンプラザホールにて全国14都市16公演の幕を閉じた。

ライブは “絶頂は今” からスタート。冒頭、力強い高橋の歌声とギターの響きのみで始まり、そこにバンドの音で厚みが増されると、しょっぱなからテンションを上げにいく。

「はっきりさせに来ていただきましてありがとうございます!気象庁の発表によりますと、本日の天候は曇り!」

高橋は早口で挨拶と共に初日の天気を発表するも、「曇り」という何とも微妙な結果に「一番恐れていたことが起きました。」と付け加える。会場からの爆笑にかぶせるように「しかしこんなこともあろうかと、今日のツアーにはステージの上に太陽を用意させていただきました!」と続けると、日の出をイメージさせるステージ背景の半円が光り輝き、「おー!」という歓声と大拍手が湧く!中央にはギターが象られている。会場に見受けられる今回のツアーTシャツはやはり天気がテーマだ。フロントはオレンジに白抜きで「SUN?」、バックはライトブルーに白抜きで「RAIN?」と書かれている。

「お集まりいただいたお客さんと僕とで、せめて心の中だけは晴れ渡るように楽しんでいきましょう!…本当は晴れて欲しかったんだけどね(笑)」と、丁寧かつユーモア溢れる口調で挨拶を締めくくると、高橋の声は“旅路の途中”で本当に澄み渡るような伸びを見せ、件のツアーTシャツの「RAIN」の文字さえ手拍子と共にキラキラと弾んでいた。

ギターを置き、マイク1本で自由に動き回りながら歌う“気ままラブソング”。真面目な高橋優にもこういう、いい加減だったりHだったりする部分がある。それを実にユーモラスに綴った曲で、この他にライブ後半で歌った“頭ん中そればっかり”のような本能剥き出しのような曲も、実は人気が高い。

ギターがない分たっぷりジェスチャーを見せるが、「今夜楽しみ」という歌詞の時にパンツの中を除き観るのはどうかと思うさ、高橋くん。(“こどもの歌”風に読んで欲しい。)それでもステージぎりぎりのところまで身を乗り出し、ちぎれる程に手を降りながらオーディエンスへ満面な笑みを注ぎ込む高橋は、歌声を、想いを、最後列のオーディエンスの指先までしっかり届ける。

高橋は前ツアーで、MCが長過ぎると言われたらしいが、それも彼のツアーではお楽しみのひとつ。先に歌った“旅路の途中”がロンドンオリンピック競泳背泳ぎ日本代表の入江陵介選手にエールを贈った応援歌だということは、高橋優ファンであれば周知の事実だが、応援の為にロンドンオリンピックを観にいった高橋は、「同じ人間とは思えない。あんなに早く泳げるのか!!」と興奮気味に当時の様子を語り、「感動覚めやらないまま、どうしようかと思った結果、泳ごうと思った。」と続けると、そのあまりの直結行動ぶりが高橋らしかった為、会場からは笑いが起きた。

ずっと続けていたジョギングを一旦やめて、近所のジムに通い始めた高橋は、最初25mも泳げなかったらしいが、このライブの頃には50m泳げるようになったらしい。それは凄い。しかし「4年後のリオ(オリンピック)はどうなるか分からないから、体作りは継続します。」と真面目な顔で言うと、今度は大爆笑に。笑いで和んだムードの中、「継続は大変だけど、その逆の気持ちを追求したら、曲が出来ちゃったんですよ。今日、初めてライブで歌います。」と“ボーリング”を歌う。ひたすら面倒臭くて、自分に都合よく世界が回ればいいと歌うこの曲が私は大好きだ。

続く“虹と記念日”では、「今日の天気にちょうどいいかなと思い、セレクトさせてもらいました。」と言うと、クリアなギターの音色が心地よく響き渡り、虹色に輝くライトが、この温かく可愛らしい歌を包み込んだ。

やはり高橋優という人間は、真面目でありユーモラスだ。ツアー初日であるこの神奈川県民ホールでのライブにあたり、気合い注入したくて前夜、スーパーで神奈川県産のものを買って豚肉の生姜焼きを作ったらしい。

…が、肝心の生姜だけ神奈川県産のものがなかったらしく、別のもので代用したというと、会場からは「エー!」とブーイング。

「だって、ありませんっていわれたからしょうがないよ!…しょうが(生姜)ない。」と、オチまでつけてくれ、結局ブーイングは大爆笑に変わった。しかも、晴れになって欲しくて作ったてるてる坊主の口が失敗したことで落ち込むも、「こんなに多くの人達の前で喋れるということは、無駄ではなかった。」と、今回のツアーでも日々の失敗話を楽しく聞かせてくれた。

「この曲も今日が初披露です。」と言った“昨日の涙と、今日のハミング”は、 “ボーリング”同様、12月26日リリースの『僕らの平成ロックンロール②』に収録される曲で、真っ赤なライトに独占されたステージにはゆったりとしたメロディが流れた。高橋の代表曲とも言える“福笑い”同様、食傷気味になるまで強引にメッセージを押し付けてくるわけではなく、心から「今のままでいい」と思わせてくれる曲にオーディエンスの心が温かくなるのを感じた。

「ここで皆さんと手拍子を。今日一番ノリのいい曲です。」と言うと、軽快なカウントとリズムの“今、君に会いにいく”でオーディエンスは手拍子。その楽しい雰囲気のメロディにオーデェンスと一緒にノッていると、「僕に頼って欲しい 僕に見せて欲しい 素顔のままの君の全部全部を〜♪」という歌詞の登場で、不意打ちを食らったかのように涙が出そうになった。メロディのポップさに騙された!(いや、騙してはいないが。)

目一杯練り上げた良い楽曲というのはこの世に星の数ほど存在するし、それはそれで好きでもあるが、肩の力が抜けるようなシンプルでありながらも琴線に触れる高橋の楽曲というのは、本当に凄いと改めて感じた。

「カナケンにお集りのみなさん、元気は残っているでしょうか!!微笑みながら皆さんとリズムを刻むことを分かち合いたいと思い作った曲です。」

ライブも中盤戦を過ぎ、“微笑みのリズム”でオーディエンスの体はアップテンポなリズムを刻み、その微笑みは次の“福笑い”へと繋がれた。笑顔が胸の奥まで満ち満ちて会場は目一杯幸せなムードになっている。それぞれが悩み苦しむ日々の出来事、そして震災から今日までの経験。この笑顔はそういう幾つもの涙の先にあるものだと痛烈に感じた。

「心の中にあるアツイ想いを受け取って欲しいです!“想いよ、届け”!!!」

後半、高橋が曲名を叫びながらタオルを回すと、負けじとオーディエンスも会場中に風が来るほどタオルを回す。高橋は会場中のあちこち指差し、本気で想いを届ける。無鉄砲な歌詞だがその想いの熱は炎となりオーディエンスに火をつける。

テンションもMAXになり大歓声の中、少し息切れ気味に「 <高橋優秋の全国ツアー~高橋は雨男?晴れ男?はっきりさせようじゃないか2012>にお越しいただき、本当にありがとうございます!初日にして、今日が公演中一番じゃないかと思える位です。この神奈川県民ホールに集まってくれた人達と同じ時間を過ごせるのは最高です。」と感謝を述べた。そして同じ時代を生きていることが最高だと笑顔で語り、「今日、初めて来てくれた人もいると思いますが、皆さんに日々、良いオーラを送り続けたい。辛いことも何もかも歌にして新曲を作って歌いに来ます!!君に幸あれという曲をいっぱい作っていきますから。今日は本当に尊い時間をありがとうございました!」

高橋からは目一杯の感謝と共に本編を“陽はまた昇る”で締めくくった。

大きな拍手と歓声のアンコールで再び登場した高橋とバンドメンバー。今回のツアーでは、かなりふざけたギャグを言い続けようと思ったらしく(何故?!)、「このたび、僕、高橋優は入れ歯を外します!」と宣言、入れ歯を外すジェスチャーをするも、あまりのくだらなさに大ブーイング。「ごめんなさい!」と、高橋、初日にしていきなりの撃沈(笑)。

しかし、気を取り直し真面目な口調で『僕らの平成ロックンロール②』のリリースを発表。当初はシングルをリリースする予定だったらしいが、思うことを届けたいという気持ちが次々に出て来て、我儘を言って7曲入りの作品となったと語ると、待ちこがれた新譜の発表と共に、その想いへも割れんばかりの拍手が注がれた。しかもこの時点でまだ日程さえ決まっていなかったのに、同日、LIVEDVDのリリースも決定したことを続けて報告すると更に歓声と拍手は大きくなった。そしてその中に収録される“夜明けを待っている”を披露。オーディエンスの動きが止まっているのは、聴いたことのない曲だからではなく、高橋優の新しいメッセージをしっかり心に刻もうとしているからだ。

「また会いましょうというのを秋田の人達は「へばまんつ」と言います。親しみを込めて、「へばまんつ」と言っていいですか?」

本当に幸せに満ちた笑顔で高橋はそう言いながら「あと15公演行ってきます!今日は本当に幸せでした。」と、オーディエンスへの想いと感謝を“友へ”へ込め、 <高橋優秋の全国ツアー~高橋は雨男?晴れ男?はっきりさせようじゃないか2012>の初日は幕を閉じた。


TEXT:まさやん

※写真は中野サンプラザ公演のものです。


■ 高橋優 オフィシャルサイト
http://www.takahashiyu.com/

セットリスト


01. 絶頂は今
02. 雑踏の片隅で
03. 誰が為に鐘は鳴る
04. 旅路の途中
05. 気ままラブソング
06. 花のように
07. 現実という名の怪物と戦う者たち
08. ボーリング
09. 虹と記念日
10. 卒業
11. 昨日の涙と、今日のハミング
12. 今、君に会いにいく
13. 少年であれ
14. 微笑みのリズム
15. 福笑い
16. 蓋
17. 頭ん中そればっかり
18. こどものうた
19. 想いよ、届け
20. 陽はまた昇る

ENCORE
21. 夜明けを待っている
22. 駱駝
23. 友へ

 

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