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元ちとせ 10th Anniversary LIVE @ SHIBUYA-AX  2月9日

元ちとせ 10th Anniversary LIVE @ SHIBUYA-AX 2月9日

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今年2月6日でデビュー10周年を迎えた元ちとせが2月9日、東京・SHIBUYA-AXで<元ちとせ 『10th Anniversary LIVE』>を開催した。

ASA-CHANG(Dr.Per)がパーカッションで風や緑、海をイメージする音を奏でる中、元ちとせ登場。
ベニツツバナのような朱赤の衣装を緩やかにまとい、いつも通り裸足姿で絨毯が敷いてある自分のポジションにつくと、両手を広げ挨拶。胸に手を置きひと呼吸。“この街”からライヴスタート。

「みなさん、こんばんは。ようこそ『10th Anniversary LIVE』へ足を運んでくださいました。ゆっくりじっくり最後まで私の時間におつきあいください。」と笑顔で挨拶。



HajimeChitose_AX4.jpgThe Sugarcubesのカヴァー“Birthday”では、独特のこぶしにのる英詞が新鮮で、ビョークの歌うオリジナルとは違うサーフミュージックアレンジに元の体もリズミカルに弾む。

元は、デビュー10周年に対し「私はポカンと、ノンビリしていまして(笑)。だって、私の10周年なんてそんなにねぇ…。」と、控えめな自己評価を下していたものの、「それでもベストアルバムを作り、すてきな歌詞やメロディをもらって私は何をボンヤリしていたんだろう!」と、改めて自分を含め、「シンガー元ちとせ」の活動に携わる人達の築き上げた時間に対して今度は少し律するように語った。さらに「歌を届けたいという気持ちに気づいた。遅いけどね。その想いを120%受け取って欲しいから、「可愛い」とか私が喜ぶ言葉を投げかけてください(笑)。」と続け「可愛い!!!」と会場から飛んできた声援に「みなさん優しい!!」とさらに笑顔を見せた。
こういう茶目っ気あるトークや笑顔が彼女が10年愛されてきた所以だろう。

「最後は友達になって帰りましょうね!!」と、ここでの挨拶を締めると、美しい旋律の“青のレクイエム” を切なげに、しかし伸びやかに歌う元。トランペットの音色は切なさの中心に穴を開けるように響き、ウッドベースは悲しみの底をなぞる。この曲は同事務所のCOIL岡本定義の作詞作曲だが、彼のソングライト力の高さが元の声で更に広がりを見せ、観客を魅了した。

奄美大島で生まれ育ち、18歳で美容師を目指し大阪へ出た元は98年に東京へ上京。
現在は再び故郷の奄美を拠点としているが、「島唄を歌ったのがきっかけで自分の声を使って新しい音楽と出会えた。」と、デビュー当時のことを振り返った。「元」という名字をすぐに「はじめ」と呼んでもらえることはなく、芸名をつけるという案も出たらしい。しかもその時候補にあがったのは「ちとせダイアモンド」!!
所属事務所、オフィスオーガスタの社長命名らしく、「すごく危険なことに、杏子さんも「いいね」と言い出したんですよ!」というと会場は大爆笑。
最終的には同事務所の山崎まさよしの「あかんあかん、ダイアモンド☆ユカイがおるからそれはあかん!」という一言で無事(?)、元ちとせのまま今日を迎えられている(笑)。

「私の歌声が北の大地まで届くのかとワクワクしていました。」
南の島で生まれ育った元が上京し、インディーズでCDリリース。
その頃のことを思い浮かべながらと、当時の想いが詰まった“コトノハ”を歌う。

HajimeChitose_AX3.jpg大地の息吹のような、元でなければ発することのないSOUL(魂)で会場はいっぱいになり、“あなたがここにいてほしい”での、暖かい歌詞とメロディは神聖な気持ちや自分への問い、生きる喜び、そんなものを内包しながら、元の歌声でより立体感を帯びる。

奄美には自然崇拝と祖霊崇拝という概念から「ユタ」と「ノロ」という神様が存在するらしいが、それまでそういうものに触れてこなかった元は、神様の言葉を相談者に伝える巫に会いたくなり、実際に会いに行った時の話を始めた。
干支と生年月日だけを告げるとその人が見たのは、元の祖母の家。
ふむふむと話の続きを聞いていると、自分に対し何を言われるかドキドキだった元に一言告げられた言葉は「あなた、タマネギを食べなさい。あと水!あなたの血はドロドロです!」その瞬間、会場は大爆笑。
さすがお酒好きな元(前日も飲んでいた)らしいエピソードだ。
しかしそれでも奄美の良さをアピールする元の奄美愛を心底感じた。

ライヴも後半戦、軽快なギターと手拍子に“ハミングバード”が弾む。
元はオーディエンスへマイクを向け、シンガロングを楽しみ大歓声が沸く。
続く“月齢17.4”は元には珍しいジャズロックナンバー。
エレドラの音と渦を巻く赤いライト。ジャジーなピアノとスリリングなエレキが妖艶な世界へと疾走。
事務所、レコード会社、オリコン…そういうひとつひとつが何もかも分からないままメジャーデビューし、笑顔も涙も混濁する10年間を振り返りながら、もっと努力を重ねていきたいと感謝を告げた本編最後は、2002年のデビュー曲 “ワダツミの木”をダイナミックに歌い上げた。


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アンコールが響く中、下降したスクリーンでビビる大木氏からの応援メッセージが映し出された。
番組で共演し、実はこの日のライヴにも来る予定だったビビる大木が仕事で来られなくなったためにスクリーン越しにライヴを盛り上げたというわけだ。

そしてメッセージ上映が終わると歓声を受けながら再び元が登場。
ジャ◯ネット タカ◯のメロディに合わせ、元のライヴグッズ紹介コーナーですっかり和やかムード。

「もう少し歌わせていただいて、よろしいでしょうか?」
そういうと、“甘露(アムリタ)”を体全体で歌う。
中国に平和が訪れた時に天から甘い露が降り注いだという言い伝えがあり、それをサンスクリット語ではアムリタというらしい。
カラフルなライトが甘露のように降り注ぐと、「今日出会えた人に甘い露が降るようにお届けしました。元ちとせ、まだまだですけど皆さんの前で歌っていきたいと思います。今日は最後まで受け取ってくれてありがとうございました!」と感謝し、“語り継ぐこと”で、<元ちとせ『10th Anniversary LIVE』>は終了した。


PHOTO:田中栄治
TEXT:秋山昌未

セットリスト

1 この街
2 精霊
3 Birthday
4 君ヲ想フ
5 恐竜の描き方
6 青のレクイエム
7 ひかる・かいがら
8 蛍星
9 コトノハ
10 カッシーニ
11 あなたがここにいてほしい
12 音色七色
13 ハミングバード
14 月齢17.4
15 ウルガの丘
16 六花譚
17 幻の月
18 ワダツミの木

*アンコール
Ec1 甘露(アムリタ)
Ec2 語り継ぐこと

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