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HATA MOTOHIRO

HATA MOTOHIRO "Signed POP" TOUR 2013

0605OMIYA3.jpgSEのパーカッションに合わせ、徐々に手拍子が大きくなる。バンドメンバーの後に続き、秦 基博が登場。大歓声が沸く。
2月からスタートした <HATA MOTOHIRO “Signed POP” TOUR 2013> が6月10日の札幌のニトリ文化ホールを持って全31公演、無事ファイナルを迎えたが、そこから遡ること3公演前の6月5日、大宮ソニックシティでのライヴが始まった。

「 <HATA MOTOHIRO “Signed POP” TOUR 2013>へようこそいらっしゃいました!」

オープニングの“グッバイ・アイザック”が終わった後、興奮混じりの口調で「きたよ〜!!」と秦が挨拶すれば、それだけでオーディエンスの笑顔が弾け飛ぶ。

皆川真人の鍵盤がピアノの音色で“鱗(うろこ)”のイントロを捉えると一種の幸福感を感じる。照明を受け、秦のギターヘッドが水面のように会場の壁を照らしながら、歌声はサビで伸び上がり全てのオーディエンスを包み込む。

トークをはさみ、“May”。続く“現実は小説より奇なり”で河村“カースケ”智康のドラムがアーバンでスウィートなリズムへと誘うと、秦の繊細な高音はオーディエンスの肩先へゆっくりと落ちる。

曲が終わるとバンドメンバーは一旦退場し、ここからは弾き語りコーナーへ。

「このハコは2年以上ぶり。」と語る秦。
前回は2011年2月、前アルバム『Documentary』でのツアーだったので確かに久しぶりだ。
多分、今後何年経とうが色褪せないだろう“アイ”をひとりで弾き語ると、続く懐かしいナンバー “虹が消えた日” ではバンマスでありギターの久保田光太郎とギターを響かせ合う。

そして皆川のピアノだけで歌う “恋の奴隷”は、堕ちるような切ない愛の言葉が儚く旋律の上を流れ、秦の歌声はどこかすねているようでもあり、心から懇願しているようでもあり。シアンとマゼンダのライトはそんな、ある種究極の愛のカタチを照らしていた。

ため息が漏れそうな程の世界から一転、“花咲きポプラ”では、鹿島達也のアップライトベースと、カースケのパーカッションが明るいテンポを運んできた。秦は時折足を上げながらリズムを取り、カズーでユニークな音を鳴らすと手拍子にも花が咲く。

今ツアー定番のご当地MCコーナーに入り、秦が埼玉ネタを会場へ問いかけると「西武球場」、「埼玉スーパーアリーナ」、「スタジアム」、「トマト」、「小江戸川越」その他色々埼玉名物と思われるものが出て来たが、誰かが「秦 基博!」と言うと「秦 基博は違うよ!!!」とツッコみ、爆笑を誘う。随所にはさまれるトークでは笑いが絶えない。

しかし、自虐的に愛を求める“自画像”では、生々しいダークサイドの秦 基博がいた。嘆きにも似たそれぞれの音は激しさを増し、トランスしそうな程強烈なセッションへ変化。そのプレイに高まる拍手。最後はカースケの見事なドラムソロからスティックを高く上げキャッチというパフォーマンスで割れんばかりの拍手と歓声が響いた。
湯気が見えそうな程の熱気から、ヨコハマタイヤBluEarth CMソングでお馴染みの“Girl”では開放的なサウンドが広がる。

次曲“キミ、メグル、ボク”で会場は一気にヒートアップ。
「大宮、楽しんでるかーい!ここから更に盛り上がっていきたいと思います!みんな、準備はいいか?!」エレキギターに持ち替えた秦のかけ声に“FaFaFa”で軽快にリズムを刻むオーディエンス。
その後は再び場内を鎮めるように、シングル曲「初恋」「Dear Mr.Tomorrow」をじっくりと聴かせた。

「今回、新しいアルバムを引っさげての久々のツアーです。」今迄のMCとは違い、落ち着いた口調で秦は最新アルバム “Signed POP”のことと、自分が思うPOPについて語り始めた。
「一言で言い表すことは難しいけれど、POPの中には普遍的なものが含まれていると思う。でも何が普遍的で、何が秦 基博ならではのPOPか?シンガーソングライターとして自分を生々しく表現すること、そしてそれを普遍的なものとして届けられたら、という思いでアルバムを完成させました。」

自問自答するように、しかし確実なる信念を持った静かな声で「こうやって<“Signed POP” TOUR 2013>にこんなにたくさんの人が集まってくれたことが、 “Signed POP”を作った意味になったと思います。生活の中の様々な風景や感情と共に秦 基博の音楽がみんなの傍らにあれば嬉しい。みんなの中にサインを残していけたらと思います。そして今日は僕もみんなから沢山のサインをもらった気がします。これをまた歌にしてここに戻って来られたらと思います。今日は本当にありがとうございました!!」と力強く感謝を述べた。

アンコールを受け、“Hello to you”をひとりで弾き語りした後、「アンコールありがとうございました!」と、大きく手を振り笑顔で挨拶、再びメンバーを迎え入れた。

新海誠監督の劇場アニメーション『言の葉の庭』を観たインスピレーションで作ったと語ったのは、同作の為にイメージソングとして書き下ろした新曲“言ノ葉”。「これまでのひとつひとつの出会いが今の自分を作っているんじゃないかと思います。」と言葉を繋げ、歌う。

細糸のようなライトの光が束となり天井に雨粒を揺らすと、繊細なメロディが雨のニオイや濡れ光る路面、踊る傘の群れなど、脳裏で映像の世界とリンクしながら、淀みない秦の歌声は雨粒のようにオーディエンスへと降り注いだ。

「最後はみんなで歌おう!!」

ラストは「水無月」。溢れる期待感へと上昇するサビを 両手を左右に振りながらみんなで歌う。少し照れくさそうな歌声はバンドメンバーや秦の煽りを受け力強いものへと変わり、秦は嬉しそうな笑顔を浮かべた。全22曲が終了すると、最後の最後までずっと手を降り続ける秦に、惜しみない拍手と歓声がおくられ、大宮ソニックシティでの <HATA MOTOHIRO “Signed POP” TOUR 2013>が幕を閉じた。


カメラマン:(C)岩佐篤樹
TEXT:秋山昌未

セットリスト

M01.グッバイ・アイザック
M02.トラノコ
M03. 鱗(うろこ)
M04. May
M05. 現実は小説より奇なり
M06. アイ
M07. 虹が消えた日
M08. 恋の奴隷
M09. 花咲きポプラ
M10. エンドロール
M11. ひとなつの経験
M12. 自画像
M13. Girl
M14. キミ、メグル、ボク
M15. FaFaFa
M16. 初恋
M17. Dear Mr.Tomorrow
M18.綴る

・Encore
M19. Hello to you
M20. 言ノ葉
M21. 月に向かって打て
M22. 水無月

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