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斉藤和義 20th Anniversary Live 1993-2013

斉藤和義 20th Anniversary Live 1993-2013 "20<21" ~これからもヨロチクビ~

saito_09013.jpg今年8月25日に20周年を迎えた斉藤和義。記念日である8月25日と前日24日@神戸ワールド記念ホールで2DAYS公演。
そしてファイナルである9月1日@さいたまスーパーアリーナでアニバーサリーツアーが開催された。


タイトルは <斉藤和義 20th Anniversary Live 1993-2013 "20<21" ~これからもヨロチクビ~>。
…サブタイトルが「~これからもヨロチクビ~」であることからツッコミを入れるべきか、はたまたMCでの下ネタトーク連発からツッコミを入れるべきか…。
そんなことを考えるも、さいたまスーパーアリーナでのファイナルは圧巻の一言につき、約17,000人のオーディエンスは魅了された。

中央の大型スクリーンに映し出された20世紀フォックスをパロったオープニングムービーと、ロボットヴォイスで読み上げられるツアータイトルにすっかり目をとられていると、“ずっと好きだった”のイントロと共にステージにはいつの間にか斉藤和義の姿が。
オー!という歓声と共に、1曲目からオーディエンスのテンションが上がり、ギターのフィードバックから“Are You Ready?”のダークなサウンドが会場に響き渡ると、ライトで青くシルエットを刻まれた斉藤の首もとは3曲目にしてすでに汗で湿っていた。

「イエ〜イ! おー、すごいね。」
力の抜けた感じで手を振ると、今度はその手を額にかざしながら会場を見回した。
「すごいね、この眺め。」と、最上階まで埋まった風景をしばし眺めていると「オレって意外と人気あるんだね(笑)。」と一言。この気負わない発言に会場も大爆笑。
「20周年ということで、それが長いのか短いのか自分でも分からないけど、キリのよい数字だし、お祭りだから楽しませてもらいます。最初に言っておきますが長いです!」
確かにセットリストを見た時、それは感じていた。
しかし最初からネタバレをしてしまうと、当初は29曲だった予定が実際のライヴでは1曲増えて30曲もプレイしたのだ。
でもそれはファンにとっては願ってもないこと。

20周年のお祝いムードも相まって大歓声が沸くと、ラジオステーションJFL(JAPAN FM LEAGUE) の20周年アニバーサリーの為にラジオへの想いを込めて書き下ろした新曲“カーラジオ”を披露。

「そういえば、“あまちゃん”観てます?」
どうやら斉藤もご多分に漏れず、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」にハマっているらしく「アキちゃん、可愛いなぁ。…処女かな。そうあって欲しいな。」と、別の意味での(笑)斉藤らしさが出てきた。

THE BEATLES の “Tomorrow never knows” のような軽快なドラムが“俺たちのロックンロール”のリズムを司れば、「I Love You♪」と大きなシンガロングが広がる。
「暑いね、湿気が凄いね。」と、うなだれ気味の斉藤だが「一番上の5階席、豆粒のように見えるかもしれないけど、本当に小さいんですよ。チ◯ポに体がついている位。」と、今度は完全に本領発揮!
しかし「20年前の1stシングルです。」と、次の曲“僕の見たビートルズはTVの中”を紹介すると大きな歓声が沸いた。
特にファン歴20年の人達にとっては格別だろう。

曲が終わると巻き起こる「せっちゃん」コール。
斉藤和義が何故せっちゃんと呼ばれるかはウィキペディアを見てもらうとして、◯(丸)の中に「せ」と書いた「せっちゃんマーク」について3歳になった和義ジュニアが「これ何て書いてあるの?」と聞くらしく、いつか真実が分かるかコワイと笑うが「最近は仙人男子というのが流行っているらしいから、仙人の“せ”ということでウィキペディアにも書いておいてください(笑)」とトーク。(すでにこのエピソードもWikiに書き込まれているから凄い!)

“進め なまけもの”は、辻村豪文と藤井謙二(ex.The Birthday)のツインスライドギターが特徴的で、肩の力が抜けたような斉藤の歌声も心地よい。
深海に揺らめくような“無意識と意識の間で”は、切ない歌詞になぞられるように悲しげに歌声が響く。
そう、斉藤の声は響きがあるのだ。
跳ねた曲だろうがダークな曲だろうがブルースコードでロックンロールを前面に出した曲だろうが、響きを持つ斉藤の歌声は、軸を変えず表情だけ変化をしながら色とりどりの景色をオーディエンスに与えてくれる。

ギターを置き、ピアノを奏でながらゆったり歌う“月の向こう側”。
スクリーンの満月は、中間を過ぎた頃から不気味に赤く光る。不協和音ギリギリで重なる音と共に、刻まれた風景はもの凄い早さで映し出され、THE BEATLESの“A Day in the Life”の狂気を彷彿とさせた。「ワン、ツー、スリー」と静かにカウント、“歌うたいのバラッド”のイントロが流れると拍手が起こった。ステージの上からは光が降り注ぎ、鳴りのよいギターの音色と叙情的なサウンドに大歓声。

バンドメンバーの紹介を終えると、“砂漠に赤い花”、“BAD TIME BLUES”で盛り上げ、あの特徴的なイントロにボルテージは更にあがる!2011年に放送されたドラマ部門で最高視聴率をマークし話題にもなった日本テレビ系列ドラマ『家政婦のミタ』のエンディングテーマ“やさしくなりたい”だ。この曲から斉藤の音楽に触れた人も多いだろう。

斉藤のクルクルと巻いた髪からは汗が滴り落ち、熱狂するオーディエンスのシルエットはリズムを刻んでいた。
それでもまだ加速する斉藤は、続く“Hello! Everybody!”でステージの端ギリギリまで行きギタープレイ。
スクリーンにはオーディエンスの姿や斉藤やバンドメンバーの姿が多用する映像エフェクトでMVのように映し出され、斉藤は隅倉弘至(Ba)と笑顔でコミュニケーションする。

本編を“ベリーベリーストロング”で終えると、アンコールでは本編と同じオープニングムービーが流れた。
その後、オルゴールの音色をバックに斉藤の20年分の写真が映し出され、その歴史を懐かしみながら時々笑いが起きたり「短髪の時代もあったんだ。」という声が聞こえてきたりと、和やかな時間が流れた。

その後、この日来場した人が開場前に撮影したお祝いムービーが流れると、楽しげな笑い声や拍手が起こる。
最後は吉井和哉や、MANNISH BOYSのメンバーでもある中村達也、そして木村カエラから動画メッセージが贈られた。
ちなみに木村カエラは、斉藤と仕事で一緒になることより街で偶然会うことが多いらしいが、最近一緒にレコーディングをすることがあったらしく、そちらも期待したいところだ。

様々な形での20周年を祝う映像に拍手喝采の会場だが、一瞬にしてその歓声がただ事ならない声に変わっていた。
スポットライトの先に目をやると、ステージ下手側から登場した斉藤がアリーナを歩いているではないか。
そして用意されていたセカンドステージがせり上がるとオーディエンスも大興奮!!

ハープを吹きながらアコギを弾き語る “アゲハ” のテンポはディランのようで個人的にも好きだ。
オーディエンスに囲まれる形になった斉藤は1曲毎に向きを変えてくれた。

しかし、オーディエンスがすぐ目の前にいるのが照れくさいらしく、手を振りながらもボソッと「さ、早くやらないと恥ずかしいぞ!」とつぶやき、“彼女は言った”を歌う。
そんな様子の斉藤をファンは笑顔で包み、一緒に歌い出した。


…が、艶かしい歌詞はいつしか斉藤の一人芝居と化し、挙げ句の果てにはエロい妄想劇と発展。
内容はあえて割愛するが(笑)。

斉藤和義の音楽はロックだが、そこで見せる衒いなき姿に60、70年代を牽引した岡林信康や高田渡のそれを見た気がした。

そして10月23日にリリースされるニューアルバムのタイトルが発表。
既存のシングル曲がメインの『斉藤』と、それ以降に作った新曲がメインの『和義』。
「タイトルをね、考えるのが嫌になって…。」という発言に会場も大爆笑。
しかしそのアルバムを引っさげてのツアーを考えると楽しみが増える。

その後メインステージに戻ると、先日発表した新曲“Always”を披露。
この曲はPENTAX K-50 CMタイアップ曲としてすでにON AIRされているが、向井理とのCM撮影では7時間くらい雨に濡れっぱなしだったというエピソードも語った。
強烈にカッコいい斉藤のギターソロから、ラストは“歩いて帰ろう”へ。
アリーナエリアの頭上からはせっちゃんマークが入った風船が降り注ぎ、オーディエンスの歌声も響き渡る。
「これからもヨロチクビー!!!」
最後にそう挨拶すると、まさにお祭りといえよう3時間半にも及ぶツアーファイナルは幕を閉じた。


TEXT:秋山昌未

<バンドメンバー>
Key:エマーソン北村
Dr:玉田豊夢
Ba:隅倉弘至
G:辻村豪文
G:藤井謙二

セットリスト

01:ずっと好きだった
02:Hey! Mr.Angryman
03:Are You Ready?
04:カーラジオ
05:ワンモアタイム
06:愛に来て
07:俺たちのロックンロール
08:僕の見たビートルズはTVの中
09:進め なまけもの
10:空に星が綺麗
11:郷愁
12:老人の歌
13:無意識と意識の間で
14:月の向こう側
15:歌うたいのバラッド
16:何処へ行こう
17:砂漠に赤い花
18:BAD TIME BLUES
19:やさしくなりたい
20:Hello! Everybody!
21:ロケット
22:ベリーベリーストロング

E-1:アゲハ
E-2:やわらかな日
E-3:彼女は言った
E-4:月光
E-5:君の顔が好きだ
E-6:Always
E-7:月影
E-8:歩いて帰ろう

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