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高橋優2013全国ホールツアー BREAK OUR SILENCE

高橋優2013全国ホールツアー BREAK OUR SILENCE

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今年、ツアー前半12都市12公演を<高橋優2013全国ライブハウスツアー【BREAK YOUR SILENCE】>、後半の9都市11公演を、<高橋優2013全国ホールツアー【BREAK OUR SILENCE】>と銘打ち全国を巡った高橋優。
その全ツアーも、9月29日(日)の愛知県芸術劇場大ホールでの全国ホールツアーで無事ファイナルを迎えた。
ステージのフラッグが風になびき、高橋の登場を待ちこがれる拍手が響き渡る東京・渋谷公会堂2日目の8月18日(日)。

バンドメンバーが登場するとSEがやみ、暗闇から“スペアキー”のイントロを弾く高橋の姿が現れた。アコギの剥き出しな音色と、低い歌声は容赦ない存在感で冒頭から攻め立てる。いつもとは何かが違う。
「いくぞ、渋谷ー!」
それでも“駱駝”での高橋は笑顔でオーディエンスを見回すと「渋谷、久しぶり!!初めまして、または昨日ぶり(笑)。どちらにしろ今日は一緒に歌おう!」 と、歌にのせ楽しそうな表情をみせた。

「BREAK OUR SILENCEというツアータイトル通り、みんなの沈黙をぶち破りに来ました!」高橋は今回のライヴを「集会」だと言った。そうだ、これは集会なのだ。
確かにあえて無骨に組まれたセットもどことなく学生運動が盛んだった時代を想像させるし、 冒頭で感じた興奮とざわつきは本気で自分の中の、そして会場に集まったみんなの中の沈黙をぶち破ろうとしているパワーを感じたからなのだ。
「今日はこの会場で何をやろうとも、笑う人はいません!今日、声が嗄れようとも全部出し切ろうと思います!渋谷公会堂、一緒に声を張り上げようぜ!」
高橋の言葉は同志への宣誓にも聞こえるが、同志は同志でもここに集まったのは音楽で繋がった者同士。コミカルに自分の人見知りを綴った“人見知りベイベー”の歌詞とロックンロールなサウンドにオーディエンスの体もリズミカルに揺れる。

“ボーリング”の冒頭の歌詞「あぁ面倒臭ぇ!」を会場も歌うが、曲が終わりMCでも何故かその言葉が歓声の中に混じる。

すると「俺が面倒臭いってこと?」と、チューニングをしていた高橋が、とうとうたまりかねた様子で会場に問いかけ爆笑。
曲中はあんなに圧倒的な力でみんなを先導するのに、MCとなるとたまに愛されるいじられキャラが見え隠れする。


シングル『(Where’s)THE SILENT MAJORITY?』に収録の “オナニー”という曲に関して、高橋が秋田に帰郷した際、姪っ子にそのタイトルの意味を問われたり、帰り際に握手をすれば、“人見知りベイベー”の「別れ際に不可解な握手」というフレーズを歌われたりと、自爆エピソードにも笑いが絶えない。
そんなドキッするタイトルのひとつでもある“足フェチ”も披露。
ちなみにこの曲は言わずもがなではあるが、アルバム『BREAK MY SILENCE』の初回限定盤特典『ボツ曲大全集①』に収録で、曲自体はメジャーデビュー前に書いたものでデビューシングルにするにはタイトルがエロすぎるという理由でボツになったらしい(笑)。

ミラーボウルが銀色の光を放射線状に放つ中、丁寧に “空気”を歌う。人見知りの高橋が、男女問わず空気のように感じられる相手に知り合えるのは貴重だと取材の時に話していたことを思い出した。そういう相手に出会えたなら自分は絶対にその人を大切にすると。

沈黙をぶち壊して生きていこうと思ってから考えることがあると、高橋は語る。
「幸せ、強さは何だろうか?辛くても笑顔を見せられる人。人前でも泣ける人…。生まれたままのピュアな心で生きていられたらいいけど。」
先ほどの熱狂が嘘のような静けさの中、真剣な高橋の言葉だけが響き、高橋は“CANDY”のメロディを奏で始めた。自らが体験したいじめの歌はCANDYのような綺麗な色の絵の具を舐めさせられるという衝撃の歌詞で告白され、初めて聴いた時は後頭部を強打されたような痛みを覚えた。悲しげなギターの音色は、いじめへ屈することが最大の防御であった当時を思い返すような憂鬱さをはらんでいる。しかし決して綺麗事でもお涙頂戴でもない。高橋の歌声の中にある真実を刻み付けるようにオーディエンスは聴き入っていた。

「元気は残ってるか!一緒に歌おうぜ!」
再びフラッグが風になびくと、ギターフレーズが印象的な“(Where’s)THE SILENT MAJORITY?”のイントロにオーディエンスのボルテージは上がる。
更に「歌詞なんて分からなくてもいいから好きに叫んでくれ!」という高橋の言葉に煽られた会場は大きくリズムを刻み、みんなの指は沈黙を破らんと立ち上がった一人の若きリーダーを支持するように高く突き上げられる。それを見た高橋も「オレもやろうかな。一緒に手を天につきあげようぜ!」と、暴力でも武力でもいじめでもなく、音楽という繋がりの中で気持ちをひとつにさせたオーディエンスの割れんばかりの大歓声に包まれ、まさに熱狂する集会というにふさわしいアツい力が充満していた。

秋田弁全開の“泣ぐ子はいねが”では、高橋をモチーフにしたナマハゲの絵が登場。大きな旗を前列のオーディエンスに振らせるなど大白熱!また、インディーズ時代にリリースした“こどものうた”はイントロから大歓声が沸き、熱気は上がり続ける。
「みんなの声がめちゃめちゃ聴こえてきます。渋公でライブをするのは1年ぶり。すごく嬉しいけど、どんな雰囲気になるか理想だけが膨らんでしまっていました。でも繋がりがここにずっとあったんだなと思いました。」

今日新しく作れた繋がりも、今迄の繋がりも全て大切だという高橋は、学校や家で仲間はずれにされたりニュースを観て悲しい気持ちになったりしたら今日のことを思い出して欲しいと繋げると「この繋がりは一生ものだから。」と感謝を述べ、本編ラストの“同じ空の下”では2013年8月18日、この渋谷公会堂にしかないオーディエンスの歌声が会場を埋め尽くした。

アンコールを“頭ん中そればっかり”で盛り上げ、続く“花のように”が終わると、「本当にかつてない位に楽しませてもらっています!11月の武道館、そこでもこの繋がりが続けばと思います!」と満面の笑顔を見せた。

2010年のメジャーデビュー後、着々とステージアップしている高橋優。
しかしそこには驕りや現状に満足する姿はない。2013年を迎えてすぐ書いた “(Where’s)THE SILENT MAJORITY?” はどういうシンガーソングライターになり、どういう人間になるかのきっかけになった曲だとMCで語っていた。常に自らの眼で真実や信念を捉えようとする姿は今回のツアーを経て11月24日、自身初の日本武道館へと繋げる。
「また会える日まで笑顔は残ってるか!」マイクの音が割れる程力強い声で問いかけると、最後は“福笑い”をみんなで歌い、音楽の力が集結した<高橋優2013全国ホールツアー【BREAK OUR SILENCE】>という名の集会の幕は閉じた。


TEXT:秋山昌未


※8月18日公演の他に<高橋優2013全国ライブハウスツアー【BREAK YOUR SILENCE】>の写真も掲載しております。

セットリスト

01、スペアキー
02、陽はまた昇る
03、駱駝
04、HITO-TO-HITO
05、人見知りベイベー
06、蝉
07、ボーリング
08、足フェチ
09、ジェネレーションY
10、空気
11、CANDY
12、涙の温度
13、(Where’s)THE SILENT MAJORITY?
14、泣ぐ子はいねが
15、こどものうた
16、現実という名の怪物と戦う者たち
17、同じ空の下

ENCORE
EN1、頭ん中そればっかり
EN2、花のように
EN3、福笑い

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