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ライブレポート

PUFFY TOUR 2010 劇団アセス旗揚げ公演「カニと共に去りぬ」@ 昭和女子大学 人見記念講堂

IMG_9708s.jpg未だ梅雨明けしないまま、7月に入って10日あまり。折から雨の中、三軒茶屋の駅からおびただしい傘の花が、昭和女子大の門内へ吸い込まれていく。見ると、カルチャーに敏感で、いかにもお洒落と音楽が大好きそうな若者をはじめ、20代のカップルあり、こども連れありと、幅広い層の人達で溢れている。日曜日だというのに、怪しい・・・。

謎はすぐに解消した。
本日は、PUFFY劇団アセス旗揚げの公演日。しかも、東京を皮切りに始まった全国ツアーの千秋楽。しかも、タイトルが「カニと共に去りぬ」!
雨だろうが女子大だろうが、そりゃ駆けつけるわ。
というわけで、場内はきつめの冷房も何のその。ファンの期待と熱気で溢れていた。

ステージ上には、巨大なまっ白いリボンが、黒い垂れ幕に十文字にかけられている。結び目の両端が斜めに垂れ下がる。すぅっと照明が落ちる。静寂に包まれる会場。オルゴールの音色が響きわたる。固唾を飲んで待つと、2本のスポットライトが、それぞれステージの両端を照らす。ふと気付くと、左端には白、右端には黒のフードを顔までかぶった人影が・・・。
観客に向かってちょこんと頭を下げると、くるりと向きを変え、お互いが引き合うように、ぎこちない足取りで中央へ歩み寄る。まるで機械仕掛けの人形のように。
2体の人形は、おもむろにリボンの端を掴むと、一気に引いた。その途端、二つに引き裂かれた垂れ幕は、壇上に落ち、まばゆい閃光とともに、ギターとドラムの爆音が解き放たれた。リズミカルなイントロダクョン。<JOINING A FUNCLUB>だ。二人は、フードをはぎ取り、歌いだす。もちろん、亜美と由美だ。スモークのジェット気流が吹き出す。

いよいよ「カニと共に去りぬ」、開幕だ。
畳みかけるテンポで、<ナイスバディ>へと続く。上手のギター、中重雄が、弦を掻き鳴らす。後に続くツインギター。走り出したリズムは、オーディエンスを一気に巻き込み、客席前列は早くもスタンディング状態。
「みんな~、元気~」
ハイテンションな2曲で駆け抜けると、待ってましたのグダグダトーク。
この日の二人は、真っ赤なボーダー柄にダブダブのレギンスと、お揃いのステージ衣装に身を包む。
「今日は、劇団アセス旗揚げ公演ツアーの最終日で~す。」と由美。因みに“劇団アセス”とは、来年15周年を迎えるPUFFYをさらに盛り上げるべく立ち上げられた、期間限定ファンクラブの別称。
「あっと言う間だったね~」と振り返る亜美。
デビューから数えて今年で14年。年輪を感じさせないファンキートークの合間にも、ファンから合いの手がかかる。「あいよ~」と亜美と由美。息もピッタリだ。
そしてお次は、映画「宇宙で1番ワガママな星」の主題歌として記憶にも新しいこの1曲。
「<フィッシュ・オン>!」
高らかに叫ぶ由美。交錯するフラッシュライト。弾むドラムに合わせて、走り出すギター。
身を乗り出して歌う由美。ダンサブルなリズムに乗ったキャッチーな歌詞が、ファンを煽る。手拍子・足踏みの洪水の中、ダンステリアと化した客席は興奮のるつぼへ。
続いてナンバーは<バンザーイ!>へ。
こちらは、本人たちも出演している森永乳業のエスキモー「MOW」のCMソング。ダークピンクの照明の中、60年代を思わせるギターの音色。「デンドンデンドン、デンドンデンドン ♪」
川西幸一のドラムのソロが下腹に響く。
ブルーの照明に染まった亜美由美。
往年のファンには懐かしい、<愛のしるし>だ。湧き上がる場内。
さらに曲は、<サーキットの娘>へ。
ステージ狭しと走りまわる二人。両端設えたお立ち台に飛び乗ると、とび跳ねながら歌う。
ファンは踊りながら、手振りを交えての大合唱。場内は、幸せな雰囲気に包まれる。
ここでまたまたMCへ。   
亜美が息を弾ませ、由美の顔を指さして笑う。
「あ、鼻の下に汗が!」
「さるすべりが深いから」すかさず切り返す由美。
脱力トークは、福岡での亜美が“階段落ち”した時の話題へ。
「痛かった~、打ちながら落ちた。ケツ腰ケツ腰って感じで」と、笑いを誘う亜美。
さらに話は、亜美がツアー中に患った腱鞘炎(けんしょうえん)へと及ぶ。
「なかなか治りませんわ~」と嘆く亜美。
「釣りやめなきゃね~。やったでしょ、ツアー中に」と、由美がチクリ。

ちょっとクールダウンしたところで、曲は<complaint>へ。
立て続けに焚かれるフラッシュ。ベースが重低音を奏でる。ドラムがハイテンポなリズムを刻む。
<君とオートバイ>では、ハイなテンションが客席を一気にさらう。身を捩って、声を振り絞る由美。
うって変わって<Radio Tokyo>では、抑えめのライトが亜美由美を浮かび上がらせる。英語の歌詞を、情感たっぷりに口ずさむ。スローからアップなテンポへと、間奏がつなぐ。
メンバー紹介では、今回のツアーの総括で盛り上がる。
上手のギターの中は、「今回のツアーは大変だった。でも、曲が体の中に入ってきたら、めっちゃ楽しかった」と振り返る。バンマスを務める木下も、「よく練習した。満足している」とご満悦。
後半は、<ブギウギNo.5>からスタート。ステージには、三つ編みにTシャツ姿のダンサーたちが現れた。二人と一緒に、奇妙なダンスを繰り広げる。気がつくと、客席の通路にもいたダンサーの列が、壇上になだれ込む。

IMG_1938s.jpg総勢50人あまりのダンサーたちが、亜美由美を囲むように踊り、跳ねる。感極まってとび跳ねる子供たち。ダンスのうねりは熱気を孕み、盛り上がりは最高潮を迎えた。
興奮も冷めやらぬ中、ここで怪しい人影にスポットが当たる。
膝まであるTシャツに、ド派手なパンツ。そろりそろりと中央へ進むと、おどけた一言。
「変なおどり、やってま~す。」
お~、何とあの、南流石さんじゃ、あ~りませんか!
南流石と言えば、数々のヒットCMはもちろん、有名アーチストたちの振り付けを手掛ける、ダンス界の大姉御だ。
「今日は劇団アセスの旗揚げ公演です。二人に盛り上げるように言われたので、踊り
に来ました」と、会場を沸かす。
「パフィーザモンスターゴーゴー。まじめな話は大きらい。パフィーザモンスターゴーゴー。お金の話はわりとすき~ ♪」
会場を巻き込んでの、身振り手振りのダンス指導。和気あいあいとしたムードが広がる。
すかさず、亜美由美が登場。畳みかけるドラムのリズムに乗り、<妖怪PUFFY>が弾ける。四つん這いになって、ステージをうろつくダンサーたち。
「パフィーザモンスターゴーゴー。恋の話はしないで~。妖怪だからワ・カ・ラ・ナ・イ ♪」器用に腰を回して、ポーズ。
短いMCを挟み、サスガ姉御について語る二人。
「みんな~、元気~?」流石さんの口調を真似る亜美。
「みんな~、いい塩、取れた~?」
客席に向かって叫ぶ由美。会場は大爆笑。あいかわらず、客いじりはお手の物だ。
「ミスター川西、カモ~ン」流石さんのセリフを借りて呼びかける由美。
間髪入れずに、川西のドラムが響く。<オリエンタルダイヤモンド>だ。
中のギターが続く。アップテンポな掛け合い。縦乗りのリズムに、手拍子を合わせるオーディエンス。
<DOKI DOKI>では、疾走感のあるサウンドに合わせ、ステージを駆け回る亜美由美。間奏では、中のギターソロ。ドライブのかかったサウンドが、甲高いシンセサイザーの音色と相まって空気を裂く。
一瞬の静寂の後、耳に響く、シンセサイザーの懐かしい音色。言わずと知れたデビュー曲<アジアの純真>だ。亜美由美のソロパート。ヨコ乗りの弾んだリズムに身を任せる。「ありがとう」歌い終わると、客席に手を振る二人。そして、本編は最後の曲へ。
<誰かが>。
パープルのスポットに揺れる亜美由美。ギターのリフが軽快に走りだす。
「誰かが泣いてたら 抱きしめよう それだけでいい ♪」

本編は終了。PUFFYとメンバーが去ったステージと会場は、興奮を冷ますかのように静まり返る。やがてざわめきとともに、手拍子が湧きおこり、いつしか場内はアンコールの大合唱。拍手に迎えられ、メンバーとともにステージに戻る亜美由美。
「ありがとう、みんな。アンコール来ないかと思って、選曲で揉めましたよ」と、由美が会場を沸かす。「新曲、歌ってい~い~?」声を合わせて叫ぶ二人。
<ジェットラブ>が、軽やかなドラムで始まる。日本テレビ系「DON!」のテーマソング。ダンサーズ、三度登場。
とどめのMCは、追加公演ネタ。
「町田と寝屋川で追加公演があるから、よろしくね!」と亜美。
「香港・台湾公演もあるからね~」と由美。久々の香港・台湾公演だけに、話にも熱が入る。
「来年は15周年だから、何かやる時は誘うから、絶対来て!」と早くも、気持ちは来年へとはやる。続いて、<Bye Bye>を披露。せつない歌詞が響く。
そして最後はもちろん、サビの歌詞が今回のツアーのタイトルの元ネタにもなっているこの曲。
<渚にまつわるエトセトラ>。
ダンサーズも勢ぞろい。PUFYYの二人を先頭に、一糸乱れぬ見事なダンス。
「カニ食べ行こお~。はにかんで行こお~ ♪」
繰り出すパンチに力がこもる。
「渚へ行こお~ 乗り込んで行こお~ リズムに合わせて誘われそ~お~ リズムにはじけて恋するム~ド~ ♪」
会場の拍手には熱がこもり、しばらく亜美と由美を包んでいた。

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取材・文/BAO

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