ryo(supercell)がプロデュースを手掛ける架空のアーティスト、EGOIST。ヴォーカリストは2千人を超える応募者の中から選ばれた17歳 の歌姫・chelly。シングル「Departures ~あなたにおくるアイの歌~」と「The Everlasting Guilty Crown」は共にオリコンウィークリーチャートトップ10入りを果たすなど大きな話題になる中、9月19日待望のフルアルバム『Extra terrestrial Biological Entities』をリリース。そんなryoとchellyにEGOISTとはどういう存在なのか、また楽曲に対しての想いなどを伺ってみた。
ー はじめまして。宜しくお願いします。
ryo・ chelly:宜しくお願いします!
ー まず、mFound初登場ということで、 1stアルバム『Extra terrestrial Biological Entities』のことをお伺いする前に、EGOISTというのはどういう存在なのかというところを改めて詳しく教えていただけますか?
ryo:深夜枠のテレビアニメ「ギルティクラウン」(フジテレビ系列「ノイタミナ」枠で2011年10月13日〜2012年3月22日放送)の劇中歌を扱うアーティストという企画からスタートしています。この作品は原作がないオリジナルアニメです。
ー EGOISTはユニットと呼ぶべきなんでしょうか?
ryo:自分も監督に同じことを聞いたんです。「EGOISTはユニットなんですか?バンドなんですか?それともソロなんですか?」って。でも、監督曰くそういう形式ではないそうです。EGOISTのヴォーカルは “楪(ゆずりは)いのり”というキャラクターなのですが、味方に“葬儀社”という集団がいて、彼女はそのチームの顔であり宣伝役であり、みんなを統率する役割でもある。いわゆる歌姫的アイコンとしての扱いなんですが、もうひとつ特徴的な設定として、いのりは感情表現をしません。しかし、音楽を通してのみそれが出来る。だからそこに関わる形式はユニットなのかシンガーなのか、ソロなのかとかは関係がないということらしいです。
ー なるほど。
ryo:例えば「ギターを持っていたりピアノを弾いていたりするんですか?」と監督に聞くと「ギターやピアノの音はしていても、楽器そのものの形状はない。」ということなんです。
ー まさにアニメの描く世界観というか、アニメだからこその表現ですね。
ryo:その通りです。SF的というか。だから劇中で小さなマイクロチップのようなものを渡して「これが新曲だ」というシーンがあるんですけど、そういうのがすべてを表現しています。
ー その、“楪いのり”の歌を chellyさんが担当されていますが、chellyさんは「supercellゲストヴォーカルオーデション」で2,000人を超える応募者から選ばれたんですよね。
chelly:まさかと思いました(笑)。本当にダメもとで受けたので、結果を聞いた時には電話の前で泣き崩れちゃいました。
ー chellyさんが栄冠を勝ち取った要因はどこでしょうか。
ryo:まさにタイミングが良いことにというか、Departuresという曲が既にギルティクラウン用に作ってあり、その曲を歌う人を探していたんです。それで、supercellゲストヴォーカルの最終オーデションの時にみんなでそれを歌ったのですが、chellyちゃんだけがしっくりきて。ともすると歌謡曲テイストすぎて、すごく古くさくなる曲調なんですが、それをchellyちゃんが歌った時だけ成立しうる今風な現代的何かがありました。
ー 当然かもしれませんが、楽曲の持っている魅力が際立つかどうかというのは、ヴォーカリストによってかなり変わってくるんですね。
ryo:そうなんです。それをこのアルバムを通して自分自身気づかされました。今迄は自分が曲を作って世界観を表現するものなのだと思っていたですが、そうではないということを身をもって感じました。
ー ところで、8月5日(日)に東京・代々木第一体育館にて行われたライブイベント「ANISON GENERATION 」にEGOISTとして特別出演されましたが、いかがでしたか?
ryo:実はアルバム制作が詰まっていたので残念ながら観にいけなかったんです。でも、自分の代わりにchellyちゃんが楽しんできてくれたんだよね。
chelly:はい。ずっと憧れていたryoさんが作った曲を私が歌って、それがあの広い会場で響いているのは感動でしたし、皆さんがサイリュームを振って大きな拍手が湧いていたのもすごく嬉しかったです。
ryo:へぇ、いいなぁ。観たかった!
ー では改めて、EGOISTとしての1stアルバム『Extra terrestrial Biological Entities』を9月19日にリリースということで…。
ryo:すみません、タイトル長くて(笑)。
ー ごめんなさい。しょっぱなから、かんでしまいました(笑)。
ryo:いえいえ(笑)。これはいわゆるEBE(イーバ)=地球外生命体という意味なのですが、皆さんがこれをどう読むのかちょっと興味があるんです。きちんと「 Extra terrestrial Biological Entities」と読む人もいれば、EBEと略して読む人もいる。例えばタイトルをフルで読む人の横に、EBEと略して読む人がいるとするじゃないですか。
ー はいはい。
ryo:その時、「あれ、俺は何で今迄この長いタイトルをフルで読んでいたんだろう?」という、ちょっと置いてかれた感というか(笑)、そういう意地悪な演出ができるかなと思ったんです。
ー 面白いですね。ちょっといたずらっぽい!
ryo:そうそう!
ー 何故こういうタイトルにしたか教えてください。
ryo:元々「ギルティクラウン」のキャラクター設定をしているredjuiceさん(supercell)曰く、 “楪いのり” の最初の設定は金魚だったそうなんです。色合いやモチーフが金魚のデザインで、こういう感じをそのままヒロインにしたいんだという話でした。金魚というのは人工生命体で、元々人工を介していないと生命が維持できない悲しい性があるらしく、いのりもそういうコンセプトを持ったキャラです。そのため、 “楪いのり” の存在自身が地球外生命体であり、このアルバムでは、いのりちゃんが最後にいなくなってしまって月に行ってしまったという感じで表現しているので、そういう部分も含め、この地球外生命体を意味する『Extra terrestrial Biological Entities』というタイトルにしました。
ー 全体的に、歌詞もメロディもすごく表情豊かだと思いましたが、ご自身として仕上がりはいかがですか?
ryo:コンセプトがどうかということとは別に、単純に音楽アルバムとしてすごく良いなと思いました。今迄、歌詞やメロディラインがどうで編曲がどうだといった部分を細かく積んでいたのですが、そういう積み立ての一番上に成り立っていなければいけないのは、やはり”歌”なんです。歌がすごく成立しているというか、逆にchellyちゃんの歌声を聴いて作っていった部分があり、それは今迄のやり方からするとすごく新しくて、今迄の概念が本当に180度変わりました。野球のイチローさん的に言うと540度というやつです(笑)。一周回って、知っていた音楽が逆転してみえるというか。
ー chellyさんは出来上がりを聴いていかがでしたか?
chelly:本当にバラエティ豊かで、それぞれ違う感情が引き立つ曲ですし、すごく楽しんでもらえるのではないかと期待できるアルバムになりました。
ー レコーディングはどういう形で行われるのですか?
ryo:最初のラフ段階では、それこそミニキーボードで作ったようなデモに乗せて一度歌ってもらいます。その歌ってもらったものを一度持ち帰り、それを元にアレンジを施して最終的に再度歌ってもらいます。