—— 例えば?
水泳とか、テコンドーとか…。以前剣道の先生になりたいって思っていたので剣道は割と長かったんですけど、でも音楽はもう10年もやっているのに一度も飽きる瞬間がないというのは、きっと毎回毎回新しいものと出会って、広がっているからだと思いますが、相当音楽って深いんだと思いますね。
—— Kさんに合ってるんですね。音楽が。
そうですね。でも他のも自分に合ってると思ってやってたんですけどね(笑)。
—— この “dear...” は、この5年間の思い。ひとまずKさんの第1章が幕締めとなりますね。この5年をちょっと振り返ってみたいのですが。
最初は2004年の10月ですね。レコーディングをするので、初めて空港に着いて…。まったく日本語がわからなかったので、人とコミュニケーションもとれないですし、わからなすぎて逆にストレスがなかったんですよ。楽しい海外みたいな(笑)。仕事して、帰りにお土産を買って帰ったり(笑)。それがいつしか部屋を借りて住むようになって、家具を買い揃えて…。最初はこんなに長く住むとは考えてなかったんですけど、きっかけがあったんでしょうね。
—— どんなきっかけだったんですか?
例えば僕が東京で生まれ育って会社に就職後、大阪に転勤になったとするじゃないですか。そうした時に、最初は東京に出張するのがすごく楽しいんですよ。家族もいるし、友達のも会えるし。でも段々スーツケースで荷物を運んだり、また戻ってくるのが面倒くさくなるんですよ。そういう感覚が生まれた瞬間から、あ、面倒臭いと思うってことは、こっちに住めってことなのかなって。デビューした年は結構行ったり来たりしてたんですが、次の年からは一年に一回くらいしか帰らなくなりましたね。その面倒臭いって思ったのが多分きっかけですね(笑)でもその頃から、日本に対しても、音楽に対してももっともっと深く知りたいっていう風に目線が変わってきましたね。
—— 日本にきて驚いた事は?
最初はウィークリーマンションに住んだんですが、時期が冬で、床に座ったらおしりが冷たかったんですよ(笑)。向こうは寒いのでどこに行っても床暖房が入ってるんです。床暖房は当たり前というか。だから「日本で初めての一人暮らしかぁ」と思って、荷物を置いてテレビをつけて、お茶いれて、座ったら「冷たっ!」みたいな(笑)。
—— 日本にきて感動した事は?
色々あるんですけど…。あるアーティストのライブを当時のスタッフと2人で観に行ったんです。国際フォーラムだったかな。お客さんも満席で。帰りの電車の中でそのスタッフに「Kは夢ってある?」って聞かれて、「とりあえず、日本語を喋れるようになるのが今の夢なんですよ。」って答えたんです。まだ本当に片言でコミュニケーションとるのもやっとだったので。そうしたら彼が、「オレはKがここでワンマンライブをやるのが夢なんだ!」って言ってくれたんです。違う国に来て違う言葉で話して、独りなんだなぁと思う瞬間も多かったので、その言葉にすごく救われました。日本でもスタッフに愛されてると思って勇気をもらいましたね。その日の事がとても印象に残っていて、その後実際に国際フォーラムでライブをやった時に、その事をMCでも話したんですが、実はその夢を語ったスタッフ当日来てないんですよ!! えっ!?って感じでしょ(笑)。僕のライブには全部来ていたんですけど、その日だけ来てないという…(笑)。でも、日本でお仕事をするようになって、人との出会いに感動するようになりました。だから僕が結婚して子供ができたら、絶対に海外に行かせたいと思うんですよ。そうする事で自分の生まれた街の良さもわかるだろうし、自分というものを探せると思うんです。仲間も沢山出来て、色々学べると思いますしね。
—— 日本に来て挫折を感じた事はありますか?
やはり、言葉です。特に歌詞の面でね。僕は歌詞を書くのが好きなんですが、最初のうちは、日本語でどう表現したらいいのかが全くわからなくて。どうしたらいいんだろう?ってところからのスタートでした。でも先ほども言ったように、そういった事も全部繋がってると思うんですよ。これからも辛いことや乗り越えなきゃならない壁も出てくるでしょうけど、今は作るのがとても楽しいです。
—— この5年で自分なりに成長したと感じるのはどういうところですか?
アーティストとしてもですが、何より人として、この日本で過ごした5年間で人とコミュニケーションをとる、人を気遣う、人の事を思う、人の事を感じる、という全てにおいて学ぶ事ができました。ファンの人達とも、お互いに言葉がわからない中で相手の事を知りたいと思うエネルギーがあったからこそ特別な絆ができたのかなと思います。
—— 自分にとって一番心に残ってる曲は何ですか?
すごく難しいですが、”dear...”かな…。どの曲にもそれぞれに思い出があるのですが、そのすべてを”dear...”で表現しているので。”dear...”を作るためにこれまでの楽曲があったとも思えるし、また、これまでの楽曲があったからこそ”dear...”が生まれたとも思える。ある意味ダブルミーニングですよね。色々な思いがギューっと圧縮された楽曲ですね。
—— 来年の1月12日にリリースの「We LOVE マッキー」では “僕が一番欲しかったもの” で参加されていますが、この曲を選んだ理由はなんですか。
“僕が一番欲しかったもの” が僕が一番欲しかったものです(笑)。槇原さんが大好きで、ライブでは “遠く遠く”をカヴァーさせてもらいましたし、カラオケに行くと必ず歌うナンバーもあるので、このコンピレーションのお話をいただいた時にすごく選曲で悩んだんです。でも今の僕に一番似合う楽曲はなんだろう?と考えた結果、 “僕が一番欲しかったもの” を選ばせていただきました。
—— 槙原さんとは前から交流があったのですか?
そうですね。食事に行ったり、色々と相談にのっていただいたり。”dear...”もそうなんですけど、最近は詞先で作る事が多いんですね。それも槇原さんからアドバイスをいただいて、チャレンジした結果、出来た曲が”dear...”なんです。
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□兵役により活動休止するKが、 年内除隊のキム・ドンワン(SHINHWA)とヒット曲「Only Human」をコラボ・リメイク!ドンワン未発表曲ではKがコーラス参加!
11/30 に初の武道館公演を控えるKのデビュー5周年記念ベストアルバム。2005年デビューシングル「over...」から、早5年。J-POPシーンで活躍した韓国出身アーティストの先駆者として、この5年間を駆け抜けてきた、その集大成ベストアルバムとなります。親愛なるファンそして、Kを愛する全ての人へ捧げる一枚です。 初回特典:デビューしてからの5年間を追った約50分に及ぶ長編ドキュメンタリーDVD付き!
2010/11/30 日本武道館
開場 18:00 / 開演 19:00
全席指定 6,300円(税込)