元気ロケッツ「GENKI ROCKETS II 〜No border between us〜」インタビュー Page3


ー「Dreaming across stars」は、宅録らなぬ、宅トラックダウンと伺ったのですが。

玉井:スタジオ完結ではなく、デスクトップのソフトで仕上げてみようと思ったんです。実質同じことではあるんですけどね。北欧とかでは今、ポピュラーな方法なんです。スウェーデンのバンドとかはレコーディングスタジオでひたすら良質ないい音にしたいと思う世代と感覚自体が違うんですよ。


ー 時代ですね。

玉井:僕は10代の頃からスタジオワークをしていて、高校生の頃はレコーディングスタジオじゃないと、いい音で録れなかったし想ったとおりに仕上げられなかったんです。だから録音物を作る=レコーディングスタジオだったんですけど、今は全然違って、本当に簡単なソフトで全部作りましたというのに近い状態に出会えちゃうんですよ。ユーザー感覚でいうところの音質は盛れないし聴覚上偏った音になるんだけど、反面デスクトップからスタジオのツールスにデータを移すだけで素材としての音質は若干劣化するという矛盾が起きてる。だからこの曲はそのプロセス踏まないで、産地直送みたいな状態だね(笑)


ー 産地直送(笑)

玉井:基本的には、このプロジェクトに関してはいい音へのこだわりというよりは、仕上げをスタジオでワーワー言いながら作りたいっていうのがあるんですよ(笑)。そこで色々な発想を加えて行くのが元気ロケッツたる所以でもあって、最後のスタジオ作業をやる前と後では全然違う曲になったりするんですよ。ひどい時だと構成やコードすら変わっちゃう。その場で全部組み替えて。『元気ロケッツI -Heavenly Star-』はそれが顕著に出ていますね。そういう意味で言えば「2枚目」ということで ちょっと違うアプローチはしていますね。SkypeでやりとりしたものをPC上で構築して、みんなもオンラインで聴いて「いいね!」って。ある意味、「そこにたどり着いちゃった」という作品です。この曲は歌詞も他の曲とアプローチが違うし。


ー 弾けていますよね。

玉井:どんな人でも、ちょっとおかしな瞬間ってあると思うんです。酔っぱらってる時とか、打ち上げの2件目とか…。


ー それ、全部飲みの席での話じゃないですか!(笑)

玉井:そうですね(笑)Lumiちゃんは少女だからお酒は飲まないですが。

水口:相当、妄想の世界だよね。

玉井:部屋でひとりで、エアギターを弾きながらWOW!って言って飛んでたら、いきなりお母さんが入ってきて恥ずかしい! みたいな、あの感じ。だからある意味、エッジーであることだけを大切にしてみようと思った時に、これが良かったんです。

水口:この曲を玉井健二から聴かされた時に、一発で気に入っちゃったんだよね。やっぱり最初のギターのアルペジオ感の反復がとてもよくて、色々なイメージが湧いてきちゃったんですよ。やっぱりすごく楽しげな曲でもあるし、ずっと星空を見ていたら色々なものに見えてきちゃって、一人イメージ遊びが止まらなくなってしまうという感覚ですね。Lumiはそういうことが得意なんですよ。でもほんと、あのギターのアルペジオ感はフロアでもすごく盛り上がれるだろうなと思ったし、そういう会話の中で玉井健二からも今迄とは違うアプローチをしてみない?という発想が出て来たんだけど。

玉井:面白いのはね、あのリフが命ではあるんだけど、弾くのが超簡単なんですよ。


ー え、そうなんですか?

玉井:ギター覚えたての人がすぐ弾ける。あれを延々弾いていて成立する曲にしたかったんだ(笑)

水口:それって、結構盲点だよね。


ー 盲点でした!

玉井:ずっと弾いていられて、そこに主旋律の美しさが伝わるコードをつけました。


ー 実はあのリフ、ずっと頭の中で鳴りっぱなしなんです。

水口:そうそう!でもずっと頭の中で鳴りながら歩いていると歩き方が変になる。テンポがね(笑)


ー「Good night」は、レコードに針を下ろす瞬間から曲が始まりますが、本当に新たな世界観で驚きました!

玉井:LumiがアナログでThe Beatlesを聴いたという設定が僕の中にあるんです。それで真似して作ってみたというね。配信で初めて音楽を買った人というのは決して知らない音じゃないですか。針をアナログに落とすという行為や、ジーって言ったりボツッていう音は。寝る前にレコードを聴いているような感覚です。なんちゃってビートリー(笑)

水口:分かる人は多分ピンとくると思うんだけど、The Beatlesの『WHITE ALBUM』に収録されている曲に「Good night」という同名の曲があってそれに対してのオマージュでもあります。地球に対するラブソングですね。


ー 今回、リミックスの収録もありますが、「make.believe」(The_AIU mix)をリミックスしたThe_AIUは玉井さんからオファーをしたということを伺いました。

玉井:The_AIUは、久々にいいなって単純にそう思えたんですよ。ある種ハイブリットなプロジェクトで、そういう意味では若干元気ロケッツと近いと思えたんです。出音とかのアプローチが違うんですけど。やっていることのグローバルさも似ていると思えたし、ああいう新しく出て来た人と元気ロケッツを掛け算すると、率直にどうなるのかを見てみたかったんです。


ー 実際出来上がりを聴いていかがでしたか?

玉井:面白い!「こうくるか!!」っていう感じでしたね。こんなに歌を大切にしてくれるのかという部分が驚いたし嬉しかったです。普通にロックとして捉えてる的な目線が軸になっていたし、そこがいいと思いました。僕は普段からどう化学反応を起こさせるかという部分を考えるのですが、結局のところあらゆるプロセスに於ける異質なものの掛け算でしか新しくていいものを作っていくことは出来ないないんですよ、ポップミュージックって。"フレンチ懐石"みたいに。例えば元気ロケッツで言うと、メロディはもの凄くスタンダードな欧米の英語圏の人達が非常に好きなスタイルを多く使っているんですが、それに対してトラックとかグルーヴは真逆に向かっていたりするんです。寄り添っているようで実は濁す要素を入れていたり、すごくデジタルに聴こえるけど本当は民族楽器を使っているとか。そういうことを色々と計算しながら作るんですけど、The_AIUの目線は僕らにないもので、良かったです。


ー「Touch me」(metalmouse + mix)は、J-WAVEリミックスコンペグランプリ『SPIDER SOUNDS×agehasprings リミックスコンペティション2011』の時にグランプリを獲得したD-DIRECTIONと、metalmouseとのコラボリミックス音源ですね。

玉井:はい。そのイベントで彼のリミックスが一番面白かったんです。それで今回参加してもらったんですが、上がってきた音がやっぱり彼なりの目線で、すでに作品として出来上がっていたんですよ。いい意味でね。でも、それはそれとして、D-DIRECTIONとmetalmouseのカラーを別途掛け算したくなったんです。


 

アーティスト情報

元気ロケッツ「GENKI ROCKETS II 〜No border between us〜」インタビュー Page3
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LOUD 200th Issue Anniversary Party-「 WOMBLIVE ONE SPECIAL LIVE×LIVE」

会場:WOMB

日時:2011年9月10日(土)
OPEN 14:00 CLOSE 21:00

料金:前売り ¥2,500 / 当日 ¥3,000
※入場時、別途ドリンク代¥500

アートアクアリウム展 江戸・金魚の涼 「ナイトアクアリウムミュージアムラウンジ」 ナイトアクアリウムミュージアムラウンジ最終日SPECIAL EVENT!!

会場:日本橋コレド室町 三井ホール4F

日時:2011年9月12日(月)
OPEN 21:00 / LIVE START 22:00

料金 : 3,000円 / フライヤーご持参の方:2,500円

■ Link

元気ロケッツ 公式HP:http://www.genkirockets.com/