ー 歌詞としては、特にどういう部分を一番描きたかったですか？

私を含め主人公もそうですが、人は何かを満たしたくて日々生きていたり、夢を追いかけたり、誰かを大切にしたりしているんだと思うんです。どうやったら空虚な気持ちを満たせるのだろうと考え、サビでは「 Oh It’so Silly 何かを求め 確かめたくて 今日を生きてる」という歌詞を書きましたが、「何か」の部分を、夢や人に置き換えてて聴いてもらうと、更に世界観に入り込み易いんじゃないかと思います。


ー 人間は完璧ではないから、どこかしら愚かな部分がありますよね。

以前は相手の愚かな部分が見えたら、そこを責めることが多かったんです。答えが出ないということは結局、その人が頑張っていないだけなのではないかとか。 そういうことが幼すぎて分かっていなかったんです。


ー なるほど。

でも、頑張れば頑張るほど、突き進めば突き進むほど、分からなくなることがあるんだということがやっと分かってきたんです。今回原作を読んでいて初めて、その愚かな部分がある意味、愛おしい部分であり人間らしさだと思えることが出来ました。もし完璧だったら愛を知ったり優しさに触れることもない。愚かだから生きられるんだなと思えたんです。


ー サウンドの面で西尾さんと、どういう面を一番表現したかったかなどはお話されましたか？

しました。人間の愚かな部分に対しての気持ちはありますが、重いだけの曲にはしたくなかったんです。最初はマイナーコードが多かったんですが、最後はメジャーコードの明るい響きで終わるんです。愚かだから生きられる、そこには絶望もあるかもしれないけれど、希望も込められていると思ったので、その想いを表現するにはバラードだと思って西尾さんに伝えたらアレンジもそういう感じに変わってきました。


ー シングルとしての初バラード、歌う面で難しさはありましたか？

この曲は、一度歌うだけですごいパワーを使うんです。それだけ色々な想いがこもっている曲なので、抑えながら語るように歌う部分は、最初にチャレンジした時とても難しかったです。でもその分、本番のレコーディングではすごくハートで歌えたかなと思います。


ー 確かに歌の表現力がとても繊細に感じましたし、コーラスの入り方が薄紙を剥がすような紙一重な感覚に聴こえました。

ありがとうございます。すごく嬉しいです。吐息で歌っているので、ヴォーカルとコーラスのどちらが大きく、前に来ているのかというのが一瞬分からなくなるところもある位なんです。


ー c/wの“願い事”のイントロですが、ジージーという音はオルゴールを巻く音ですか？

はい。ゼンマイを巻く音です。すごくメルヘンでファンタジーな曲にしました。“Silly”とは正反対の曲ですし、 “勇気のしるし”を収録することも決まっていたので、3曲とも私の違う顔が見せられたらいいなと思って、1曲1曲違うテイストの曲を書きました。 “願い事”は少女の、幼い部分の私を切り取って作った曲で、恋している時や誰かを大切と思っている時のハッピーな気持ちを歌詞にしました。


ー ラストサビ前の間奏の壮大さ、その後のサビで変化させるリズムが、とてもフックになっていますね。

ありがとうございます。間奏ではストリングスも入っていますし、最後のサビではテンポを落として歌っています。


ー その部分も含めとても可愛らしく、幼少期のどこか懐かしさを感じさせますが、家入さんは人見知り以外で、どんな子どもでした。

人見知りは大人や初対面の人の前だけで、同級生や友人の前だとすごいおてんばでした。夏休みになると、橋の上から誰が一番最初に川に飛び込めるかって、男の子と混じって競争していましたもん（笑）。


ー すごいね、それは（笑）。じゃあ傷だらけだったんじゃない？

すごいですよ！しかも当時は床屋さんに、男の子に間違われて髪を切られたりした位でした（笑）。


ー えー！！

まぁ、そのおてんばなところは今もあまり変わっていない気がしますが（笑）。


ー “願い事”に因んで…というのもベタですが、家入さんの大きな願い事と小さな願い事を教えて下さい。

大きな願い事は、（少し考えて）自分の信じた音楽をやることです。


ー 例えば、通常ライヴをする会場でなくても良いんだけど、こういうところでライヴをしてみたいという願いはありますか？

海の近くでやりたいです。まだやったことなくて。夏の夕暮れとかにライヴをしたら気持ち良いだろうな。


ー いいですね。では小さな願い事は？

小さな願い事は…カレーライスが食べたい（笑）。


ー アハハ！いいね。

今、カレーが無性に食べたいです。


ー 料理はするの？

します。すごく簡単なものですが。


ー 得意料理は？

カレー。…って、誰でも作れるけど。


ー この間インタビューした、ある男性シンガーソングライターは自分でガラムマサラから作るんだって。

すごーい！私には出来ない（笑）。