twitter twitter
星野源のひとりエッジ in 武道館

星野源のひとりエッジ in 武道館

13_TPS9992.jpg数多くのミュージシャンからも愛される星野源だが、それは音楽に限ったことではない。この日、日本武道館に届いた有名芸能人からの祝花をみるとそれが分かる。

今年5月にリリースしたシングル『SUN』がチャートを賑わす中、夏まっさかりとなれば、野外フェスやイベントに出演、10月期にはTBSの金曜ドラマ『コウノドリ』に出演が決定しているなど、この男の活躍は留まることを知らない。そして8月12日(水)・13日(木)には、昨年復活ライヴを行った日本武道館で【星野源のひとりエッジ in 武道館】が開催。チケットは即日ソールドアウト。2日間で26,000人を動員した。

2日目の13日(木)、1F席に座りステージを見ると、センターステージに設置されているのはマイクスタンドのみ。『ひとりエッジ』というタイトルから弾き語りメインのソロライブということは想像出来るも、溢れんばかりのオーディエンスが360°、各方面からそのマイクスタンドを取り囲んでいる光景はかなり異様にも思えた。しかし、“星野源なら、何かやってくれる。”そう確信できる今回のライブは≪BUDOKAN≫、≪ROOM≫、≪RHYTHM≫の3つのパートに分かれており、それぞれ違うパフォーマンスで楽しませてくれた。

丁寧にお辞儀をしながら星野が登場。通常の弾き語りパート≪BUDOKAN≫からライヴはスタート。

13_TPS0141.jpg『殺してやりたい人はいるけれど』…武道館公演の1曲目にこの強烈な歌詞で始まる「バイト」を持って来るあたりは、やはり星野らしいと思わず顔がニヤける。割れんばかりの歓声と拍手が星野へ浴びせられると、「化物」ではオーディエンスのクラップを感じるためか、少しだけギターの旋律を止め、星野の歌声とクラップのみが響く。

“すごい景色ですね。一番後ろまで見えてる。みなさん本当にありがとう。”周りを見回しながら挨拶する星野は少し高揚しているようにも見えた。

「ワークソング」での伸びやかな歌声、“地獄をギター1本で表現してみました。”と笑いながら弦を削るように弾くギター。バラードでもアッパーチューンでも関係ない。星野源が軸に在るだけで、なにか特別感のようなものを与えてくれる。

“ちょっと回転しているけど気にしないで。”汗をふく星野を乗せたステージはゆっくり回転。自分達サイドが正面になったゾーンのオーディエンスは、その後何度か回転するこのステージに都度歓声をあげた。星野はどうやら“男前!”と言われると機嫌が良くなることが初日に判明したらしく、そのことに触れるも、さすが星野ファン!すぐには“男前!”と声をかけることなく、星野も“言わないんかい!”と思わずツッコミを入れる。しかしそんなファンとの距離感の近さを楽しんでいるようにも見えた。NUMBER GIRLのカヴァー「透明少女」に続き、新曲「Snow Men」へ。この曲は、資生堂・マキアージュから9月21日に限定発売される『スノービューティーⅡ』の為の書き下ろし曲で、スペシャルショートムービーには二階堂ふみと共に自身も主演。切なく儚げな旋律に時折差し込む光のようなハミング。オーディエンスはじっと聴き入る。

フェスに多数出演の星野は“フェスの会場って、1対大勢っていう感じがするけど、ワンマンライヴ、特に今日みたいなライヴは1対1だと思っています。”と言う。更に1対大勢では自由な動きを求めるのに対して、1対1ではみんなで同じことをすることに意義があり面白いことだと続け、13,000人が奏でる同じクラップで「Crazy Crazy」を歌い上げた。

ここでステージチェンジ。上部スクリーンに登場したのは “あの”ニセ明。今回のステージ出演のオファー映像で会場も終始爆笑。ステージの囲いが外され次に登場したのは、星野の一人ぐらしの部屋をイメージしたステージセット≪ROOM≫。レトロな扇風機に虫かご、花火など夏をイメージされるものが散りばめられた和室に、メガネ姿で現れた星野。ちょうど10年前、和室の6畳ひと間で曲を作っていた「ばらばら」を、ちゃぶ台を前に歌詞をパラッとめくり丁寧に歌う。続く「くせのうた」でも星野を照らすスポットライトは、月のように優しく、弦を引きずる音は生々しく暖かい。“エロ本あるから見るわ。あ、これ本当のエロ本だ(笑)”そう言いながら部屋に置いてあるエロ本をガン見する星野に、会場は笑ったり“見せてー!”などと言う。こんな光景を見ていると、一瞬ここがかつてTHE BEATLESも立ったステージだということを忘れそうになる(笑)。しかし「くだらないの中に」の、どこか力強ささえ感じる星野の歌声を聴くと、あっという間に楽曲の世界へ惹き込まれる。

13_TPS1022.jpgそしてこのパートでは、各日トークゲストがサプライズで登場。初日はドラマで共演した神木隆之介、そして2日目のこの日はPerfumeのかしゆかが登場。“ちょっとだけ待って”と、かしゆかに隠れてエロ本を投げ捨てる星野!しかしこのまったりムードの中で歌う「老夫婦」にはドラマがある。顔を赤らめたり、照れ隠しのためにハーブティーを飲んだり、汗をかいて大笑いしたりしながら、かしゆかの退場後は“よし、元気出たから。”と、リズミカルな「Night Troop」、情緒的な「レコードノイズ」で≪ROOM」パートは終了。

1年前の武道館公演は復活後すぐということもあり、気持ち的にもバタバタしていて味わう感じではなかったと語る星野。しかし今回は武道館で遊ぶように楽しむ姿がひしひしと伝わる。

≪RHYTHM≫パートでは、星野はラジカセを持ちスーツ姿で登場すると、ラジカセから流れる「マッドメン」のリズムが≪ROOM≫とはイメージも一転させた。“今日の踊りのテーマは、おじさん、おばさんがデートで銀座のオールディーズパブみたいなところに行ってチークタイムの音楽が鳴っている時にその2人が踊ってる感じ。” と、「海を掬う」 で何やら妙に具体的な設定を持ち出すと、13,000人のオーディエンスがゆらゆらと踊り、星野も“いいね!”と笑う。

13_TPS1678.jpgここでドラムが登場。ここからは星野が叩くドラムをループエフェクターでリズムとして使用。“みんなの踊っているところが見たい。”そう言うと、「桜の森」 でループさせたドラムのリズムと、星野がリアルタイムで弾くエレキのメロディは会場のテンションを上げ、本編最後 「夢の外へ」では金テープが発射。大歓声で本編は終了。

アンコール、ついにニセ明が登場!「君は薔薇より美しい」の熱唱で会場のボルテージを上げるだけ上げると、ステージにてまさかの生着替え!“今、13,000人の前でほぼ裸なんだよ。”と笑うと、星野は覆った幕の下から足下だけをチラリ。大爆笑の着替えから『星野源』に戻ると、【星野源のひとりエッジ in 武道館】最後の曲は 「SUN」。“とにかく明るい曲を作りたかった。”と言う星野の言葉通り、明るく多幸感溢れるサウンドは、キラキラと舞う紙吹雪そのものだった。

「SUN」を歌う前、“こういう場所に立てるのは本当に幸せなことだなと改めて思います。そしてまた立てるように頑張っていきたいと思います。皆さんこれからもよろしくお願いします。”そう感謝を述べながら“馬鹿みたいな面白い、くだらないことを大手を振ってやっていけたらなと思っております。”と語った。その言葉はミュージシャンだけでもない。俳優だけでもない。『星野源』という人間としてのポリシーを聞いた気がした。やはりこの人は、平成の植木等だ!

3時間近くに及んだステージは、歌で魅了させMCで笑わせ、最後の最後までオーディエンスを熱狂させ続け、2DAYSに及ぶ【星野源のひとりエッジ in 武道館】は幕を閉じた。


カメラマン:岸田哲平
テキスト:秋山昌未


 

フォトギャラリー

セットリスト


-BUDOKAN-
M1. バイト
M2. ギャグ
M3. 化物
M4. ワークソング
M5. 地獄でなぜ悪い
M6. 透明少女
M7. Snow Men ※新曲
M8. フィルム
M9. Crazy Crazy

-ROOM-
M10. ばらばら
M11. くせのうた
M12. 営業
M13. くだらないの中に
M14. 老夫婦
M15. Night Troop
M16. レコードノイズ

- RHYTHM-
M17. マッドメン
M18. 海を掬う
M19. いち に さん
M20. 桜の森
M21. 夢の外へ

EN1.君は薔薇より美しい
EN2.SUN
 

Interview

Live Report

Blog

ページの先頭へ

ホーム | プレスリリース | プライバシーポリシー | 広告に関しまして | お問い合わせ

  • facebook
  • ツイッター