ー 確かに、サンボマスターさんの歌もライブも、嘘臭くないというのは、私自身、ライターという立場以上に、ひとりのファンとして感じます。

メンバー：ありがとうございます！


ー でも、今のいいお話をひっくり返すようで恐縮なんですが、ライブでたまに「普段の自分たちはアコースティックデュオだ」とか言うのを聞くと、本気で笑ってしまうのですが、何であんな嘘をつくんですか!!（笑）

山口：いやいやいや、普段は本当にアコースティックデュオなんです、僕たちは。


ー だって、＜LIVE福島 風とロックSUPER野馬追＞の時だって、それを言ったら客席から「嘘つきー！」という声が（笑）

木内：あはは！

山口：本当に、今は3人で菊の花育てたり、パッチワークしたりして心穏やかに過ごしています。

＜一同爆笑＞


ー 『ロックンロール イズ ノットデッド』の初回DVDには スタジオ・ライブも収録されていますが、このスタジオライブは2012.3.11に行われたんですか？

山口：そうです。やはり、この日に音楽をやることに意味がある。純粋に音楽をやりたいという気持ちと、新曲を録るならやはりこの日がいいと思いました。

木内：音楽が出来ないんじゃないかと思ってから1年経って、俺たち音楽やれてるという意味深さもあります。だからあの日にやるべきだろうって。


ー 未発表新曲「ソウルバラッド」は、すごくカッコいいロックバラードですね。いつものサンボサウンドというより、3人のルーツとなっている王道な感じがしました。

山口：この初回盤におさめられている未発表の新曲3曲は全てそうかもしれません。それこそ、趣味全開です。


ー「朝を待っている二人」で木内さんがカホンを使っていますが、もう今ではすっかり定着しましたね。最初は、あの木の箱はなんだ？と思いましたもん（笑）

木内：そうですよね。今は2代目なんですが、やっとカホンという楽器のことが分かってきて、いい感じになってきたんじゃないかな。ライブのアコースティックセットも最近はよくやっているので、必要な楽器のひとつです。


ー 今後も新たな楽器に挑戦しようというお考えはあるのでしょうか？

木内：まだ分からないです。ただ、このアルバムを通じて、サンボマスターのドラマーというよりは、サンボマスターのひとりとしてやっている意識が強くなってきましたので、多分これから色々やると思います。前回のツアーからも、ちょこちょこ新たな音を増やしたりもしましたし、自分たちにしか出来ないプレイヤー、オリジナリティあるプレイヤーになれてきていると感じています。だからやりたいことがどんどん増えてきて、それによってむしろ自由度が高くなっているので、それぞれが ドラマー、ギタリスト、ベーシストという枠にこだわらず出来ているのは、いいことだと思います。

山口：近ちゃんも今回のアルバムで7〜8曲、キーボード弾いているんじゃなかったっけ？

近藤：鍵盤はかなり弾いたね。

山口：池ちゃんに弾いてもらっている以外は自分たちなので、僕も2曲くらい弾きました。


ー すごいですね。何種類くらい、楽器が出来るんですか？

山口：あれは、必要に迫られてやってるんだよね。

近藤：要は曲が良くなればいいと思っているから、その為なら3人とも何でもやるんです。


ー じゃあ、次のツアーでも何か新たな楽器が…。

山口：あー、出るかもしれませんね！…でないかもしれないけど（笑）。


ー「静かに光りつづけるもの」のインストゥルメンタルヴァージョンも収録されていますが、インストということがすごく新鮮でした。

山口：あ、そうですか？

木内：確かに昔何曲かカップリングでやった位ですからね。

山口：ただ僕らはスタジオでよくやってはいるんですよ。でも、そういえば確かに外に出していませんね。この曲をシングルでリリースしたら、すごく反響もあったのでそれは嬉しかったです。


ー「うまくいくんだよきっと」は、音のシンプルさというか、 口笛が入っていたり、楽器の入れ方が今迄と違う感じで面白かったです。

近藤：アコギを桜井さんが弾いてくれたんだよね。

山口：そうそう。あと口笛を入れるアイデアも桜井さんが出してくれたんです。それで、口笛のガイド用に桜井さんが口笛のメロディーラインをを弾いてくれたんだけど、それがよかったので、そのまま入れさせてもらいました。だからとってもシンプルだけど新しい感じになって良かったです。


ー 9月から＜ロックンロール イズ ノットデッド ツアー＞が始まりますね。この間ツアーが終わったばかりなのにという感じもしますが（笑）。

山口：そうなんですよ、この間終わったばかりなんですけどね（笑）。でもまたやります！来た人が、すげーっ!てなるようなライブをやりたいです。

木内：あと新曲をやるじゃないですか。アルバムの新曲って、ライブでやってみてすごく変わるんですよ。お客さんのノリとかその場の雰囲気で、自分たちが思ってもいない方向にいくことがあるんです。それがすごく楽しみです!


ー 最後にmFound読者のみなさんに一言お願いします。

山口：このアルバムは、聴いた方が完成させるアルバムだと思います。だから是非皆様に完成させて欲しいです！

近藤：聴いてくださったらそのお金の一部が福島などの被災地に行くような形で今回はアルバムを出せたので、本当に活動の結晶のような良いアルバムが出来ました。是非手元に置いてください。

木内：サンボマスターとしては、6枚目のアルバムなんですが、今迄の自分たちのキャリアがどうのこうのという部分をあまりふまえずに、本当にこの1年、2年でこの作品たちをどんなものにするかだけを考えた、想いのこもったアルバムなので、是非聴いてください!


取材・文・撮影／まさやん

 

番外編！
今回、サンボマスターの3人に「無人島に持っていきたい1枚」ということで選んでもらいました。


＜山口さん＞
アーティスト／ファラオ・サンダーズ
アルバム／Love In Us All（1973年）



無人島は打ち上げられて漂流しているイメージ。なかなか思うように助け舟もこない。
このアルバムの1曲目「Love is Everywhere」ですが、直訳すると「愛はどこにでもある」それで慰めたい。東京でも無人島でも、どこでも大丈夫だと思いたいです。


＜木内さん＞
アーティスト／ SUBLIME
アルバム／SUBLIME (1996)



メジャーで出した最初で最後の1枚で名曲揃い。Voのブラッドリー・ジェイムス・ノウェルがこのアルバムを出す2ヶ月前に亡くなっているんです。彼らはサーフカルチャーに火をつけたグループでもあり、サーフカルチャーといえばビーチを連想。
無人島だけど、そこに女の子が来るかもしれない（笑）。
このアルバムの「Santeria」という曲ががすごく良くて、90年代のアメリカの若者のアンセムのような曲なんだけど、これをビーチで鳴らして、トロピカルドリンクを飲みたいです。

もしくは、無人島は音響設備などないと思うので、それを整えたい。サンボマスターのPAがサウンドチェックに使う曲がドナルド・フェイゲンの『ナイトフライ』に収録されている「I.G.Y.」という曲。高音から低音まですごくバランスよく録れているので、それを持っていって次に来る人の為にサウンドチェックをして、バランスを整えてあげます（笑）。


＜近藤さん＞
アーティスト／ 上江洌.清作とThe BKサウンズ!!
アルバム／アイランド (2012)



実はまだ聴けていないのですが、無人島で一番大切なことは生きて帰ることだと思うんです。だから持っていくのなら、まだ聴けていない友人の新譜がいいです。絶対生きて帰ってこれを聴くんだ！と、気持ちを高めたいのでこのアルバムを持っていきます。



■ サンボマスター公式サイト

http://www.sambomaster.com/