ー この曲では、ベートーベンの「悲愴」をサンプリングされていますよね。実は、この曲はメロディが美しくて優しいから、こういうタイトルだと思いませんでした。
僕もこの仕事をやるまでは知りませんでした!この曲のメロディは聴いたことがあるけど、タイトルは知らないという人、案外多いんじゃないかな。僕も不思議でした。何でこんな美しいメロディなのに哀しいタイトルがついているのかなって。それで、これは僕の予想なんですが、きっと悲しみの先にある明るさを持った未来、トンネルの先が開けている感じを表現しているのではないかって思ったんですよ。真っ暗なトンネルなんだけど、すごく先の方で光っているというのを表したタイトルのように感じているんです。だから、障害がある現実からは絶対逃げない内容にしたかったんですが、自分の頑張り次第でどうにで素晴らしい未来をキャンバスに描ける、そういうものを感じさせるメロディにしたくて。
ー クラシックのサンプリングは「Continue」以来ですね。「5♥WOMEN」の時に「Hungry feat.miray」でディープ・パープルのサンプリングにも挑戦されましたが、元曲がロックとクラシックでは制作面でかなり変わりますか?
クラシックは僕、特別だと思っているんです。勿論切ったり貼ったりするチョップという作業はするんですが、クラシックってドラムがないじゃないですか。だからそれにリズムものを貼付ければ、それらしく聴こえてやり易いんですよ。ロックはどちらかというと、その曲の”イメージ” を引用するというところがあるんですが、クラシックは自分流にどれだけでもアレンジすることが出来るんです。ドラムも、8ビートや16ビート、ハウスっぽいものからドラムンベースのようなもの、レゲェの裏打ちみたいものって色々出来るし、それによって表情がかなり変わってくるんですよ。だからやり易いうえに曲の表情も作り易いんです。
ー「Continue」の時も、バシッとはまっていましたよね。
あの時はかなりそのままを生かした感じというか、ダイナミックな感じでやりました。でも今回の方は、より “今っぽさ”を意識しました。
ー 個人的に「Bring the Love」のような、バラードでないラブソングというのが大好きなんですよ。だからすごくお気に入りになりました。
ありがとうございます。でも今言っていただいた通り、バラードでないということがキーワードになっていて、ノレるラブソングを作ろうと思ったんです。カジュアルな表現にしたかった。重たい曲にしたくなくてね。『Honey Honey feat. AYUSE KOZUE』(10st Single)のような、ラブソングだけどバラードじゃなくてすごく盛り上がる楽曲というところをイメージしたので、そういう意味ではカジュアルな表現ができたと思います。ラップのライミング、つまり韻の踏み方も僕自身すごく好きです。正直、こういう楽曲って相手に対して逢いたいとか好きという気持ち以外に深い意味はないんですよ。元来「愛」ってそれ以上のものは必要ないのかもしれないけど、今迄書いてきたものは色々なテーマの中、深い意味がありましたからね。そういう意味ではただ「逢いたい」とか「好き」って言ってるこの曲は、僕の中でのラブソングとしてはすごく浅い曲ですが、カジュアルなとらえ方でノレて、なおかつ女子が男子に歌ってほしいような、シャレオツな感じ(笑)にしてみました。
ー SEAMOさんはバラードのラブソングがすごく定評がある中、こういうラブソングというのは結構新しいかもしれませんね。
ラブソングというのは、圧倒的にみんな好きだけど、バラードばかりでは流れが作れない。例えばバラードのラブソングの場合、イントロが流れればその瞬間はすごく盛り上がるけど、後はじっくり聴き込むじゃないですか。でもこの曲は、ライブで流れたら終始笑顔でノリっぱなしがいいと思って、そこを一番目指しました。
ー この曲の歌詞、女子はやられますね!
これは自分が若い頃の感覚を掘って書きましたね。昔はそれしかなかったっていうか(笑)。若い時って24時間のうち、20時間位好きな女のことしか考えていないんですよ、正直。でも大人になると面倒臭くなってしまったり、色々なものを気にし出すんですよね。
ー 昔はかなりアグレッシブでしたか?
そうですね。とりあえず逢いたいから行く!行ってダメだったらまたそこで考えるという感じでした。 良くも悪くも動物的なところがあったから(笑)。でも今は恋愛に対しておっくうになりましたね。女性をくどくという一連の流れが面倒くさい。これはいけないなって思うんですけどね(笑)。全部行程をすっとばして、「抱かせて!」って…。
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