ー 男前ね（笑）。でも「秘密をばらさないでください」と「すぐに風邪ひかないでください」などの歌詞は、具体的で特にリアルさを感じました。だからミュージシャンとしてではなく、ひとりの女性としての植田真梨恵像が見えてきそうな気もするんだけど。

なるほど。でもこの曲は、私が歌っているというより、女の子が歌っているところを想像しながら作ったんです。だからどんな女の子が歌っても、素敵になる歌が作りたいというのが前提で、恋の甘酸っぱい感じというか、何とも言えない「いいな」と思える感情が「秘密をばらさないでください」の持つ言葉のニュアンスなんです。何て言ったらいいんだろう。中学生の女の子の体操服みたいな…って、今すごく変態チックな発言しちゃった（笑）。

＜一同爆笑＞


ー じゃあ、植田真梨恵という女の子に彼氏がいると想定した時に、特に何を守って欲しい？

この歌詞の中で？


ー いや、別のことでもいいですよ。この曲は自分というより、女の子が歌っていることを想定しているから。

いや、この歌詞の中で言いますね。うーん、どれやろ？（しばし考え中）


ー 真梨恵ちゃんはヤキモチ妬き？

妬きますねぇ〜。


ー じゃあやっぱり、「ヤキモチやかせないでください」かな？

そうですねぇ…いや、これ恥ずかしいな！！！（赤面）


ー 今日は曝け出してもらおうかなと（笑）。

うーん、「ひとりで泣かさないでください」かな。


ー やっぱりそういう時は独りにされたくない？

そりゃ、気を遣うでしょ、彼氏なら！


ー あはははは！

でも私はあんまり泣いて電話したりはしないんですけどね（笑）。結構泣きながら電話してくる女友達は多いけど（笑）。


ー そうなんだ（笑）。個人的にも、彼に守ってほしいことの10個目の聴かせ方は、ニヤッとしました。

ほんとですか！？


ー ええ。一番大切な約束とも言える部分を、あえて歌詞には書いていないところなんて、やってくれるなと思いましたもん。

でもやっぱりそこは女子ならではの着眼点ですよね。取材中、男性のライターさんだと気がついていない方もいらっしゃいましたし。「9個しかないですよね？どういうギミック！？」って。


ー あぁ、なるほど（笑）。それとサウンド面では、すごく音の自由度が高いと感じました。

今回、アレンジをいっせーのーせで進めたんです。


ー だからアレンジのクレジットが、“いっせーのーせ”なんだね（笑）。

そうなんです（笑）。今迄は、ここでこういうキメが入るなど、しっかり形作ったものが沢山ある上で楽曲が成立しているという考えが、私の中ですごく大きかったんです。でも今回は、歌詞とメロディの強さだけで勝負したかったので、アレンジは歌自体を引き立たせる状態にしつつ、違和感がなく一番スッと入っていくものを再現したいと考えたんです。だからレコーディングの時に、バンドメンバーの方達にもその旨を伝えて、なるべくオケが薄くて聴かせたいところだけバーンとくる。そうやって極端に緩急がついているものを作りたかったんです。とにかくシンプルにシンプルに。あとはバンドの中でも、あえてがっちりした決めごとを作らずレコーディングしました。覚え易くて、聴いてくださる皆さんに届き易いものを作りたかった。まぁ高いキーなので、歌っている本人はかなり頑張って歌いましたが（笑）。


ー だからライヴ感もあるのかもしれない。

そうであれば嬉しいです！


ー 資料によると、植田さん自身やっとギターが好きになってきたと書かれていましたが。

今更かよ！って感じですよね（笑）。


ー あはは。

これまでは私の中で、ギターを弾いた方が良いから弾くという感じだったんです。元々は歌を歌いたい、歌手になりたいという想いから始めているので、自分がギターを持って歌っているイメージは全然なくて。ただ、伴奏がないと歌えないから必要に迫られてギターを練習したんですよね。だからギターに対してそういう気持ちの頃は、好きで弾いているというよりは頑張って弾かなきゃという気持ちの方が大きかった。


ー それが変わったきっかけは？

今回の作品は自分でディレクションしたんですが、正直分からないことがすごく多かったんです。だからギターのことについても、周りの人に色々訊きましたし、 それこそどういうギターを使うかも含め、様々なアンプで音を鳴らしてみたりエフェクターを試したり。そうやって色々試していくと、「あ、こんなにも違うんだ。」って、面白くなったんです。「私、こんなにこの音が嫌いで、こういう音は好きなんだ。」ということも、思いの他あって。それでもう少し勉強したいと思うようになったんです。


ー それを機に、今後も色々な音作りに挑戦したくなった？

ええ！音作りやアレンジ面をもっと研究していきたいです。そもそも頭の中に描かれる状態を再現するには、知識や技術が必要ですからね。