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Augusta Camp 2010@東京都立夢の島公園陸上競技場

Augusta Camp 2010@東京都立夢の島公園陸上競技場

普段はヨットハーバーに植物園、静かな時間が流れるこの東京都立夢の島公園陸上競技場で8月14日(土)・15日(日)にAugusta Camp 2010 、2DAYSが開催された。
 しかも今回は、初の「アコースティック」ヴァージョンというちょっと面白い試みなのだ。何故面白いかって?そりゃ、出演の10アーティスト、ロックもいればファンクもいる。そんな個性溢れるアーティストが多い中、どんなステージになるのか、かなり話題になっていた。

最終日の15日、夏の太陽がたっぷり注がれている会場にはオフィシャルグッズの他にオーガスタアーティスト・プロデュースによるフードメニューの販売「オーガスタ食堂」もあり、みなお目当てのアーティストフードに長蛇の列をなしている。
でもそれだけではない。オフィス・オーガスタの長男、山崎まさよしがデビュー15周年を迎え、9月29日には福耳名義で「HOME〜山崎まさよしトリビュート〜」と題しCDも発売される。そんな山崎まさよしに因んだギブソンのアコースティックギタープレゼント企画など、12年目のオーキャンは楽しみが満載だ。

コーネリアスやオノ・ヨーコのバンドでドラマーとして活躍するあらきゆうこのソロユニットmi-guの演奏が始まり、浮遊感のある音が会場を包み込む。
 

mi-gu.jpgのサムネール画像
チケットについている特製のレジャーシートを広げたり、かき氷を手にmi-guの音楽を楽しんだりと、野外フェスならでは光景が広がる。

その後、山崎まさよしとCOILの岡本定義によるユニット「さだまさよし」の苦言ビデオ…いや、爆笑ビデオが流れた。オーキャンを始める前の心得、今年は「関白宣言」ならぬ、「キャンパク宣言」らしい。”15周年を祝うトリビュートをオレより上手く歌ってもいい。心は広い…多分広いと思う…” “エコは猫とは違うのか?” などと、ユル〜い感じで歌ったり喋ったりのこのビデオ、是非来年も再来年も恒例になって欲しい。

 

kyoko.jpgアーティストがステージ袖からステージに登場するシーンがスクリーンに映し出される。
「今日はみんなに夏の夢を見させてあげます!」と、南国を思わせる鮮やかな衣装でトップバッターとして登場したのは杏子。「場所は夢の島!時はまさに夏!」と、お茶目さ&元気たっぷり。しかしきちんと熱中症を気にしながら「オーガスタキャンプにかんぱーい!」と、オーディエンス達と共に持っていたドリンクで乾杯。
バイオリンの音色にのせてソロデビュー曲の「DISTANCIA〜この胸の約束〜」からスタート。その後、7月にリリースしたソロアルバム「Just」から長澤知之作詞の「ねぇ、もっと」、しっとりナンバーの「色派」を熱唱し、先ほどオープニングにmi-guで演奏したばかりのあらきゆうこと、岡本定義(COIL)が登場。夏にはピッタリのナンバー、「恋するサンビスタ」で、会場は一気にサンバモード!


しかし、 Augusta Camp 2010はまだまだ始まったばかり。あまり最初から飛ばしすぎてもね。すこしクールダウンするようにゆっくりとサブステージに登場したのは長澤知之。そう、今回はメインステージの他に、そこから伸びたサブステージで山崎まさよしトリビュートの楽曲や、スペシャルコラボの演奏が楽しめるのだ。ブルースハープとギターで聴かせてくれたのは、山崎まさよしの「妖精といた夏」。長澤もこの曲が大好きだという。
 

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長澤が演奏を終え、ステージを後にして間もなくスキマスイッチがメインステージに登場した。また一気にボルテージをあげたオーディエンス達がざわめく!
7月リリースの新曲「アイスクリーム シンドローム」も、勿論アコースティック。2人のピアノとギターに加え、カラフルなツリー チャイムで涼しげにアレンジされている。
バンドメンバーが一度ステージから退場すると「奏(かなで)」のメロディが静かに流れる。蝉の声、揺れる緑、切ない大橋の歌声、常田の美しいピアノの旋律。会場の誰もがじっと聴き入っている。エッグマラカスを振りながらパーカッションに合わせリズムを刻む「ゴールデンタイムラバー」に続き、最後のリフレインで大合唱になった「虹のレシピ」、終始、大橋も常田も穏やかな笑顔だった。
 

意外な組み合わせがサブステージに登場した。スガ シカオと、今まさにステージを終えたスキマスイッチ 常田真太郎。2人がやったのは「振り向かない」。
実はもともと山崎のオリジナリティが強い為、スガはこの曲が嫌いだったらしい。しかし時間の経過と共に結局No.1フェイバリットになったという事で、少しJazzyなメロディのピアノと、アグレッシブなスガのヴォーカルで、山崎とはまた違う「振り向かない」となった。
 

okamoto.jpg

メインステージ3組目は7月にセカンドソロアルバム「ファンタジスタ」をリリースしたCOILの岡本定義
Bossaに最近かなりハマっているという岡本のエレキギターの音色は尖ったところがまるでない柔らかい時間を届けてくれた。
 

ハーピストの朝川朋之と共にサブステージに登場した元ちとせは、8月にリリースしたばかりのカヴァーアルバム『Orient』にも収録している山崎まさよし「やわらかい月」を披露し、その圧倒的な彼女の歌声の世界観に会場の誰もが息をのんだ。だが歌が終わり、元に柔らかな笑顔が生まれると波のような拍手が沸き起こった。
 

続いて登場したのは、涼しげな淡いブルーのジャケットをまとった さかいゆう

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さかいにとって2年目のAugusta Camp。あまり多くを語らず、時折客席をゆっくり見渡しながら歌うさかいの声は、繊細ではあるが、ソウルフルにも感じた。

デビュー曲の「ストーリー」、映画の主題歌にもなった「train」などを軽快なピアノと共に聴かせてくれた。

サブステージには、スキマスイッチの大橋卓弥が登場。
散々選曲に悩んだあげくに決めた曲といいながら「全部、君だった。」を熱唱。背後の大型スクリーンにはその曲に聴き入るオーディエンスの笑顔が揺れた。

「メインステージに戻ってもう1曲やりたいと思います!」と、さかいゆうを招き入れ、『福耳 THE BEST ACOUSTIC WORKS』に収録の 2人で作った「ピアノとギターと愛の詩(うた)」を披露。声に特徴のある2人のハーモニーは、意外にも(と言うとおかしいが)ピッタリと合っていた。

 

suga.jpg20分程の休憩の後、メインステージには赤いサイエシャツを着たスガ シカオが登場。
ファンク番長のスガが、どんなアコースティックを聴かせてくれるか楽しみだ。
…と、スタートからデビュー曲「ヒットチャートをかけぬけろ」で、会場は大盛り上がり!「「アコースティックしばりということで、夏向きじゃないオレとしては、皆さんに少しでも涼しい風をお届けしたいです。」と、ストリングスカルテットで代表曲「黄金の月」「夜空ノムコウ」を贅沢なまでに聴かせてくれた。空を見れば、青と橙の色が混ざり合う時間となっている。「午後のパレード」では、スクリーンに歌詞が表示され、コーラスで大合唱!これこそ野外ライブだ!とボルテージは上がりっ放し!見れば子どもまで踊っている。ついでにスガのギターエフェクターも暴走!
「ごめん、壊れちゃった!」そんなちょっとしたトラブルもあったが、それもお祭りだ!なんて思わせちゃうアツいライブだった。

サブステージには杏子あらきゆうこが登場。杏子さんったら「凄いよね、シカオ君、何か降りてきてたようだよね」と、すっかりスガがステージを退場した後も、あらきと共にスガの話で盛り上がる。そんな「大人女子」2人が選んだ山崎のナンバーは「ペンギン」。ブルージーではないクールな「ペンギン」は会場を駆け抜ける緩やかな風と同じにおいがした。

その後、メインステージに登場したのは長澤知之

nagasawa.jpg私は彼の鋭利な歌声に目が…いや、耳が離せなくなる。彼の声とアコースティックギターはやはり相性がいい。
「茜ヶ空」は、まさにこの時間を歌っているかのよう。ラストに歌った「回送」はこの日、ライブ会場限定で発売し、あっという間に完売してしまった曲。

次にサブステージに登場した岡本定義(COIL)は。山崎まさよしの「水のない水槽」が好きすぎて、まるで自分が書いたと思ってしまう位!と叫びながら、しっかり本当に自分の曲のように歌い上げた。

 

chitose.jpg赤いドレスでメインステージに登場した元ちとせは、あの独特の節回しで「慕情」を歌いあげる。
スガ シカオに占い師のようだと言われた事を少し気にしているのだろうか「今日の衣装、いかがですか?」とおどけて問いかける。「Perfect」「Ob-La-Di,Ob-La-Da」など、殆どの曲をカヴァーアルバムからの選曲とし、弾けるその歌声にオーディエンス達もリズミカルになる。最後は武部聡志のピアノでオリジナル曲「語り継ぐこと」を歌いステージを後にした。

サブステージで山崎まさよし初期の名曲「ツバメ」を歌ったのは秦 基博
「とある人に手伝ってもらいます。」といい、「誰?」と思っていると小さな机には何と山崎まさよしの写真が。しかもきちんと切り抜いてあるではないか。これには皆、大爆笑。しかもあの淡々とした口調で「マー君です。」なんて言っちゃうし。
でもその”マー君” からはしっかりメロディが流れ、それに同期しながら秦の柔らかな「ツバメ」が暮れ始めた空に響く。その後、元 ちとせを迎え入れCMソングとして話題のカバー曲「なごり雪」を披露。丁度その頃、夕暮れに数分間しか見えないレッドカーテンが二人の歌声を包み込んだ。

hata.jpgステージは一度暗転。その後再び、秦が登場し「プール」の緩やかなメロディが薄暗くなった闇の始まりにポトリとおちる。会場を囲む緑は、その姿をシルエットに変え始め、生まれたての月がスクリーンに映し出された。迷いの無い秦の声は、風にのって会場の最後尾まで届く。9月8日に発売するシングル「メトロ・フィルム」や10月に発売する3rdアルバムから新曲「ドキュメンタリー」では、みな一音たりとも聴き逃さないように集中しているのがわかった。そんなオーディエンス達の頭上を秦の声と響くギターの音色は自由に飛回る。

続いて、サブステージにはさかいゆうが登場。もしかして…とは思ったが、やはり彼がピアノの弾き語りで歌ったのは山崎まさよしの代表曲「One more time, One more chance」。この曲にはさかいの歌声が絶対合うだろうと思ったが、想像を遥かに上回るその歌声は、山崎の作り上げたメロディから剥がれる事なく、オーディエンス達の胸を強く打った。
 

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最後はやっぱりこの人、山崎まさよし。いつものように頭に白いタオルを巻き登場。
デビューアルバムのタイトルチューン「アレルギーの特効薬」では、これでもかと山崎のギターテクニックが踊る。最後盛り上がろうぜ!と言わんばかりのコール&レスポンスで1曲目からぐいぐい引っ張る!…かと思えば最新アルバム『IN MY HOUSE』から「追憶」を2曲目に。バラードで急にしっとりとした世界へオーディエンス達を誘う。
ボディドリービートの「シングルマン」はこれまでのシングル曲のタイトルを歌詞に織り込んでいる。そんなアソビゴコロが山崎の魅力でもあるだろう。
これもアソビゴコロだろうか。ニヤッと笑った山崎は「ゲスト、エレキギター!」と、ラウドなサウンドを走らせ、その後7月に発売したシングル「HOBO Walking」と「晴男」のレゲエ調の2曲をメドレー。メンバーが退場すると、山崎はサブステージへ移動。ピアノの前に座り、「8月のクリスマス」の弾き語りをした。大きな拍手に包まれながら山崎は「こんなにトリビュートされて、私はもう死んでしまったんじゃないかと…」と、冗談めかしに言ったものの、きっとココロのどこかでは死という事ではなく、生という事と自分がやれる音楽の事を結びつけて考えているのだろう。
「これから何回歌うことができるだろうか、とか年何回歌ってるんだろう?と考えたりしますが、今日、僕の曲を僕じゃない人に歌ってもらって、僕の肉体がな くなっても曲は歌い継がれるということが、素晴らしいことだと感じました。今日は、つくづく、いい歌が書けてよかったなと思いました。みんな、自由に歌ってくれ!」このメッセージには沢山の真実が詰まっているような気がした。

会場の人へお礼を言うと「しばし、待たれよ!」とメインステージへ戻り、Tシャツに着替え、再びメインステージに登場。岡本定義、元ちとせ、あらきゆうこをステージに迎え、Augusta Camp ならではのスペシャルなアンコールセッションの時間となった。


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Augusta Camp 2010オフィシャルイメージソング「やわらかなサイクル」、この曲の最後で、出演者が次々と登場…ん? 男性陣、みんな頭に白タオルを巻く「ヤマさんルック」! 会場は大盛り上がり!! 女性陣はいつもの通り浴衣で可愛く夏らしく!
スキマスイッチの大橋卓弥のMCを合図に、セロリ〜中華料理〜僕はここにいる〜根無し草ラプソディーと山崎まさよしメドレーがスタート!
夏のこのお祭りの終わりが近い事をみな振り切るように、メドレーに合わせ踊る、歌う、弾ける!照明に照らされたオーディエンスの顔はすっかり日焼けして赤く火照っている。
それでもまだ弾けたい!

サブステージで演奏する度、出演者は山崎におめでとうをずっと言ってきた。でも最後はやっぱり杏子の呼びかけで客席からの「ヤマ、オーキャンをはじめてくれてありがとう!夏はやっぱりこれだね!」という少し長いコールに、山崎は感慨無量な笑顔で応えた。
ステージには花火が美しく山崎の15周年と2010年のAugusta Campのラストを彩った。そして99年の開催から歌い続けられているAugusta Campの定番曲「星のかけらを探しに行こう Again」でフィナーレを迎えた。

 

取材・文/まさやん



セットリスト
◆【Creating Ambient】mi-gu
M1タイトル未定新曲
M2 floating
M3 Inspiration*未発表曲
M4 Choose the Light

◆杏子
M1 DISTANCIA〜この胸の約束〜
M2 ねぇ、もっと
M3 色派
M4 恋するサンビスタ with岡本定義、あらきゆうこ

◆【山崎まさよしトリビュート】長澤知之
M1 妖精といた夏

◆スキマスイッチ
M1 アイスクリーム シンドローム
M2 フィクション
M3 奏(かなで)
M4 ゴールデンタイムラバー
M5 虹のレシピ

◆【山崎まさよしトリビュート】スガ シカオ+常田真太郎(スキマスイッチ)
M1 振り向かない

◆岡本定義(COIL)
M1 ウサギちゃん
M2 回転木馬にまたがって
M3 6月のメモワール
M4 He Said He Said 〜論語学而第一〜
M5 渚にて

◆【山崎まさよしトリビュート】元ちとせ
M1 やわらかい月

◆さかいゆう
M1 Room
M2 週末モーニン
M3 ストーリー
M4 train

◆【山崎まさよしトリビュート】大橋卓弥(スキマスイッチ)
M1 全部、君だった。

◆大橋卓弥+さかいゆう
M1 ピアノとギターと愛の詩(うた)

◆スガ シカオ
M1 ヒットチャートをかけぬけろ
M2 黄金の月
M3 夜空ノムコウ
M4 19才
M5 午後のパレード

◆【山崎まさよしトリビュート】杏子+あらきゆうこ
M1 ペンギン

◆長澤知之
M1 僕らの輝き
M2 茜ヶ空
M3 明日のラストナイト
M4 回送

◆【山崎まさよしトリビュート】岡本定義(COIL)
M1 水のない水槽

◆元ちとせ
M1 慕情〜Love is a many-splendored thing〜
M2 Perfect
M3 Ob-La-Di,Ob-La-Da
M4 語り継ぐこと

◆【山崎まさよしトリビュート】秦 基博
M1 ツバメ

◆秦 基博+元ちとせ
M1 なごり雪

◆秦 基博
M1 プール
M2 虹が消えた日
M3 メトロ・フィルム *9月8日発売シングル
M4 ドキュメンタリー *10月発売サードアルバム収録曲
M5 アイ

◆【山崎まさよしトリビュート】さかいゆう
M1 One more time, One more chance

◆山崎まさよし
M1 アレルギーの特効薬
M2 追憶
M3 シングルマン
M4 アドレナリン
M5 HOBO Walking〜晴男
M6 8月のクリスマス

◆アンコール
M1 やわらかなサイクル
M2 山崎まさよしメドレー
セロリ〜中華料理〜僕はここにいる〜根無し草ラプソディー
M3 星のかけらを探しに行こう Again

 


 

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