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奄美大島豪雨災害 復興支援チャリティライブ 「ディ!ディ!」@新木場STUDIO COAST

奄美大島豪雨災害 復興支援チャリティライブ 「ディ!ディ!」@新木場STUDIO COAST

「10月20日、雨が降り出し、1時間後位に異常な降り方になってきました。」
まだ記憶も新しい奄美大島豪雨災害。このイベントの発案者でもある元ちとせは静かな口調で当時の様子を語り始めた。自らも被害者として体験した自然の猛威とその時の気持ちや復興がすすむ奄美への今の思い。死者も出る程の大災害から2ヶ月弱経過した12月15日、音楽の力、歌の力で被害にあった人たちに元気を取り戻してもらいたいと、 生まれ故郷奄美大島のために、元ちとせが立ち上がった。

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「ディ!ディ!」というのは、奄美の言葉で「さぁ、立ち上がろう」という意味。
「オーガスタアーティストのみなさんが快く引き受けてくださり、何度ありがとうと言っても足りない位に感謝しています。」
これから出演するアーティスト達への感謝を述べ「楽しい時間を過ごせたらいいな。リラックスして楽しんでください。」と、笑顔でおじぎをするとそこから一転して和やかなオープニングへ。“イベント当日、一番念入りにリハーサルした”という小芝居めいた演出も「明るくイベントを楽しんでもらいたい」という元のアイディアだ。オーガスタファミリーに囲まれ明るいオープニングも大成功をおさめた後、この日のホスト役である元はステージの端に置いてある小さなテーブルセットに腰掛け、出演アーティストのステージを見守った。

このイベントを通して毎回面白かったのは、歌が終わる度に織りなされる元と出演者の爆笑トークと、それぞれの歌の世界に引き込む瞬間の「際」の妙にある個性。

トップバッターとなった秦のギターが “アイ” のイントロを奏でると、まるで舞台装置が転換するように、さっきの爆笑ムードから音楽のムードへと、会場の空気が一気に変わり、ゆっくりと深い秦の声にトロけるし、長澤知之は、 激しくギターを掻き鳴らしエキセントリックな高い声で歌い上げるが、それでも彼の世界はいつもどこか温かく優しく愛おしかったり、杏子と一緒に歌う “ねぇ、もっと” では杏子の色気と長澤のストイックさが楽曲同様鳥肌が立つ程、怪しげで色気がある。

さかいゆうが美しいハイトーンとピアノで “みち” を歌えば、まるでMVのように会場の上空に彼が歌う風景が描きだされる、そんな錯覚さえ起こしてしまう。
今回スキマスイッチが歌ったのは “ボクノート” 。常田は、「雨の歌なので、どうかと思ったんですが、意味のあることなので。」と言う。きっと彼らが一番伝えたかったのは、「君に降る悲しみなんか晴らせばいい  ありのままの僕を君に届けたいんだ」という歌詞ではないだろうか。オーソドックスなピアノ音だが、常田が奏でれば色が生まれる。大橋の声は会場の端まで丁寧に届き輝く。
スガ シカオが歌う ”愛について”を、きっと世間では名曲と呼ぶのだろうが、そういうにはあまりにも美しすぎるこの曲。会場はうっとりした時にでるため息で溢れていた。

そして奄美チームということで、オフィス・オーガスタ以外からSPECIAL GUESTとして中 孝介とカサリンチュが登場。

元ちとせの声もそうだが、中 孝介の歌声も、いわゆるのJ-POPとは異なり、奄美に育まれたシマ唄の名残が随所随所に散りばめられ、大地をも感じる程に雄大な何かを感じる。
今回、奄美大島の豪雨被害のニュースを聞いた時に私は以前取材をさせてもらったカサリンチュのことを思いだした。あの二人と、タツヒロのサトウキビ畑は大丈夫だろうか?と。タツヒロのブログを読めば、そこには厳しい現実と、そこから日々立ち上がろうとする姿、自分の歌を信じる姿が綴られていた。一段と磨きがかかったコウスケのヒューマンビートボックスと、タツヒロの屈託ない歌声、2人の笑顔に、少し安心する。

ある意味、「プチ・オーガスタキャンプ」ともいえるこのイベントには、やはりさだまさよし(岡本定義 -from COIL +山崎まさよし)のセッションは欠かせないだろう。
今回はいつもの “関白宣言(替え歌)” で、彼ららしく募金を促し、山崎の “花火” では40代の男2人の渋みがかったギターと歌声で魅了してくれた。

山崎まさよし、岡本定義、あらきゆうこと共に歌う元の “ひかる・かいがら” は、ウィンドチャイムのキラキラした音に揺られ、元と、中のシマ唄は三線の音色でネイティブな空気を運んでくれ、行ったことのない奄美を想像した。

こうして歌の世界の真ん中で酔いしれる感じもいいのだが、やはりトークも捨てがたい。
歌い終わった出演者たちとトークで絡むホスト役の元は「みなさん、ハタ坊の何が好き?」と言ってみたり、登場したさかいゆうに「おもちゃがいる!」などと言ってみたり結構自由奔放。オーガスタファミリーのあたたかさを感じる。
歌以外でこの日1番ときめいたのは、退場する長澤知之が、杏子を抱き上げくるりと回した事だ。杏子自身も会場も大興奮となった。そ、そんなお姫様的な!

「リズムとか取らないでよ!波動が伝わってくるから!」と、ステージ端で観ている元とスキマスイッチの視線がやりづらそうなスガ シカオ。でもTシャツの上にシャツを羽織ったラフなスタイルの大橋には「何、その格好で出て来たの!? シャツのボタン、とめたら?」と注意してみたり。
そして面白さではピカイチだったのが、後半戦も後半の頃、天使…いや、天の声よりザ・ビートルズの “Hey Jude” を歌うようにという指令に慌てて打ち合わせをする出演者達の姿。
「オレ、最初の2行なら歌える。」と、スガ。「僕は3、4行目歌いますね!」と大橋。
奄美チームはそんな時でも、何となくおおらかにかまえていた。杏子はあらきゆうこと楽しげだ。
この日はUstreamでこの模様が配信されていた。プロミュージシャン達の、このじたばた加減はそうそう観れないぞ!歌は勿論だけど、サプライズ企画でパンパンになっているアーティストの姿に、奄美の人達もたっぷり楽しんで笑顔になっていただろうか。
本編最後はイベントタイトルにもなっている “ディ” を全員で合唱。親指を突き出し、会場中「ディ!ディ!」と盛り上がった。

アンコールで「みなさん、本当に本当にありがとうございました!」と、深々頭を下げる元ちとせ。キラキラと光るミラーボールの光の粒が舞う中、さだまさよしプロデュースの “やわらかなサイクル” でイベントは幕を閉じた。

この奄美大島豪雨災害チャリティライブ「ディ!ディ!」は、会場に集まった2,000人程のオーディエンスを魅了し、その向こうにいる奄美大島で今も復興に頑張っている人達の「ディ」の原動力になったであろう。
少し日が経った今でもそう思える、そんなライブであった。


カメラマン/矢部志保
取材・文/まさやん

■セットリスト
〜元 ちとせからのご挨拶〜
M1 「アイ」 / 秦 基博  
M2「カスミソウ」 / 長澤知之  
M3「ねぇ、もっと」 / 杏子 with 長澤知之
M4「みち」 / さかいゆう
M5「ボクノート」 / スキマスイッチ
M6「愛について」 / スガ シカオ
M7 〜奄美の島唄〜 / 中孝介 with 元ちとせ
M8「花」 / 中孝介
M9「あなたの笑顔」 / カサリンチュ
M10セッション曲 / さだまさよし(岡本定義 from COIL + 山崎まさよし)
M11「BIRDS」 / 岡本定義 with 山崎まさよし
M12「花火」 / 山崎まさよし with 岡本定義
M13「ひかる・かいがら」 / 元ちとせ with 山崎まさよし、岡本定義、あらきゆうこ
M14セッション曲  / 出演者全員
M15 「ディ」 / 出演者全員
〜Encore〜
M16 「やわらかなサイクル」 / 出演者全員


【公式ホームページ】
■奄美大島豪雨災害チャリティライブ特設ページ http://www.office-augusta.com/d_d/
■OFFICE AUGUSTA 元ちとせページ http://www.office-augusta.com/hajime/


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