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森山直太朗コンサートツアー2010「真っ白な鳩を九十九羽飼っていて」@ NHKホール 2010.12.17

森山直太朗コンサートツアー2010「真っ白な鳩を九十九羽飼っていて」@ NHKホール 2010.12.17

パーカッションの、低いドン!ドン!という音に誘われるように、静かに天から明かりが差し込む。ここは森の中だろうか?ふとそういう錯覚に陥る。
そんな錯覚の中、森山直太朗の「知らないことが多すぎる」が柔らかく柔らかくNHKホール全体を包み込む。
 

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「ラクダのラッパ」では幾重もの光が帯をなし、風景を揺らす。オリエンタルなシタールの音色。森山は時折、歌の前に朗読をする。ふと思いついたことだろうか。たまにつっかえてみては笑ったり。今回のこのツアー「真っ白な鳩を九十九羽飼っていて」は始終そんな感じで幻想と森山の自然な姿で構成されていた。
 

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「 “真っ白な鳩を九十九羽飼っていて” という長いタイトルには、深い意味はありませんので、くれぐれも僕に意味を聞かないでください。」曲やタイトルに対し、込めた思いを聞かれることを苦手とする森山らしいトークに始まり、「追加公演だからといって本公演と違うことはやらないですから。」とも言ってしまう。でもそういう森山へ客席から「特別なことやってー!」の声。
ひとつ気がついたのは、森山のファンというのは会話のように森山へ声を掛けるということ。そんな会話的要素も森山のキャラクターならではなのだろ。
「検討しておきます。」なんて言いながらも耳をふさぐジェスチャーをしている。悪びれた風もなくお客さんに対して取る冷たい態度も、生まれもっての資質がユーモアへと変える。メンバー紹介を終え、「花鳥風月」と、曲名を言うと鳥のさえずりが聴こえた。
独特な森山のファルセット、マンドリンのたわわな響き、チリチリ…ドンドン…そこに感じるのは風。
 

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世間に一石を投じた「生きていることが辛いなら」を森山はギターを置き、力一杯歌う。単純な言い方だがこの曲が好きだ。何と強く優しい歌なのだろう、そう思わずには居られない。この曲についてのあれやこれやの評価に対し、「曲の解釈は色々あるでしょうが、誤解も正解。みんなの中で思いが張り巡らされてて、それは面白い現象だと思う。」と語った。あぁ、この人はやはり何と自然体なんだろう。「誤解も正解」って、かなり深くないだろうか?

コンサートも中盤戦になった頃、メンバーは一端退場し、森山ひとりとなった。
「今年は色々な出会いがありました。仕事でもプライベートでも。新しいことをチャレンジしていく度に “こういう引き出しがあるんだ!”ということが分かりました。」
今年を振り返りながら、アルバムにアレンジャーとして参加した石川鷹彦の名前を挙げ、会場に石川氏が来ていることを確認するやいなや、感謝から笑いへネタを変え、森山は子どものような無邪気な笑顔をみせた。
 

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そして12月15日にリリースしたばかりの最新アルバム「レア・トラックスVol.1」の中でもタイトルが話題となった「うんこ」を披露。アレンジは石川氏が踏ん張ってしぼりだしてくれたらしい…。もしかしてこの日1番?と思ってしまうほどの爆笑と拍手で大盛り上がり。

本編ラストの「言葉にすれば」の前に「最後の曲とかいいながら、みんなからアンコールがくればいいな、2曲位は用意していますので。」と、このコンサート中、常にそうであったように森山は飾った言葉とかいわゆる「裏表」のある言葉を言わない。…というか「裏」をあえて曝け出す。ある意味、「レア・トラックスVol.1」が森山そのものなのではないだろうか。と感じさせる。

「また48秒後に会いましょう!」

そんな本編の締めって聞いたことないよ!…とついペンを走らせつつもプッと吹き出してしまいながら、約束通り48秒後…かどうかは分からぬが、森山は胸のところに「MH99K」と綴られた青いTシャツを着て再び登場。この綴りの意味、わかるよね!

 

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先に歌った「うんこ」をリリースした時に「森山直太朗はどこへ行こうとしているんだ。大丈夫か?」というような批評を受けたらしい。しかし森山は「そういう人達に言ってやりたい。”ハッピーだよ!”って。」と、力強く言うと会場からは大きな拍手が。

「フォークは僕に優しく語りかけてくる友達」では歌詞を詰まらせ涙ぐむシーンも。
「走馬灯のように、生きていることさえ忘れちゃう位、色々な人を思いだすんです。」と、みんなが素敵なステージを用意してくれたことに加え、「反面自分のふがいなさもあるんですが、みんなに助けられて歌うことが出来ました。」と、更に詰まる言葉に拍手。
「さくら」でこの「真っ白な鳩を九十九羽飼っていて」は幕を閉じた。


…と、思った。が、拍手が全く鳴り止まない!会場アナウンスも流れている。しかし鳴り止まない。どれくらいした頃だろうか。森山は本当にその拍手のみに押されるように再再登場した。
「歌ってしまった方が簡単かもしれませんが…」といいながら、この日、自分ではずっと感じていたらしい “不完全さ” を「臆病者だからそれでもこのコンサートにのぞんでしまった。」と痛烈に反省しつつ、「次、倍にして返す努力をします!」といい、最後の最後は森山の挨拶とそれを見守り森山を愛するファン達の熱い拍手で締めくくられた。

それは真からあたたかい光景で、ある意味、曲の美しさや歌詞の哲学にも匹敵するものではないだろうかと感じるものであった。
 

 

取材・文/まさやん

 

<セットリスト>
M1.知らないことが多すぎる
M2.ラクダのラッパ
M3.雨だけど雨だから
M4.花鳥風月
M5.生きてることが辛いなら
M6.夏の終わり
M7.例えば友よ
M8.愛し君へ
M9.うんこ
M10.臆病者
M11.人のことなんて
M12.トニー・マイ・フレンド
M13.なんにもないへや
M14.四月になれば
M15.グングルパーニャ
M16.夜の公園で渡すつもりのない手紙を書いている
M17.トルコの人形
M18.言葉にすれば

〜アンコール〜
M19.フォークは僕に優しく語りかけてくる友達
M20.さくら

 

◉森山直太朗 公式サイト http://www.naotaro.com/index.asp
 

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