山崎まさよし "ONE KNIGHT STAND TOUR 2010-2011" @NHKホール 2011.2.4
照明の青がその世界の始まりだった。ブルースハープとアコースティック・ギターの音色が、そこにいる全ての人を深いところまで誘う。
昨年、デビュー15週年を迎えた山崎まさよしのツアー “ONE KNIGHT STAND TOUR 2010-2011”も丁度折り返し地点。
ダイアガラスの古い木製の扉は、まるでシカゴの老舗ブルースバーといったところだろうか。Buddy Guy's Legendsや Blues Chicagoとも少し違う(勿論、両方とも行ったことはないが)。もう少しこじんまりとしたイメージ。
このツアーには、いつものバンドメンバーが居ない。山崎一人だけのステージなのだ。
だから彼が操る楽器や機材は殆ど手の届くような絶妙な範囲に、ちんまりと置いてある。
だが、そこで繰り広げられる音の世界は決して、ちんまりとはしていない。
ルーツにあるブルースのメロディや、アコギやピアノの音色、絡み合うような独特の声、その全てが、鞣されていい具合に艶がでているビンテージの革のよう。
アップテンポにギターを掻き鳴らせば、山崎の後ろのダイアガラスは まるで慌ただしく行き交う車のヘッドライトのように沢山の光を交差させ、客席のリズムも誘う。 山崎の指は巧みに、そして繊細に弦を操り、曲間のチューニングでさえクリエイティブを感じる。
![]()
「まさやん!」
観客から山崎を呼ぶ声が飛ぶ。全くの余談だが、私も「まさやん」という名前でライターをしているので、軽く気恥ずかしい気持ちになった。…これは余談というより蛇足。
「 ONE KNIGHT STAND TOUR 2010-2011にようこそお越しいただきました!」
本当の(?)まさやんは、合掌しながら挨拶をした。どうもブルース・リーの映画の真似をしたらしい。
そしてこのツアーの為に購入したというサンプラーを改めて披露。
以前、別のミュージシャンが使用しているのを見たことがあるが、リアルタイムな音をループさせるもので、山崎もギターやタンバリンなどの音を重ねて「この日だけ」のONLYな音、すべて山崎まさよしから出た音でライヴを構成した。
考えてみれば、ライヴというのは当然、基本は生のものであるがゆえに、唯一無二の贅沢で特別のものなのだ。
…が、その特別なものを山崎は笑いにすら変えてしまう。
そのサンプラー、逆回転も出来るらしく、かなりそれで笑わせてくれた。ツアーがまだ続くのでこのネタはあえてこれだけにとどめておく。しかし、本気で吹き出してしまう程、山崎のMCには笑わせてもらった。
実力あるミュージシャンは、散々笑わせてくれたMCから、音の世界へ戻った途端、それまでの笑いをさぁーっと、波が引くようにどこかへ連れ去ってくれる。
当然山崎も同様で、例えば「君と見ていた空」や「花火」なんかを歌われると、一気に目の前にプラットホームの人ごみや、花火の持つ高揚感、その後に来る少しの寂しさ、火薬のニオイまでがが鼻をつく。
![]()
ライヴ後半は、かなりボルテージもあがり、力強い山崎の歌声とギターの音色、会場の手拍子から発する破裂音が同調、疾走する。
前厄を気にしたり、会場のファンから「頑張ろう!」と言われてファンとの長いつながりを感じたり、サプライズゲストのスガ シカオにこの日一番の拍手を持って行かれたりと、かなり面白みがあるライヴだったが、やはりある意味、音に触れている時に見せる山崎のリラックスした笑顔と音色、声は居心地のよい友人の家に、いつまでも長居したい気分に似ていて、会場を後にし、電車に乗り、次の日の朝を迎えても余韻が心地よくループしたライヴであった。
4月2日(土) いわき芸術文化交流館アリオス大ホールにてツアーはファイナルを迎える。
取材・文/まさやん
◉山崎まさよしオフィシャルサイト
http://www.office-augusta.com/yama/
http://www.universal-music.co.jp/yamazaki_masayoshi/









