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HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2010-2011 -Documentary- at 神奈川県民ホール

HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2010-2011 -Documentary- at 神奈川県民ホール

「カナケーン!!!」
登場のっけで叫ぶと、手を上げ笑顔で登場した秦 基博。私はこの全国24都市26公演という長い公演の各会場に参戦してきたそれぞれの秦ファン達のツイート(twitterのつぶやき)を見てきた。そしてこの日ツイートされていたのは「とうとうファイナル」という 一種の緊張感のような、高揚感のような言葉たち。

hata01_20110301.jpg2010年10月にリリースした3rdアルバム”Documentary” を携え、11月11日三重県文化会館を皮切りにスタートしたこのツアーのファイナルがここ、神奈川県民ホール、略して「カナケン」でスタートした。
オープニングは『今日もきっと』。26公演を経て出来上がった秦の声が振動しながら心地よく響く。「何も残すことはありません。最後まで楽しんで下さい!!」安堵と寂しさと完全燃焼してやるという気合いが混ざり合う、何とも表現しがたい感情。イントロのない『29番線』で大きく息を吸い第一声に繋げる瞬間、CDとは違う醍醐味を感じる。

実は秦の作品をすべて持っている私は、プライベートでもかなり彼のライブに行っている。だから「青い蝶」や、「dot」を聴くと、ライブ終わりでじんじんした足の感触を味わいながら、興奮して友人と秦のことを喋りあったことを思いだした。

自分のリアリティを出したアルバムだと秦自身が語る「Documentary」では、今迄の作品たちとも少し違う生々しさが随所に織り込まれていると思う。
『Selva』もそのひとつだ。どこか亜熱帯を思わせるようなパーカッションと気だるい秦の声は、高圧的ではないのに身動きするのが恐くなるほどの圧倒感がある。
しかし、曲が終わり拍手が鳴るとあの愛らしい笑顔がこぼれる。
「いよいよカナケンでファイナルを迎えるということで、『ドアタマで、 “ようこそ”カナケンへ」と言っている自分がいまして…(笑)。』確かに地元でファイナルを迎えるのが本当に嬉しいのだろう。ライブが始まってすぐ "我が街へ" という思いの詰まった「ようこそ」という言い方は秦を高揚させていたし、会場も興奮した。そんなトークに会場もふわりと柔らかい空気に変わる。”Documentary” のレコーディングも横浜だったことから、トークはその制作中の話におよんだ。確かに自販機で自分が欲しいものと違うものが出て来たらがっくりしますよ。でも秦さん、別に「お前はコーラを飲むな、ダイエットしろ」という理由でダイエットコーラが出て来たわけではないと思いますよ、多分…(笑)。

hata02_20110301.jpgメンバーが退場した後のステージで青い光が秦を包み込むように照らす。「風景」を歌う時、秦は何を想っただろうか。慣れた土地のニオイや、ずっと通っていた道で感じた喜怒哀楽、五感を震わすそんな様々なものを思いだしながらメロディをギターに託し歌っているのだろうか。暖かく優しく生々しい「猿みたいにキスをする」では、かせきさいだぁ≡のラップを今回はキーボードの伊東ミキオが担当。
秦はこのツアーを通してバンドの醍醐味を感じたという。この5人じゃないと出せない音。そうやって培って生まれた音や世界観がキラキラとした粉のように会場へ降り注ぐ。

ライブも後半戦になると、柔らかい秦の世界がどんどん疾走感を増してくる。
ベースのFIREは演奏しながら転がる転がる!それを見て秦もついつい笑いそうになったり、みんなでタオルを回したり。その度に会場の拍手や笑顔が弾む。

「こんな歌をいつか歌えたらいいなとイメージした曲が、やっと出来たので聴いてほしいです。」頬が上気する程の盛り上がりのあと、秦は丁寧にそう言うと、少し間を空けて「アイ」のイントロが流れる。ブレのない想いと、一音でも違っていれば世界観は変わってしまうであろうこの曲が会場の人へじんわりと沁み入っていく。 この曲がロングランでヒットし続けるのはやはり納得できる。 ラストで少し感極まっているかのようにみえたシーンもあったが、『みんなに会えるよう、またここに帰ってきたいと思います!』と力強くいうと、秦は深々と長い時間おじぎをした。

hata03_20110301.jpgアンコールを受け、ツアーTシャツを来て勢いよく走り出してきた秦は、今回のツアーグッズと“自由帳”話を始めた。この“自由帳”は チャリティー目的の為のものでその収益は秦の生まれ故郷宮崎県の口蹄疫被害の義援金として寄付されることになっており、この日の開演前までに総売り上げ部数1662部、売上から原価を除いた寄付金額は37万8300円に達したことを報告し、『ご協力ありがとうございます!皆さんの思いと共に、僕がきちんと責任を持って宮崎に届けます!』と宣言した。

また久保田光太郎がバンマスという立場でメンバーのことを語り始め、秦のことは「ヴォーカル」と表現した。それは秦 基博というひとりのシンガーソングライターとしてではなく、バンドのメンバーという関係性から出た言葉に思えてとても印象的だった。
『陰で誰にもわからないように努力をしている姿を沢山みている。』
天性のものであったにせよ、努力とは無縁に思える秦のその声の表情とギターを人知れず細かく研究する姿を垣間見て来たという久保田の言葉に秦は恥ずかしそうにしながらもじっと聞き入っていた。…が、次の瞬間久保田はポツリと「心が閉じているんでしょうね。」と言うと会場は爆笑に!でも『普通、歌詞というのは自分の理想を書くから本人と真逆のことがあるが、彼の書く歌詞は彼そのものだ。裏表がない。だから皆さんがみている秦 基博はそのままです。』その言葉に会場からは温かい拍手が湧く。…が、『いっこもそんなこと思ってないですけどね。』

hata04_20110301.jpg…え?久保田さん、そこでまたオトしますか?!
『嘘!? ジンとした感情返して欲しいわ!』と、さすがの秦も驚き声でそう言うと更に大爆笑に。でもそれが嘘ではないことを会場の人含め、全員が知っている。
『今の自分が聴いてほしいと思うことを突詰めて追求して作ったアルバムです。』リアリティのある自分のドキュメンタリーがそこにはあると、取材の時も常に言っていた。秦は派手なパフォーマンスをしたり、1を聞いて10を答えるタイプのアーティストではない分、その少ない言葉に多くの想いを詰め込んでいるのだろう。『全国ツアーを通してようやく”Documentary” の13曲が完成したと思います。ありがとうございます!今も新しい曲を作っているのでなるべく早くみなさんに届けたいです。』と語った。
そしてアンコールが終了しても拍手はいっこうに鳴り止まない。
まだ、あともう少しだけ…という想いに突き動かされるように秦は登場した。
さぁ歌おうかという時に久保田が『俺たち、客席で秦の歌を聴いたことがないんだよね。』と言い出したかと思うと本当にステージ下にメンバーは降りてしまい、客席で秦の歌が始まるのを待つ。そんなサプライズに『やりおるな!』と、苦笑しながらも「みんなで歌おう!」と、「鱗(うろこ)」を熱唱。その声はいつしか会場全員の合唱になりメンバーも改めて加わり、最高のダブルアンコールとなった。


カメラマン:古渓一道 
/取材・文:まさやん


【SET LIST】
01.今日もきっと
02 . SEA
03. Halation
04. 29番線
05. 青い蝶
06. Selva
07. 風景 <弾き語り>
08. 猿みたいにキスをする
09. dot
10. アゼリアと放課後
11. 虹が消えた日
12. oppo
13. パレードパレード
14. 夜が明ける
15. 透明だった世界
16. キミ、メグル、ボク
17. アイ
18. ドキュメンタリー
19. 朝が来る前に

-Encore-
My Sole, My Soul
花咲きポプラ
メトロ・フィルム

-Encore 2-
鱗(うろこ)

 

秦 基博 Official Web Site
http://www.office-augusta.com/hata/
 

セットリスト

【SET LIST】
01.今日もきっと
02 . SEA
03. Halation
04. 29番線
05. 青い蝶
06. Selva
07. 風景 <弾き語り>
08. 猿みたいにキスをする
09. dot
10. アゼリアと放課後
11. 虹が消えた日
12. oppo
13. パレードパレード
14. 夜が明ける
15. 透明だった世界
16. キミ、メグル、ボク
17. アイ
18. ドキュメンタリー
19. 朝が来る前に

-Encore-
My Sole, My Soul
花咲きポプラ
メトロ・フィルム

-Encore 2-
鱗(うろこ)

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