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山崎まさよし「YAMAZAKI MASAYOSHI Concert at Suntory Hall」@サントリーホール 2011.4.5

山崎まさよし「YAMAZAKI MASAYOSHI Concert at Suntory Hall」@サントリーホール 2011.4.5

『YAMAZAKI MASAYOSHI Concert at Suntory Hall』は、昨年デビュー15周年を迎えた山崎まさよしの記念プロジェクトとして、クラシックホールの名門・サントリーホールを舞台に、服部隆之氏率いるRush Orchestraを迎えて行われたスペシャルコンサートだが、 東日本大震災や計画停電の影響で様々なライブやイベントが中止や延期が相次ぐ中、 その開催を山崎まさよし本人、そして全スタッフは悩み、協議し、被災者支援のチャリティー公演として実施することを決定した。
来場者の安全面や電力供給の状況を考慮し、会場となったサントリーホールでは舞台演出で使用する電力は勿論、安全性が確保できる範囲で館内も節電。
普段のライブと違い、どことなく緊張感のあるクラシックホールにこちらも背筋がしゃんとする。静かに、正装したRush Orchestraが登場。つい拍手までお行儀よくなってしまう。その後、服部隆之氏が登場。一流の奏者は音合わせだけで美しい。クラシックでよくみるその風景に少しばかりうっとりしていると、山崎まさよしが登場。……いたって普段着で。いたっていつも通りで。一気に緊張の糸を緩めてくれるではないか!

チェロが繊細に「あじさい」のイントロを奏で始めた。
山崎の声、ギターもそうだがやはり音の響きが半端ではない。一瞬鳥肌が立つ。
2曲目に入る前、いつものバンドメンバーが笑顔で登場。
バンドサウンドとクラシックサウンドが「アドレナリン」で、見事に融合した。江川ゲンタのぶ厚い太鼓の音と、絹糸のようなストリングスに山崎の声が弾む。会場も立ち上がり、手拍子で更に音の空間が広がる。
 

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イベント自粛が続く最中の山崎は「今日来た方も、(来ることを)迷った方もいらっしゃるとは思うけど、来て頂いてありがとう。ここに来た人は “音楽” なので恥ずかしがらないで味わって欲しい。音楽をやって勇気づけられるなんて思わない。粛々とやりたい。逆にこれだけ来てくれて、こちらが勇気づけられました。」と、やはり変わることなくいつものペースで語り、会場は大きな、しかし厳かな拍手に包まれた。

冒頭でも触れたが、舞台演出で使われる照明は決してキラビやかではない。
本当の星もそうであるように、「星に願いを」で舞台背後のパイプオルガンに降り注ぐ星のような照明達は、舞台周りの闇によって、より一層星らしく輝く。
こういう時だから言うわけではないが、山崎の音楽に華美はいらない気がする。
彼の持つ全てのものは、ただ音楽の中にのみ存在する。そして時折トークで笑わせてくれる。会場が山崎の話を静かに聞いていると「しらーっとしているけど、最近そういうのが大好きなんです。」とM的発言。これには大爆笑!

淡いピンク色の光を受けながら、エディット・ピアフの “バラ色の人生”  のメロディが流れ、そこから「ふたりでPARISにいこう」へと変わって行く。江川ゲンタが江川ゲンコに早変わり!メロディにのせ、山崎と絶妙な掛け合いをする。
しきりにワインを飲みたがるゲンコに、山崎、大拍手のこの一言!
「ここはウイスキーが美味しいんだよ。だってサントリーホールだもん!」

"ONE KNIGHT STAND TOUR 2010-2011" ではずっとひとり弾き語りでやってきた為に、バンドとオーケストラを従えてというスタイルを山崎は「贅沢な弾き語り」と表現。きっとどんなに多くの音と交わっても、山崎のスタンスは変わらないのだろう。その揺るぎなさに、深く愛される山崎まさよしの世界を感じた。
その後、収集つかなくなって来たトークに業を煮やした服部氏が「はよやらんかい!」なんてツッコむシーンも(笑)。
懐かしの名曲、「心拍数」(96年『アレルギーの特効薬』)でグッときていると、次に何やら違う意味で懐かしい曲のイントロが流れた。……ん?この曲って…。
石川さゆりさんの「津軽海峡冬景色」だ!何故!? と思いながらも会場中が、「この男、やはり何かやってくれる!」という空気になり、どやっ!と言わんばかりに今度は森進一さんの「おふくろさん」へ。そりゃ2曲とも名曲だけど、どんなメドレーなん! と思わずツッコミたくなるが、そこはきっと山崎の思うツボなのだろう。



0406SUNTORY0575_OK.jpg名門クラシックホールだからといって、いや、だからこそ遊んでしまおうという山崎の思考は「昼休み」でオーケストラ全員が新聞を広げ、リズムに合わせながらページをめくるパフォーマンスにも表れていた。実力者のユーモアは楽しい!すっかり暖まった雰囲気の会場に山崎も笑いながら「コンサートホールがライブハウスになってしまった!」と一言。6年ぶりの服部&Rush Orchestraとのコラボだが、殆どメンバーが同じというこで、「可能であればツアー巡りたいですよね」と、音楽の絆を大事にする山崎らしい言葉もあった。


アンコール1曲目に山崎は、郷愁の「Georgia on my mind」を歌う。それは今の日本へ対する想いなのだろうか。歌が終わり、この震災で変わってしまった日本の状態に対し、「外に向かって元気になるというのを、この時期心がけたい。それもあってこのコンサート開催決定で被災している人、悲しんでいる人に届けばいいと思いました。」と歌い続ける決意を語った。
派手な色を持たない暖色ライトが静かに山崎を照らし、「僕はここにいる」でこのコンサートは締めくくられた。


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この日、ロビーには東日本大震災の復興支援としてギターケースの募金箱が置かれていた。「そしてこのギターケースは私と一緒に旅を回ります。」と英語で添えられたメッセージ。募金をしてもらうのは自分が歌う場所だという山崎本人の意思表示であり自身の発案によるもの。ギターケースは震災後も続けてきた全国ツアーの沖縄・四国公演から、山崎と共に旅をしてきた。昨年から開催されていた全国ツアー「ONE KNIGHT STAND TOUR 2010-2011」のファイナルとなるはずだった東北公演を現地の状況を考え、やむなく中止にしたが、復興の際にはいち早く東北公演を開催するべく、 舞台セットはそのままの状態で保管されているという。

「今、自分にできる事。やっぱりそれは歌を届けること。」
「音楽もある意味救援物資です。俺の音楽が役に立つ日が来たら改めて東北を回りたいと思っています。それまで今できる事をやります。がんばりましょう。」
信じることを胸に歌い続ける山崎の歌声と音楽が被災地のファンの元へ届くのを今はただただ願う。



取材・文/まさやん




※コンサート会場での募金及び公演の収益の一部は、一般社団法人音楽制作者連盟を通じて義援金として被災地へ寄付される。


<セットリスト>
1 、あじさい
2、アドレナリン
3、ぼくのオンリーワン
4、星に願いを
5、追憶
6、ルナちっく
7、ふたりでPARISにいこう
8、Suntory Intoro~ソノラマ
9、やわらかい月
10、心拍数
11、津軽海峡・冬景色~おふくろさん
12、Fat mama
13、審判の日
14、ヤサ男の夢~昼休み~ヤサ男の夢
15、I’m sorry
16、花火

アンコール
1、Georgia on my mind
2、僕はここにいる
 

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