重厚なSEの音がやむと、ステージのスポットライトは池森秀一（Vo）を照らした。”未来のために” のアカペラから始まった『DEEN LIVE JOY Special 日本武道館 2011』。
赤と青のペンライトが客席を埋め尽くす。今年もこの日がやってきた。デビュー15周年目から始まった武道館でのスペシャルライブも今年で4度目。

“ひとりじゃない” での会場のジャンプが最高のライブを予感させるような高揚感に満ちていたし、実際「 DEEN LIVE JOY Special 日本武道館 2011へようこそ！今夜は僕たちと一緒に最後まで楽しんでください！」そう池森が挨拶した時も会場は特別な喜びを感じていた。

恒例となったアコースティック・コーナーでは、ストリングスの繊細な音色を伴いながら  しっとりと響き渡る “ 見上げてごらん夜の星を” にファンの涙するシーンも。
無数の星を想像させるライトがステージ背景に広がると、今度は感動のため息が漏れる。



「今回、来たくても来れなかった方もいたと思いますし、まだ音楽を聴く気にもなれない方もいると思います。」田川伸治(Gtr）はそういうと、自分自身も暫くは音楽をやる気になれなかったと告白した。この震災の影響を考え、今回の公演開催も悩んだというが、やはり「音楽しかない！」という気持ちで開催を決定したという。「ようやく音楽を聴ける気持ちになったら演奏を観てほしい！」と田川は、常に音楽を傍らに置いて欲しい願いを続けた。そんな中でも、やはり一番のムードメーカー、リーダーの山根公路（key）は、「僕は2F席担当だから」と言いながら、この日この場所に来た全てのファンへの隅々まで盛り上げる！



そして「6月15日ニューアルバムをリリースします！」という池森の発表に、大きな歓声と拍手がおこった。2011年、デビュー18周年をむかえたDEENは人間に例えるなら高校卒業し次の世界へ旅立つ年齢。ニューアルバム「Graduation」は、そういう想いをタイトルにしている上に、DEENの過去リリースアルバムのタイトルからイメージした楽曲制作や、曲順もリリース順 というように随所にこだわりがみえる。

“ The Loner “ では、田川の饒舌ギターソロ。泣きのリフに会場は息をのむ。


そして中盤戦からは一気に盛り上げムード全開！ “恋が突然よみがえる” ”瞳そらさないで” ”Memories” などのメドレーで会場のボルテージも高まり、先ほど池森から発表があった
ニューアルバム「Graduation」から  ”  ’need love”を初披露。サンバのリズムで勢いはノンストップだ！今回は電力だけでなく演出においてもかなり配慮した構成になってる。いつものセンターステージやダンサーもいない。派手な仕掛けもない。しかし、DEENが発する音楽の光量はキラキラとしていて目映い。その光量は”coconuts feat.kokomo” でみせる会場の笑顔や振り付けにも投影されていて、この日の武道館だけ夏がいち早くきたようだった。
 

「ラテンな感じ、どうですか？」池森の言葉に拍手が湧く。武道館で歌えることや、自然の中で生かされる喜び、日々の生活の中での感謝の想いを込めて、本編は ”Tears on Earth” で終了した。



アンコールになると、もううずうずしてしまう。そう、「あの男」の登場が待ちきれない！上海ロックスターだ!!!
DEENのライブを知らない人へ説明すると、この男は誰が呼んだか、必ずDEENのライブに登場してはアンコールのオープニングを飾るという神出鬼没なロックスターなのだ（笑）。スポットライトは彼の姿を追い、イリュージョンのように（？）ステージに登場。ニューアルバムに収録の ”LOVER CONCERTO〜上海ロックスターEpisode2〜”を披露した。
最新シングル “Brand New Wing” では、何と着ムービーのウィークリー1位を獲得したという話題のダンスで武道館は完全に一体化し、2008年に武道館でのライブを楽しむコンセプトのもと作られた ”歌になろう “ でアンコールの最後、集まった8,000人の大合唱に包まれた。

それでもやはり1年に1度の武道館、ここで終わるわけがない！ダブルアンコールを受け、三度メンバー登場。池森の「来年は１度、武道館をお休みします。」と言う突然の発表に客席からは驚きの声がとぶ。…が、「来年は僕たちから皆さんの街へ行きます！」と続けると、今度は驚きに加え、喜びの声があがった。2012年は武道館公演をお休みするかわりに、14周年の時にも開催した、全国47都道府県ライブを再び行うという。また、今夏のSummer Resort Liveの実施も決定し、今年も来年もますますDEENから目が離せないこととなった！
そして2011年の『DEEN LIVE JOY Special 』は “思いきり 笑って” で幕を下ろした。
「日本中が明るく笑える日々が来る事を願って」というDEENの想いを胸に。

しかしサプライズは、来年の全国47都道府県ライブの発表に留まらなかった。最後にDEENメンバーが会場の外で、来てくれた8,000人のファンを見送るという何とも嬉しい企画が実施され、ファンはライブの余韻を持ちながら、DEENメンバーに笑顔で見送られるという至福の武道館公演となった。



※この日のライヴの収益やグッズの売り上げの一部を義援金として、岩手県災害義援金募集委員会・宮城県災害対策本部・福島県災害対策本部に贈られる。


カメラマン／荒川潤
取材・文／まさやん


＜セットリスト＞
『DEEN LIVE JOY Special 日本武道館 2011』
日時：2011年5月7日(土) 開場16:30/開演17:30
会場：日本武道館

M1.未来のために
M2.永遠の明日
M3.ひとりじゃない
M4.Starting Over
M5.ノスタル〜遠い約束〜
M6.哀しみの向こう側
M7.見上げてごらん夜の星を
M8.Take your hands
M9.The Loner　（田川伸治solo）
M10.恋が突然よみがえる
M11.瞳そらさないで
M12.Memories
M13.ダイヤモンド
M14.Crazy For You
M15.’need love
M16.coconuts feat.kokomo
M17.Tears on Earth

EN1
M18.LOVER CONCERTO〜上海ロックスターEpisode2〜
M19.NEXT STAGE
M20.Brand New Wing
M21.歌になろう

EN2
M22.思いきり 笑って

 

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